NatureStudyから記事を一部紹介します。 |
| 2004年9号 |
ジュニア会員のページ |
川端清司 |
| 鉛の色 いろいろ |
鉛は金属の一種ですが,みなさんはどのようなことを連想しますか.釣りをする人やダイビングをする人は,「おもり」として使うので,よくご存じだと思います.「おもり」として使われるように重い(比重が11.34と大きい)こと,形を整えやすいことでわかるようにとてもやわらかいこと,そして比較的低い温度で溶ける(融点が327.5℃)ことが特徴です.釣り道具店で,「板おもり」を買ってくると実感できると思います.手に持つとずっしりと重いけれど,グニャグニャと簡単に曲げることができます.
鉛の使われ方としては,自動車のバッテリーなど鉛蓄電池の電極にもっとも多く使われていて,それ以外には薬品類の原料,おもり,エックス線や放射線を防ぐためなどに使われています.
では,色についてはどうですか.「鉛色の空」というと,どんよりと曇って今にも雨が降り出しそうな,暗い気分になってしまいそうな空で,暗い灰色をイメージします.
鉛を含む鉱物の色はどうでしょうか.資源としての鉛の主要な鉱物である方鉛鉱は,鉛と硫黄がくっついた硫化鉱物です.方鉛鉱の色はまさに「鉛色」です.
しかし鉛は,化合物として結びつく相手によって,実にさまざまな色を見せてくれます.鉱物名に色が付いているものだけでも,白・紅・青・緑と色とりどりです.主な鉱物について紹介してみましょう.
白鉛鉱:炭酸基(CO3)と結びついた透明の鉱物です.アフリカ南部のナミビアやオーストラリア産出の標本が有名です.
紅鉛鉱:クロム酸(CrO4)と結びついた化合物で,鮮やかなオレンジ色の結晶です.きれいで大きな結晶をした標本の産地は,オーストラリア・タスマニア島のRed Leed鉱山に限られます.文字の通り「紅い鉛」の鉱山です.
緑鉛鉱:リン酸基(PO4)と結びついた化合物で,鮮やかな黄緑色をしています.こまかな結晶が母岩にたくさんくっついた標本が多く,フランスから産出する標本が有名でしたが,最近中国から犬歯状の結晶をした標本が出回るようになりました.まるでコケが生えているようにも見えます.
青鉛鉱:鉛と銅が硫酸基(SO4)と結びついた化合物で,明るい青色をしています.
バナジン鉛鉱:名前のとおり,バナジン酸基(VO4)と鉛の化合物です.褐鉛鉱とよばれることもありますが,褐色よりは赤に近いものが多く,また灰色の結晶もあるので,最近ではバナジン鉛鉱のほうが使われています.モロッコのミブラーデン鉱山とタオズ鉱山産出の標本が有名です.
これ以外にも,硫酸鉛鉱(透明でアメ色)やモリブデン鉛鉱(薄い黄色),ミメット鉱(黄色)などがあります.
ここで紹介した「鉛を含む鉱物」たちは,自然史博物館本館2階ギャラリーに新しい展示としてつくった,「鉱物の世界」のコーナーに展示しています.「鉛を含む鉱物」のコーナーは数ヶ月ごとに別の鉱物の紹介と入れ替わる予定です.お早めにご覧ください.
<川端清司:博物館学芸員>
図1:方鉛鉱
(アメリカ合衆国産)
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図2:青鉛鉱
(アメリカ合衆国産)
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図3:白鉛鉱(ナミビア産)
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図4:緑鉛鉱
(中国産)
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図5:紅鉛鉱
(オーストラリア産)
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図6:モリブデン鉛鉱
(メキシコ産)
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