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2015年05月25日

野外・室内実習「植物の標本づくり」

 5月17日(日)に植物の標本づくりの行事を開催しました。普段の観察会では、なかなか標本をつくることはありませんが、博物館の活動にとってやはり標本は大切なものです。少しでも多くの人が標本をつくって、自然史の情報を残せるようになって欲しいと考えて、行事を企画しました。

 参加者は全部で13名、植物の採集から標本の作り方まで、一日かけて一通り勉強しました。

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まず、はじめに実習室でそもそも標本とは何か?について簡単なガイダンス。


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いざ、長居植物園へ!午前中は植物採集の実習です。自分が気になった植物を採集します。採集のときにはいろんな注意点があります。(注:長居植物園では植物の採集は禁止されています。今回は実習のために特別に許可を得て実施しています)


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草本を採集するときは丁寧に根っこから採らないといけません。


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博物館のビオトープのため池で水辺の植物の採集方法を勉強。採集に夢中になって、池に落ちないことが一番の注意点です。


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水辺の植物を採集中。


午後からは標本づくりの実習。植物の標本は、さく葉標本もしくは押し葉標本と呼ばれ、新聞に挟んで、おもしをかけて作ります。大きな押し花みたいな感じです。


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まずは学芸員の長谷川さんが実演。簡単そうに見えますが、きれいな枝の曲げ方などいろいろ奥が深いのです。


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午前中に自分で採った植物を標本にしていきます。


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できた標本はコンクリートブロックでおもしをかけておきます。


このあとは、図鑑の使い方や植物の同定(生きものの名前を決めること)の仕方を勉強したり、標本を台紙に貼る実習をしたりしました。


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自分でつくった標本は、持って帰ってもらいました。この後は、毎日、新聞を交換して、植物を乾かさないといけません。家に帰ってからも標本づくりは続きます。


 博物館ではほかの生きものの標本づくり実習や自分の標本の名前が合っているかどうか、専門家に見てもらえる「「標本の名前を調べよう」」という行事もあります。標本づくりに興味のある人のご参加、お待ちしております!

2015年05月12日

地質の日協賛事業・第32回地球科学講演会「阪神淡路大震災以降の近畿の活断層研究」

 5月10日(日)に地質の日協賛事業・第32回地球科学講演会「阪神淡路大震災以降の近畿の活断層研究」を開催しました。表題にあるように、阪神淡路大震災から20年という節目ということで、活断層研究の第一人者である京都大学名誉教授の岡田篤正氏を迎え、近畿周辺の活断層について、何がどれだけわかっているのか、そして私たちはどのように地震と向き合えばいいのかを語っていただきました。150人を超える参加者が、2時間もの講演に熱心に聞き入っていました。
 講演では、活断層とはどのようなものか、またどのように調査をするのかを、数多くの変位地形やトレンチの写真を用いて説明してくださいました。そして、琵琶湖西岸断層帯、中央構造線、有馬—高槻断層帯、上町断層帯など、近畿周辺の活断層について活断層の活動履歴や活動間隔が示され長期評価の精度が向上してきたことなど説明されました。その一方で、上町断層帯などでは、新しい時代の地層が厚く覆っていることに加え、都市部に走る活断層のため調査が難しく、まだ十分なデータが得られていないことなども説明されました。そして今後、その3次元的な広がりや地下深部の構造など、解明しなければならない事象が数多くあることも示されました。


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