糞食性コガネムシ類


糞食性コガネムシ類とは、鞘翅目のコブスジコガネ科、マンマルコガネ科、
センチコガネ科、
アツバコガネ科、アカマダラセンチコガネ科、ニセマグソコガネ科、マグソコ
ガネ科、コガネムシ科のダイコクコガネ亜科に属する昆虫のことで、日本には
150種余り生息している。

今回の調査で捕獲できた糞食性コガネムシ類は、

ルリセンチコガネ
センチコガネ
ゴホンダイコクコガネ
マエカドコエンマコガネ
カドマルエンマコガネ
コブマルエンマコガネ
ツヤエンマコガネ
フトカドエンマコガネ
マグソコガネ

の9種類であるが、以下にそれらを簡単な説明付きで、
また、可能なものについては写真を挿入して紹介する。
なお、写真が2枚あるものについては左が雄、右が雌である。





ルリセンチコガネ(オオセンチコガネ) Geotrupes auratus MOTSCHULSKY

ルリセンチコガネ(オオセンチコガネ)

体長 16−22mm
金属光沢を持つ、美しい糞虫。
体色は赤色のものが一般的だが、地域によって差異がある。
奈良〜鈴鹿山脈〜和歌山に生息するものは青味が強く、藍緑色や藍色をしており、ルリセンチコガネと呼ばれる。
緑色の強い京都、牛尾山周辺のものはミドリセンチコガネとよばれている。
奈良公園では、落ち葉の下でたくさん見つけることができ、糞を後ろ足にはさんで引きずる姿を観察することができる。
なお、今回の調査で捕獲したオオセンチコガネは、すべてルリセンチコガネであるので、
この発表ではオオセンチコガネの名称はルリセンチコガネで統一した。



センチコガネ Geotrupes laevistriatus MOTSCHULSKY

センチコガネ

体長 14−20mm
オオセンチコガネより小型で地味。
頭の先がとがらず半円形になることで、ルリセンチコガネとは識別できる。
奈良公園ではそれほど多く見つからないが、生駒山などではかなり多く見られる。



ゴホンダイコクコガネ Copris acutidens MOTSCHULSKY

ゴホンダイコクコガネ♂ゴホンダイコクコガネ♀

体長 10−15mm
雄は前胸背板に4本の角、頭部に一本の角がある。
糞を地面に埋めて子育てをする。
奈良公園ではフレーク状になったシカの糞の下で観察することができる。



カドマルエンマコガネ Onthophagus lenzii HAROLD

カドマルエンマコガネ♂カドマルエンマコガネ♀

体長 6−12mm
大型のエンマコガネ。雄は前胸背板の側面が角張ってえぐれる。
奈良公園では、シカの糞の塊の中にいる。



コブマルエンマコガネ Onthophagus atripennis WATERHOUSE

コブマルエンマコガネ♂コブマルエンマコガネ♀

体長 5−9mm
雄は頭部に2本の角があり、前胸背板がえぐれる。
雌は前胸背板に小さな2つのコブがある。
この種は大阪市内の公園のイヌ、ネコの糞でも見つけられる、ポピュラーな種である。



マグソコガネ Aphodius rectus (MOTSCHULSKY)

マグソコガネ

体長 5−6mm
体にコブや角はなく、円筒形で細長い。固体によって色の変化がある。
糞の中にもぐり込んでいることが多く、コブマルエンマコガネ同様、大阪市内の公園にある動物の糞でも
見つけることができる。



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