大阪府高等学校生物教育研究会 00/09/17
98年高校生のための夏期研修(芦生合同合宿)報告
大阪府高等学校生物教育研究会50周年記念事業として計画された、98年高校生のための夏期研修が8月7日(金)から10日(月)にわたって、京都の北、京都大学芦生演習林で行われた。のべ50人程度の参加したこの研修は、生徒諸君だけでなく教員にとっても有意義な研修になった。
研修内容
- 7日 3時頃到着
宿舎そばの由良川で水生昆虫など採集、雨に降られる。教育大付属池田の中井先生が同定、研修参加者が生物名を覚えられるように展示していただく。
- 6時 夕食 8時 ミーティング 市岡高校 寺岡先生の挨拶 以下各校自己紹介 教員、生徒,OB 計39名 市岡高校、芥川高校、泉陽高校、(刀根山高校)、大阪市立南高校、 教育大付属天王寺高校
活動計画 8日 9時スタート トロッコ道を歩いて、灰野を越えて、カズラ小屋で昼御飯、元気ならば、七瀬谷まで 9日 ケヤキ坂、長治谷 杉尾峠 原生林を楽しもう。
- 8日 7時半 朝食 灰野方面へ自然観察と植物都道物の採集。
- 夜8時 ミーティングでの各校の発表
- 市岡高校 トンボとチョウの採集、同定中 水質調査 水生昆虫の調査(カズラ小屋)例年に比べ小型のものが多い。 魚の調査、魚少なめ
- 芥川高校 川魚採集 タウナギ トンボの同定、サナエトンボ科コオニヤンマ
- 泉陽高校 植物採集、草本50種 木本80種発見
- 教育大付属天王寺 キノコの中にカニムシ発見 魚 カワムツ、アブラハヤ
- 門真南高校宮井先生 本来なら照葉樹林帯だが、雪が多い川筋にあるなどで、夏緑樹林帯になっている。
電気を消してツキヨタケの発光を見る
- 9日 7時半食事
車で長治谷小屋まで移動 杉尾峠往復。一部教員と生徒が櫃倉谷を下る
- 夜8時 芦生を守り育てておられる井栗氏にお話ししていただく。
スライド映写 芦生の四季 原生林が2000ha 由良川の源流美山町 芦生に計画された揚水式ダムと美山町の振興 芦生の森を美山町の振興にどう生かすか OHPを用いた説明 林業、炭焼き、木地師の町 クマを捕って生活をする。ワサビ断ちで願を掛ける。 クマ剥ぎで杉、檜が被害を受けるので、害獣とされる。 熊の解体、脂肪が多いので皮を剥ぐと真っ白 熊の脂が薬、クマの胃(胆嚢)高価な薬、熊の身 冬眠中の熊を捕る、胆嚢が最も良い時期 動物、植物 鮎、ウナギ、モモンガ、ヤマネ、アナグマ(タヌキ汁)、カモシカ、 ヤマメ、マツタケ、タマゴダケ、シイタケの栽培、ナメコの栽培 芦生の四季 ヤマボウシ、タニウツギ、ミズバショウ、トチノキ、その他いろいろ 雪景色1mから2m 原生林といえども、人の手が入っている。木地師が選んだいい木(まっすぐなもの)は伐採されているので、形の悪い木が残って大木になっている。
ミーティング
- 市岡高校 3カ所で、コドラーを用いて水生昆虫の採集。第二ゲート数mmのもの がすう100匹捕れるが小さい。サンショウウオ採集 トンボ4匹同定中、ルリタテハ、カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、 テングチョウなど、オニヤンマ3棟捕獲
- 芥川高校 カミキリムシ2種 源流までイモリがいた。予想以上に富栄養化している。トチノキの倒木の 後に植物の競争、オニヤンマ捕獲後放す。
- 泉陽高校 前半、植物50種確認、食堂に展示中
- 大教大付属天王寺 トンボ、チョウ捕獲
- 刀根山高校 キツネ発見 櫃倉谷を登ってみるとよい。 アカショウビンが見られるかもしれない。 珍しい植物を採ってきて展示している。 芦生は関西で最も珍しい生物が見られるところ
- 10日 宿舎前の由良川で、大サンショウウオ発見苦労の末捕獲。 もちろん写真を撮って観察後川に返す。
以上、各校の文化部が低調になっている中、参加校の顧問の指導と生徒の取り組みが印象に残った。50周年記念の行事として今年度限りの合同の合宿ではあるが、このような取り組みを続けていければ、部員が数人の学校でも充分立派な活動ができるのではないかと思う。今回の計画のためご尽力いただいた市岡高校の寺岡先生に感謝します。 (文責 阪南高校 中田 昌実)