NatureStudyから記事を一部紹介します。 |
2003年9号 |
ジュニア会員のページ |
松本吏樹郎 |
オオフタオビドロバチの巣作り |
博物館のそばにあるハチの観察小屋には竹筒がたくさんつり下げられています.ある日,小屋の前に立っていると1頭のハチが飛んできました.腹の部分に2本の黄色い帯,オオフタオビドロバチです.よく見ると,ガの幼虫をくわえています(図).獲物です!ちょうど子育ての準備中のようです.ハチは幼虫を竹筒の中に運び込み,しばらくすると,飛んで行きました.
巣の中はどうなっているのか,ちょっとのぞいてみましょう(図1).運び込まれた幼虫は筒の中に転がっています.その奥にはクリーム色がかった卵が天井から細い糸でつり下げられています.母バチはこれからもう少しガの幼虫を狩ってきて,入り口を泥でふさぎます.
卵からかえった幼虫はガの幼虫を食べて大きくなり,蛹になり,やがて羽化します(図2).
巣から飛び出して間もなく,ハチはまたガの幼虫をくわえて巣に帰ってきました.どうやら今日は獲物に恵まれているようです.
順調な巣作りの様子に満足して博物館に戻るとちゅう,何気なくトラックヤードに,立てかけてある竹のたばを見ると,なんと,ほとんどの切り口が土でうめられていました(図3).来年のためにとっておいたのに気の早いハチたちは,これはいい家だと使ってしまったようです.こんなふうに垂直に置かれた竹でも,巣として使うとはちょっと意外でした.
<松本吏樹郎:博物館学芸員>
|