KONC「大原野森林公園」 見学会 (この見学会は終了しました。) |
◇案 内◇ ポンポン山の北、京都市西京区大原野石作町の里山に広がる大原野森林公園は、ゴルフ場計画に反対する市民の運動が実り、京都市が買い上げたものです。約134haが「自然そのものが公園施設」を基本テーマに、2000年に都市公園として開園しました。暖温帯と冷温帯の移行帯的位置にあり、イヌブナやチドリノキも見られます。 1960年代までは、ほぼ全域がアカマツの用材・燃材採取、コナラやケヤキ等の炭焼きに利用されていました。里山をハビタットとする貴重な植物種が多く分布していますが、最近は林内が暗くなってそれらの絶滅が危惧されるため、一部で伐採を行っています。その管理とも関わる、生態のモニタリング調査をKONCが委託されています。 エコミュージアムの考えで「森のまるごと博物館」にしようと活動が始まり、また伐採した木材を運び出し、新しい形で燃料利用をすることが検討されています。一方、来訪者の増加によるオーバーユースやシカ・イノシシの増加による食害も急速に顕在化してきました。 このような都市近郊林の保全と利用の現状と問題点や将来への展望を解説していただきます。 | ||||||||||||
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◇実施報告◇ |
神崎 護(京都大学農学研究科:2005.3.20) |
2005年3月19日に京都市の大原野森林公園現地見学会を実施しました。 現地では、この森林公園の設立準備の時から関わっておられる滋賀県立大学の野間直彦さん、この公園の森の案内人として活躍しておられる藤井 淳さん、増戸秀毅さんらに解説をしていただきました。さらに京(みやこ)のアジェンダ21を通じてこの森林公園をエコミュージアムとして機能させようと活動を続けておられる笹谷康之さん、大槻裕治さん,吉良山真司さんらにも一緒に山を歩いていただきました・KONCからの参加は私を含めて7名でした。 この公園は薪炭林として利用されてきた斜面上部のクヌギ・コナラを主体とする落葉二次林と谷筋のスギ植林地が主要な植生ですが、尾根上のアカマツ林、崩壊斜面地のケヤキ林、沢の源頭部分のオニグルミ林などが混在しています。また可憐な春植物も多く分布し、多様性をまだ失わずに残る貴重な里山林という印象を受けました。 公園内のさまざまな動植物についての解説とともに、この森林公園の運営上の問題点についても話を聞くことができました。特定の公園内順路のオーバーユースの問題、希少植物の保護と生育環境の維持のための保全活動、そして里山林の今後の管理システムをどう確立するかといった問題です。まだ設立後間もない公園で、里山公園として運営方針がまだ十分には確立していないようですが、運営に積極的に関わる方々が多く、今後の展開が大いに期待できるという印象を受けました。 KONCが委託をうけた森林のモニタリング調査のサイトも見学しました。 公園内を見学した後、公園入り口に建つ立派な案内所で、1時間ほどの意見交換を行いました。KONCの会誌を、この公園の活動紹介やアッピールの場として利用してもらうことなど、KONC側がサポートできる点も多いというのが結論の一つでした。なお、参加者のお一人、中津弘さんが会誌にさらに詳しい記録を書いてくださる予定です。 最後になりましたが、年度末の忙しい時期に解説に御協力いただいた野間さんをはじめ、公園側の方々に深く感謝いたします。 |
![]() | 落葉二次林が広がる園内 |
![]() | 野間さん(右端)から解説を受ける参加者 |
![]() | 森の案内所での意見交換会 |
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