研究発表要旨(2009)
左より、発表順、学校名、発表者氏名、指導された先生のお名前
1 藤井湧 川坂健人   中根将行
計数法の問題点と光合成色素の定量
これまで行ってきた「計数法」によって求めた、同定植物プランクトンの単位体積当たりの個体数とは相関性は認められなかった。それは、100μmメッシュをくぐり抜ける小型の植物プランクトンの量が、無視できないほどに多く、その生態系での物質生産に大きく関与しているためと考えた。ただ、栄養塩類との相関性が認められなかったので原因を引き続き調べてみたい。
2 川坂健人 藤井湧   中根将行
大阪城内濠のプランクトン調査 2008
昭和51年からの結果と比較するためには、同じ方法を用いる必要があった。調査は隔週日曜日に行い、2008年度は計30回の調査を行った。植物プランクトンが増えると動物プランクトンも増加し、植物プランクトンが減少すると動物プランクトンも減少する結果になったほか、植物プランクトンの個体群密度とpHは相関性を示した。
3 大教大平野 玉田貴 松山森仁   森秀雄
ダンゴムシの構造と呼吸について〜前編〜
ダンゴムシの呼吸について調査を行った。呼吸に関する器官を特定するためにダンゴムシの解剖に取り組んだところ、呼吸器官と思われる器官を複数確認できた。
4 大教大平野 松山森仁 玉田貴   森秀雄
ダンゴムシの構造と呼吸について〜後編〜
ダンゴムシの呼吸についての調査を行った。解剖で得られた結果より、呼吸に関する器官がしぼれたので、それぞれの機能をより詳しく調べるために、様々な状態にあるダンゴムシを水中に入れ、その生存率を調べた。
5 住吉 緒方侃司 西村光平   小畑洋一
ダイコンの辛味成分とその抗菌活性について
日本各地に栽培されているダイコンの辛味成分量と、それが示す大腸菌に対する抗菌性について調べたので、その結果を発表します。
6 住吉 上原環 宮路直美   國政恵三
身近にある抗菌作用物質の探索
身近にある食品の中に抗菌作用をもつものがあるといわれている。シャーレに酵母菌を培養し、いろいろな野菜の抽出液を浸透させたペーパーディスクを培地の上にのせ、その周囲に阻止円(酵母菌が繁殖できない円)ができるかどうかで抗菌作用の有無を調べた。合わせて酵母菌に効果がある抗生物質を低濃度入れた培地でも同様の実験を行い、低濃度抗生物質と相乗効果があるかどうかも調べた。これらの実験結果を紹介する。
7 北摂つばさ 清田環希     北村正信
3年「生命エコロジーエリア」の紹介と芥川の環境
「バイオ研究」(2単位)での実験のうち、ワイン作り(巨峰、ピオーネを各々ブドウ糖液ショ糖液に入れ室温で放置)の結果の紹介。「環境問題」(2単位)での自主課題研究で一人で実験した「芥川の環境」調査では、上・中・下流域での生物種の違いや化学物質の変化、河川管理団体による堤防の差異などを報告する。
8 北摂つばさ 野口郁矢     北村正信
2年「生命エコロジーエリア」の紹介と熱帯産チョウ「オオゴマダラ」の成長記録
ビオトープにある植物「スイタクワイ」などの紹介と、オオゴマダラの卵から5齢幼虫、蛹化の過程(ビデオ撮影に成功)など温度差による成長の様子の違いを報告する。
9 香里丘 林隆二 松井智寛   下野義人  
大阪府立香里丘高等学校グランド横斜面林の樹木調査、特に斜面の樹木組成
グランド横にある斜面林の樹木調査を5年ほど前から行い 、現在ほぼ全体の8割の調査が終わっている。1500本あまりの樹木があることが分かった。さらに、斜面上部から下部にかけて長さ48m、幅5mの枠を作り、それを上部、中部、下部に分けて、その中の樹木組成を調査した。それぞれ枠内に78本、97本、73本の樹木があった。全体および枠内の樹木の組成等に関して報告する。
10 奥西芙佐子 松田梨沙   中根将行
オランダとの下水処理比較(国際交流)
大阪での下水処理では高度処理から塩素処理を行っている。一方、オランダでは高級処理までしか行っていない。これは生態系への影響を配慮しているためであった。大阪の下水処理場流入水のBOD(生物化学的酸素要求量)は130mg/ℓであった。大阪とオランダの下水処理施設流入水のCODや川の水環境を調査、比較検討することで、下水処理の仕組みの違いの原因や、その違いがもたらす環境への影響を明らかにすることができると考えている。
11 茨木 岡田ちから 山路翔太   村上剛
植物の色素
植物の色素を用いて、試験紙の作成と染め物を行いました。木の枝から色素を抽出し、酸や塩基と反応させ、色が変わるときの様子を観察しました。
12 泉北高校 川上博之 藤浪汐里   木村進
泉北高校ビオトープ池のプランクトン〜その三 完成後四年間の変化
2005年9月に完成した泉北高校のビオトープ池の環境とプランクトンの4年間の変化についてまとめたので報告します。
13 同志社香里 津ア隆広     古本大
土壌動物 の研究
土壌動物の種数と数について半年調べたことを報告します。
14 同志社香里 竹田達生 山崎真悟   古本大
学校のセミⅫ〜〇三から七年間の脱け殻の推移〜
毎年夏休みに行っている校内の脱け殻調査。発表していない過去7年分のデータをまとめて発表します。
15 住吉 砂子真州美 緒方侃司   榎阪昭則
ヒトミトコンドリアDNAの多型分析
ヒトミトコンドリアDNAの多型分析により、縄文系の遺伝子を持つ日本人か弥生系の遺伝子を持つ日本人かの区別ができる。被験者から採集したミトコンドリアをPCRで増殖し、指定された制限酵素で切断することにより、北方系縄文人の「N9b」、南方系縄文人の「M7a」、弥生人の「D」タイプというように分類することができる。その結果を報告する。
16 大阪明星 松本敏幸     上野智
DNAから昆虫の進化を調べる
昆虫のDNAを構成している塩基の配列を調べ、昆虫の系統関係を調べる。
17 大阪明星 川村翔一郎 長田拓馬   上野智
ニンジンのカルス培養
カルス培養によるニンジン成体化実験についての報告
18 片岡拓也 川坂健人   中根将行
大阪城と彦根城の内濠比較 2009
津高校生物研究部では、昭和51年より大阪城内濠のプランクトン調査を続けてきた。動機は、身近な自然に潜む生物の神秘に惹かれたためである。季節によって予想もしない生物が次々にあらわれては消えていった。このような中、彦根城を訪問する機会を得たので、大阪城内濠との比較によって新たな発見を期待して実施した。クラスター処理を活用して解析したところ電気伝導度ならびに構成するプランクトン(動植物とも)に有意な差がみられた。
19 野坂俊太 山口周平   中根将行
明暗ビン法による大阪城内濠と琵琶湖の物質生産比較                                            
琵琶湖合宿に参加した中で、琵琶湖で測定したデータと同じ水系であり、近場であった大阪城内濠のデータと比べることで物質生産と他の結果にどのような関係があるかを調べることに興味をもったため実施した。結果は、大阪城の物質生産速度の方が高かったので、大阪城の植物プランクトンの個体群密度数も高いと考えられた。このことから、それらを餌とする動物プランクトンなど、より高次の消費者を養う力が大阪城の方が高いと判断した。
20 清風 西垣新 平田尊紀   加納義彦 高野良昭
ため池の富栄養化に対するゼオライトと竹炭の効果
ゼオライトと竹炭の化学物質の吸収度の違いを調べた。結果、ゼオライトと竹炭は共通してアンモニアを吸収し、さらにケイ酸が溶けだした。またリン酸については、ゼオライトでは吸収し、竹炭では溶けだしていることが分かった。ゼオライトと竹炭を使用して浄化装置を作り、水を通すと、初めランソウが多くいたケイソウが現れた。
21 清風 平田尊紀 杉本優 加納義彦 高野良昭
バラタナゴはドブガイ模型に産卵するか〜産卵と放精子を誘発するアミノ酸の不思議
ペットボトルを利用した人工ドブガイ模型を使って、バラタナゴの産卵を成功させ、さらに産卵された卵を模型の中で受精させる。そのためには、模型の内部構造を改良し、ドブガイが出す水に含まれるアミノ酸の種類を明らかにして本物と同じはたらきをもつ人工ドブガイ模型をつくることを目的とした。そしてこの研究の結果より、ドブガイの出す水には、さなざまなアミノ酸が含まれており、特にアラニン・グルタミン・リシンと、確定はできなかったがグリシンの可能性が高いアミノ酸が多く含まれているとわかった。さらに、多く含まれているとわかった4種類のアミノ酸を調合して人工ドブガイ水を作り、改良した人工ドブガイ模型とくみあわせてバラタナゴの産卵実験を行ったところ、産卵と模型内部での受精にも成功した。