大阪府高等学校生物教育研究会  2000/11/03
実験の紹介

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◎生物実習書掲載

41.大阪における生物の分布調査


変化しつつある大阪の白然の現状を記録するため、1988年から1990年にかけて、のべで28,000名の高校生が参加して身の回りの生物調査を行った。これらの結果をもとに、生物の分布と環境との関わりについて考察してみよう。

作業
下の図は、大阪府を約4q×6qのメッシュに分け、各メッシュごとにヘビ類・アブラコウモリ・イタチ類の各生物の発見率(調査した人のうち発見した人の割合:%)を示したものである。ツバメの巣の発見率の図を参考にして、このメッシュ地図を、発見率20%刻みで適当な色や模様にぬり分けて、分布地図を完成せよ(例。0〜9%は赤色、20〜39%はオレンジ色、40〜59%は黄色、60〜79%は緑色、80%以上は青色)。

ツバメは人家の軒先などに巣を作ることが多い。また、市街地ではカラス等の外敵は少ないが、餌や巣材を得ることが困難なので普通は郊外に多く分布する傾向がある。
ヘビ類は近年急減している動物のひとつで、餌となる小動物と広い緑地等を必要とするため郊外に見られることが多い。


アブラコウモリは人里近くに多く見られる生物であるが市街地では餌を得ることが難しいので市街地を取り巻くように衛早都市に同心円状に分布する傾向がある。
イタチ類は大阪府下全域に分布が見られるが、市街地では在来種のホンドイタチよりも残飯やネズミを求めて侵入した帰化種のタイリクイタチの増加が顕著である。

考察
(1)あなたの自宅および学校周辺のヘビ類の発見率は何%になっているか。また、あなたは実際に自宅および学校周辺でヘビ類を見たことがあるか。
自宅周辺での発見率(   )%、学校周辺での発見率(   )%、ヘビ類を実際に見たことの有無:自宅周辺(   )、学校周辺(   )
(2)ヘビ類の発見率の高い地域とツバメの巣の発見率の高い地域は、一致することが多い。その理由を考えて述べよ。


(3)アブラコウモリの分布の特徴について、他の生物や環境との関係を考えて述べよ。


(4)イタチ類の分布の特徴について、他の生物や環境との関係を考えて述べよ。


発展
(1)タンポポなど、身の回りの生物の分布について実際に調査してみよう。
(2)緑被率などの地図と比較して、各生物の分布と自然の現状について考えてみよう。


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