大阪府高等学校生物教育研究会  2000/11/03
実験の紹介
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魚の頭部解剖による脳の観察

ハマチの頭部
カレイの頭部

◎昭和61年の実験研修会
◎府立藤井寺高校 橋本保子

  1. はじめに
    「神経による調節」を学習する中で、中枢神経(脳・脊髄)の構造とはたらきをよリ深く認識させるために、生徒自らが解剖し観察することは効果的であると考え、この実験を行っております。また高校生物における解剖実験として、生徒各自が持参した身近な魚を使い頭部解剖を行うことによって生物の神経系に興味・関心をもたせられるのではないかと考えております。
  2. 材科およぴ方法
    材料は入手できる魚の頭部(サバは頭骨が硬くないが、タイはとくに頭骨が硬く、脳の露出がやりにくい。ハマチ、アジ、イトヨリその他それぞれ特徴がある。)を各自生徒が1匹以上持参したものを用います。魚の頭部はできる限り新鮮なものである方が臭くなく、きれいな脳が観察できます。
    器具 解剖皿、解剖ハサミ(魚の頭骨は硬いので刃先の強い剪定ハサミが適当)、ピンセット
    方法
    1. 魚の頭部を紙ではさみ持ち、頭骨の位置を上から見定めて手早く頭皮、筋肉をとり除く。
    2. 露出した頭骨を少しずつはがしとり、慎重に脳を露出させる。
    3. 露出した各脳(大脳・中脳・小脳・延髄・間脳は腹面に)および脊髄、眼球につながる視神経を実物大でスケッチする。
      (・眼球を解剖し、透明な水晶体およぴガラス体をとり出す。)

    以上の方法は頭部を薬品で固定していませんが、「生物の実験法2動・植物の解剖」(培風館)によると、「動物の頭部をホルマリン固定して保存しておき、使用数日前から5〜10%硝酸中で脱灰してから、頭骨をハサミで除去して脳を露出し、比較観察する」となっています。

  3. 観察留意点
    大脳・中脳・小脳・延髄の各脳の位置や大きさを比較して観察し、スケッチするよう指示します。腹面に間脳そして脳下垂体が観察可能のものがあります。各脳の表層部が灰白質となっており・髄質部は切断面を見て白質であることを、また脊髄の白質も確認するように促します。視神経そして間脳腹面における視神経交叉および鼻孔へつながる嗅神経が観察可能であります。
    実験時間を1時間以上かけられる場合は耳石の観察そしてウロコについては上位群の魚類(サパ、タイなど)で櫛鱗が、下位群の魚類(フナ、コイなど)で円鱗が観察できます。脳がどのように頭骨に囲まれて保護されているか外からはわかりにくいので、魚頭部の透明骨格漂本を作って見せると、頭部における脳の位置がわかリやすいように思います。
  4. 実験での生徒の反応は男・女生徒とも初めはいやがっている者もいますが、やりはじめると案外真剣に取り組んで解剖し、露出できた脳をスケッチします。レボートの感想はいろいろありました。

    等々


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