2005年10月15日掲載
松田良一先生(東京大学)より、
以下のご案内をいただきましたので、お知らせいたします。

今週の14日から「高校生のための金曜特別講座」を再開いたします。
なお、14日にはこの講座を元にした本「16歳からの東大冒険講座」1,2巻を
会場で1割引で販売予定です。
 
平成17年度 東京大学教養学部主催
「高校生のための金曜特別講座」
冬学期プログラム(敬称略)
 
<10月の予定>
 
1)10月14日
「スーパーマンを救え−生物の再生について」
松田良一 生命環境科学系(生物学)
扁形動物プラナリアは切断されても、それぞれの断片から個体を再生できる。
両生類のイモリも手足を再生することができるが、哺乳類は手足を失うと再生できない。
ヒトの心臓や中枢神経系も再生できず、それがヒトの寿命の大きな限定要因になっている。
1995年、映画「スーパーマン」で有名なCristopher Reeve (http://www.crpf.org/)は
落馬事故で頚椎第一節を損傷し、全身麻痺に陥った。
以後、彼は9年間にわたり人工呼吸器を使いながら、社会に再生研究の必要性を訴え続け、
昨年10月に逝去した。
現在では生物の再生のしくみを知り、ヒトの医療に役立てようとする研究が盛んに行われている。
その一端を紹介する。
 
2)10月21日
「イングリッシュ・ガーデンの裏側」
安西信一  地域文化研究専攻(英語) 
昨今、ガーデニングがブームだが、その主流はイギリス風の庭である。
もっとも、イギリスがガーデニング大国とも呼べるものになったのは、
十八世紀に従来の幾何学的な庭とは違う、
自然風の「風景式庭園」という独自の様式を発明したことによる。
この庭が誕生した背景にあったものは何か。
本講義では、今も残る一つの名園(ストウ)を例にとり、
その美しい庭の成立の裏側に、
とりわけ政治的なものが絡んでいたことを浮き彫りにしたい。
 
3)10月28日 招待講演
「アフリカの飢餓と闘う−マンザナー・プロジェクトの現在」
Gordon H. Sato
米国科学アカデミー会員、元カリフォルニア大学サンディエゴ校生物学教授、
W. オルトン・ジョーンズ細胞科学センター名誉所長, A&G製薬取締役会長、
マンザナー・プロジェクト代表、
平成17年度ブループラネット賞受賞者
Sato博士は、がん研究などの分野で不可欠な無血清培養法を確立された
著名な細胞生物学者です。
一方、Sato博士ご自身が第二次世界大戦中に日系二世として
カリフォルニアの砂漠地マンザナーに強制収容された経験から、
砂漠地のような厳しい環境下でいかにして食料を生産するか
という課題「マンザナー・プロジェクト」http://www.manzanarproject.com/に
取り組んで来られました。
砂漠地での養殖漁業を実現した後、
さらに、「飢餓に苦しむ途上国における食糧生産計画と環境保全」を進め、
エリトリアにおいて斬新なマングローブ植林技術を開発し、
それを利用した家畜生産技術に発展させ、地域住民の生活改善の可能性を示しました。
これは、最貧地域における経済的な自立への一方策を具体的に立証したもので、
持続可能な社会技術として注目されています。
本年度のブループラネット賞受賞のため来日されますので、
これを機に特別講演していただきます。
Gordon H. Sato博士は日本の次世代層に大きな期待をよせておられます。
 
<11月以降の予定>
4)11月4日「意外と身近な物性物理の世界−物理をたのしむ−」
  前田京剛 相関基礎科学系(物理学)
5)11月11日「生物が持つ分子機械の形と働きを見る」
  栗栖源嗣 生命環境科学系(生物物理学)
6)11月18日「日常生活から歴史をとらえ直す」
  義江彰夫 超域文化科学専攻(歴史学)
7)12月16日「異文化理解の想像力」
  森山 工(たくみ) 地域文化研究専攻
8)1月13日「生命システムの学習と記憶、淘汰と順応」
  安田 賢二 生命環境科学系(生物学)
9)1月27日「『存在の謎』について考える」
  北川東子  超域文化科学専攻(ドイツ思想)    
10)2月3日
  伊藤亜人 超域文化科学専攻(文化人類学)
11)2月10日「モバイルライフ---携帯端末考」
  川合 慧 広域システム科学系 (情報)

以上です。

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