大阪府高等学校生物教育研究会
実験の紹介
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◎生物実習書掲載

5.原形質分離と浸透圧

植物細胞を、異なる濃度の溶液に入れて生じる現象を観察して、細胞壁や細胞膜の性質を調べてみよう。

観察1 原形質分離の観察
(1)ユキノシタの実の裏面表皮、ツツジの花弁表皮などをスライドガラスにとり、20%ショ糖(スクロース)液または10%硝酸カリウム溶液を1滴落とし、しばらくしてからカバーガラスをかけて検鏡する。
(2)原形質分離をおこしている細胞をさがしてスケッチする。


観察2 原形質復帰の観察 
観察1で用いたプレパラートのショ糖液を右図のようにして水で置き換え、検鏡する。
結果 どのような変化がみられるか。


発展 原形質分離をおこしているユキノシタの葉を、1%酢酸を入れたシャーレに数分間つけた後、取り出して観察する。その後、水を入れたシャーレに移しかえて観察すると、細胞は変化するか調べてみよう。



実験 原形質分離と浸透圧
(1)3.5%、7.0%、10.5%、14.0%の濃度のショ糖液と水を、シャーレの中に入れる。
(2)それぞれのシャーレにユキノシタの葉の裏面表皮をつけ、5分後にスライドガラスの上に取り、それぞれの溶液を1滴ずつ落とし、カバーガラスをかけて検鏡する。
(3)1つの視野内で赤い色素(アントシアン)を含む全細胞のうち、原形質分離をおこしている細胞の比率を、各濃度ごとに調べて表にまとめる。
(4)この表をもとに、ショ糖濃度と原形質分離をおこしている細胞の比率の関係を示すグラフを書く。

考察
(1)ユキノシタの細胞の浸透圧は何%のショ糖濃度に等しいか。ただし、50%の細胞が原形質分離をおこしている濃度をユキノシタの細胞の濃度とする。(    )%
(2)原形質分離や原形質復帰の現象から考えて、細胞壁と細胞膜の性質はどのように異なるか。


参考 植物細胞の浸透圧・膨圧・吸水力の関係
 植物細胞では、細胞膜の外側に細胞壁がある。細胞壁は全透性であるから、水や水に溶けている物質が自由に出入りする。細胞膜は半透性で溶媒は通過できるが、溶質は通過できない。細胞を低張液に入れると、浸透圧の差で水は細胞内に入り、細胞は膨れる。その結果、細胞内から細胞を押し広げようとする庄力(=膨圧)が生じる。この膨圧が細胞の浸透圧と等しくなったとき、細胞が水を吸うカ(=吸水力)はゼロになり、細胞はこれ以上大きくなれない。


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