大阪府高等学校生物教育研究会 2000/10/17
実験の紹介
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安価にできる脳・神経の観察
−実物にふれる感動と、生体にメスを入れる経験を−
◎平成10年12月10日
◎第3回実験研修会於府立桜塚高校
◎平田泰紀(大阪府立三島高校)
- 【要旨】動物の脳や神経は、ふだん目にすることも少なく、また、教科書等の解説だげではイメージが把えにくい。食肉業者を通じて、比較的簡単に入手できる材科を用いた実習を、3題紹介する。解割案習の要素が含まれていることも手伝い、生徒には強い印象を与えている。
- 【ニワトリの脳の観察】
- はじめに
ニワトリの頭を冷凍し、ノコギリで切斬して断面を観察する。冷凍することによって、硬い骨に包まれた柔らかい脳を、くずさずに観察できる。
- 方法
- 家庭用冷凍庫で一晩材料を冷凍する。ニワトリの頭は、猟犬等のエサとして使われており、鶏肉屋を通して1個5〜20円程で入手できる。
- 手の平に雑巾を敷き、材料をのせてノコギリ(目の細かい金鋸が良い)で切断する。やや腕力が要るが、途中で休まず一気に切断するのがコツ。
- 流水下で切断面を指でこすり、付着物を除く。
- 脳(断面)を観察する。
- 脳を骨からはずし、外観を観察する。脳をかきだして骨の凹み(雌型)を観察しても良い。
- 新しい材料で、別の断面についても観察。
- 結果
- 正中断面:まず目につくのは小脳。白い組織が樹形を描く。大脳は透明感のある肌色、脳幹は白色に見える。中脳ぱ、大脳に隠れて見えない。
- 水平断面:視交叉が観察できる。
- 前頭断面:脳下垂体が観察できる。
- 考察
- 断面が現われたら、まずは、どの部分が脳なのかを確認することが大切である。ペン先などでつついて、硬い部分は骨である。スケッチの際、脳以外の部分に斜線をひいて確認させるのも良い。
- 鳥類の脳では、バランス感覚を司る小脳の割合が大きく、鳥類が空中を飛ぷ動物であることを裏付げている。
- 鳥類の大脳では、灰白質と白質の区別がみられない。これは、ホ乳類では神経細胞体が表層に集まっているのに対し、鳥類では、細胞体の集合した部分が、大脳各所に散在しているためである。
- 備考
- 授業の展開としては、スケッチよりも切断することに重点を置くとよいとのことでした。精密なスケッチをさせていると、50分におさまりきらないとのことで、スケッチは簡単でよいと指示をして、下のプリントの6考察に記入することでスケッチに代えてもよいということでした。
- 切断の際は軍手をはめてやるとよいとのことです。ノコギリはホームセンター等で売っている、金属のパイプを切るノコギリを使っているそうです。(1本何千円もしないはず)
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冷凍状態のニワトリの頭部 |
正中断面 |
ノコギリと手袋 |
2000/10/17