平成21年9月実施 文科省サイエンスパートナーシッププロジェクト
実習ご案内 阪大タンパク質科学実習
ホタライトを用いた科学的キャリア教育
〜科学的思考の実践的トレーニングを通じて、問題発見・解決の喜びとその意義を知る〜
                        ( 実施主担 大阪大学大学院理学研究科 吉本和夫 )
“さあ みなさん! 実験や思考、討論バトルを
お楽しみ下さい!
 
本実習は、従来の阪大実習とは異なり実験自体は簡単ではありますが、従来の阪大実習と同様、思考あり感動あり
学びある実習となっております。そして、科学的キャリア教育として科学的思考を重視し高校生に科学への適性など
を考えるきっかけを与えるように工夫されております。
ご参観、参加のご希望やご質問など遠慮なく吉本までお申し出下さい。なお、本年度は、あと2回
11月22日2月13日)本実習を実施する予定ですが、今なら生徒参加のご希望についてもお受けできる
余裕がございますので、お気軽に吉本までご相談下さい。なお、準備の都合がございますので、ご参観、参加の
ご希望は必ず事前連絡お願いします。
吉本連絡先 e-mail:yosimoto◎bio.sci.osaka-u.ac.jp  (TEL)06-6848-5533
                   ↑迷惑メール対策です
 
実施日  平成21年9月27日(日) 9時30分〜18時ごろ
会場:阪大豊中キャンパス理学部本館2階b236生物学生実験室
対象:大阪女学院高等学校 2・3年生 理系進学志望者 約20名
          その他 教員研修数名
今後の実施予定 平成21年11月22日(日)主な対象:京都府立南陽高校
        平成22年2月13日(土)主な対象:兵庫県立大学附属高校
 
本実習では、企業が遺伝子組換え技術で開発した製品ホタライト[発光酵素ルシフェラーゼ]にこだわり、実験、
思考、問題発見、仮説の設定・検証実験立案、追加実験、研究発表、討論質疑応答バトルまでを1日かけて行い、
科学的思考過程(問題発見・問題解決)を実体験します。科学や思考をエンジョイしながらその楽しさを伝え、高校の
教科書(生物U・化学U)の内容であり入試にもよく出題されるが、授業ではあまり扱われない生命科学・
タンパク質科学の本質に迫るものです。また、高校生が現実の科学の世界に触れることで、科学へ自己の適性などを
考えるきっかけを与え、さらに、企業の研究者がどのように遺伝子組換え技術を用いて製品を開発し、それがどうのよう
に実社会に貢献しているのかを知ることで実社会と科学技術の関わりを学ぶことができる「科学的キャリア教育」となっております。
進路選択の時期にも当たっている生徒さんの人生にとって重要なインパクトを与える可能性のある企画でも
ありますので一度直接ご覧下さい。
※詳細は、別紙[送信可]の吉本授業指導案・実験書をご参照ください。※授業記録ビデオもあります。
 
<実習日程> ※A2名で1班形成 → B2班合併で1グループ形成
@事前指導・スタッフ紹介  9:30〜9:50
Aホタライト実験      9:50〜11:45(生徒立案オプション実験もあり)
B実験に関するレポート作成・提出(班別グループ別討論:時間制限あり)
 仮説の設定1[班別]    11:45〜11:50
 仮説の設定2[グループ別] 11:50〜12:30(グループ別生徒立案追加実験も含めて)
昼食(学食不可昼食持参)  12:40〜13:40
C講演(実験・小問含む)  13:40〜14:50(赤色光を出すルシフェラーゼ
 :タンパク質と遺伝子の関係、ホタライト試薬大量生産とその応用、ルシフェラーゼ・GFP・インフルエンザ
  タミフルについてのタンパク質科学など
D実験結果分析解説     15:00〜15:35
E生徒発表・質疑応答バトル 15:40〜17:20(生徒発表練習10分含む)
Fキャリア教育事後指導   17:20〜18:00
GSPPアンケート配布・集合写真
 
@事前指導[科学的思考過程概説]・スタッフ紹介
  科学的思考過程やこの実習の趣旨を説明し、科学や思考をエンジョイすることを伝える。
   本日の目的:ホタルの光を通じて実験と思考を楽しむ!
   キーワード:科学的思考過程・情報活用・思考のキャッチボール(グループ討論・発表と質疑応答バトル)
A実験説明・実施
  実験結果予想→結果分析→予想に反する→なぜだ?
  オプション実験:生徒計画立案→その場で実験実施
B実験に関するレポート作成・提出(班別グループ別討論:時間制限あり)※2名で1班→2班合併で1グループ形成
  仮説の設定1[班別](この実験結果から明らかに言えることを指摘する)
  仮説の設定2[グループ別](この実験結果・考察から気づいたことをもとに想像できることから仮説の設定し、
  その検証実験を計画立案・結果予想する)ただし、制限時間内であればグループ別に追加実験しこれをレポートに
  反映させてもよい。
C講演(講演内で、実験をし課題を与え思考させる)
 1)遺伝子とは何か「我々の持つ遺伝的形質は、タンパク質のアミノ酸配列や立体構造に起因している」
 2)「遺伝子組換え試薬ホタライトはどのようにして開発され、作られたのか?」など開発企業(株)キッコーマンで
   行われた遺伝子組み換え技術について。また、この製品が実社会でどのように活用されているのかについて。
 3)「ホタライトのルシフェラーゼの不思議に迫る!」「耐熱性はどのようにして得られたのか?」などタンパク質
   工学について考えてみる。(ホタライト小問出題・提出)
 4)自然光ではない赤色光を出すルシフェラーゼが存在することを発光実験で体験し、この不自然な光を出す
   ホタル?について考えてみる。遺伝的にプログラムされ遺伝子DNAに書かれた行動(本能行動)にも迫る!
D実験結果分析解説
  仮説1の解説:この実験結果から何が言えて、何が言えないのか?不思議なことに気がつかないか?何か発見?
         「最適温度・最適pH・変性からの回復可能不可能」について
         「なぜpHが変わると弱くなるなか?なぜ低温で弱くなるのか?」「白い濁りの正体は?」
E生徒発表・質疑応答バトル
  仮説2:「気がついたこと、不思議に思ったこと、何か発見したこと」について設定した仮説とその検証実験に
     ついて、グループ別に発表する。その発表に対し、高校生、大学生、先生などから質問・意見を受けて、
     質疑応答バトルを展開していただく。
Fキャリア教育事後指導
   この実習は、実社会を知り自己を見つめ将来の進路と自分の適性を考えるきっかけを与え、今後、自分で
  主体的に進路適性について判断していくためのものです。
   この実習で、このように科学や思考エンジョイしながら「科学的思考・未知への挑戦が、面白くない、楽しく
  ない、耐えられない」という方は、現在の段階で科学の世界に適性がないかもしれない。
  しかし明日の君はわかりません!明日、君が変われば向いてくるかもしれません→今後のみなさんのやる気・
  努力で、変わることができるのです。あきらめるな!
  しかしもしダメで進路変更しても大丈夫です。
  人間はいろいろな潜在的能力あり、どんな能力持つかは不明です。
  要はいち早く自分の能力を知って、それを引き出すことが肝心。
  ではその方法は??→「何でも一生懸命やってみる!」ということです。→そうすると、これは行ける、これは
  ダメだという感じで、何に適し、何に不適かがわかるはずです→逆に「一生懸命」やらない、いい加減な者には
  明日は見えきません!→自分を知らずしてどうようにして生きていくのか?!→とにかく、君達の「一生懸命」
  から、生き甲斐ある人生を見つけて欲しい!
 
<実習概要>
 1 題材  光を生み出す不思議なタンパク質「酵素ルシフェラーゼ」の働きと性質
 2 主題  ゲンジホタルの発光現象は、酵素ルシフェラーゼが、基質であるルシフェリン及びATPと反応することに
       よって生じる酵素反応である。この酵素反応を通じて、酵素の働きと性質やタンパク質の構造について考え、
      発光の神秘に迫る
 3 目標  予想を立てた上で実験を行い、予想と異なる実験結果に対して原因を解明するための追加実験を立案すること
       により科学的思考力・問題解決能力を養成し、実験結果から新たな問題点を発見させる。生命に対する感動と
       思考を通じて、新たな学び(学校では扱わない「生命の本質」)へと導く。また、科学や思考の楽しさを与える
       ことで学習意欲へとつなげると同時に科学への自己の適性について考えさせる。
  1)普段したことがない実験中や実験のあとの科学的思考(情報活用)「観察→問題発見→仮説の設定→検証実験立案→
    問題解決」の重要性と楽しさに気づかせ、
  2)「高校理科の対象は、problems(既知)であり、大学から現実のサイエンスの対象は、issues(未知への挑戦:未解決
   の難問題)である」という高大格差を実体験し大きな衝撃と学びを与え、未知への挑戦へと導く。
  3)そして、自己を見つめ、今後の進路と自分の適性を考えるきっかけを与える。
  4)グループで議論してみんなで問題解決する思考のキャッチボールを体験させ、その楽しさと重要性に気づかせる。
  5)全体発表や討論する機会を与え、科学の世界での議論を実地体験して、自己のビジョンをしっかりプレゼンテーショ
   できることの大切さと喜びに気づかせる。また、他者の意見を理解し評価できる能力を育成したい。
<持ち物> 生物図録・生物授業ノート・筆記用具・配布済阪大地図・交通費・昼食持参
<交通>  地下鉄御堂筋線:梅田〜千里中央(約20分)→南改札口から南へ徒歩約5分→
       大阪モノレール:千里中央〜柴原(約5分)→進行方向へ徒歩約5分
 
※配布の阪大豊中キャンパス地図ご参照
 
<連携参加校への事前学習依頼内容>
 基礎知識・情報がないと今回の探究的実験で思考をエンジョイできませんので、この点御注意下さい。このホタライトの
授業は短いですが、従来の阪大分子生物学実習と同じ教育理念で構築されておりますので、最低限の知識をもとに実験結果を
思考し、その結果からさらに次の一手を各班で思考し、追加実験をこの授業の中で行います。そして、このすべての実験結果
から何が言えて何が言えないのかを各班で考えて仮説とその検証実験をレポート化し提出させます。そのあと、このレポート
をもとに生徒に発表させ、さらにそれをみんなでディスカッション(質疑応答バトル)を行います。いずれにしても、この基
礎知識を導入する事前学習が重要となりますのでよろしくお願い致します。このホタライト実習までに基礎知識・基礎基本を
事前学習で導入していただければ結構です。
 基礎知識・基礎基本としては、酵素(生体触媒)とは何か、酵素の構造、基質特異性、最適pH、最適温度などをお願いしま
す。もちろん、熱変性や失活も実験に出てきますので必要となります。最適条件についても温度やpHの実験をして思考する
のですから、当然、タンパク質の立体構造の変化も必要です。また、その基本となる、酵素の簡単な作用機作・タンパク質の
構造は言うまでもありません。それと、化学知識としては、最適pHが出てきますので水素イオン濃度(pH)は当然必要に
なります。その他は、実験書と吉本授業指導案を見ていただき、この内容からご判断よろしくお願い致します。
 なお、別紙のホタライト小問(セントラルドクマ・遺伝子とタンパク質の合成関連)を全生徒に配布出題し、当日提出して
いただきますので、この点をご配慮いただき、事前学習よろしくお願い致します。

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