発表:高津高校生物研究部
岸本光樹 阿達七海 前田雄一 西口隼人 三枝美晴
(顧問 中根將行 金重美代)
序
奈良公園内には多数のシカが生息している。
さて、このシカの糞はどのように処理されるのだろうか。
実はこれは、様々な種類の虫、菌類、微生物などによって分解され、やがて土に還るのである。
我々高津高校生物研究部はこの『分解屋』、特に糞食性コガネムシ類の生態について興味を持った。
彼らは直接シカなどの動物の糞を餌にする、いわば『第一次分解屋』である。
一体この虫たちはどんな食性を持ち、どんな場所に多く生息するのだろうか?
以下の研究では、主にこの疑問に焦点を当てて考察していきたいと思う。
調査方法
糞食性コガネムシ類の生態を研究するため、奈良公園内の山中2ヶ所(図の1と2)、
林中(図の3)、
林と芝生の境界(図の4)、芝生(図の5)の計5ヶ所それぞれの地面に、
6種類の餌(腐らせた鶏頭、新鮮なままの鶏頭、腐らせたシイタケ、新鮮なままのシイタケ、イヌ糞、ゾウ糞)
を入れた紙コップと、対照として餌を何も入れない空の紙コップ、計7個の紙コップトラップを設置した。
このトラップを一晩放置して虫を捕獲し、場所・餌による個体数の差を比較した。
(調査期間:2004年 7月17日〜7月18日)
トラップ設置場所
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↑ 今回使用したトラップ。このような感じで土に埋めます。 |
↑ 左の写真の模式図です。 |
結果
結果は以下の表の通りである。
表中の斜線はシカなどの被害によってデータが得られなかったもの、0は糞虫が一頭もかからなかったものである。
ただし、腐らせたシイタケ、新鮮なままのシイタケ、空には糞虫が一頭もかからなかったため表から省略している。
また、林と芝生の境界(図の4)に仕掛けたものは、シカなどの被害によってデータが得られなかったため、
これも表から省略した。
考察
最後に
今回の調査では、糞食性コガネムシ類についてほんのわずかなことが分かっただけである。
上の考察は本当に正しいのか? さらに季節ごとに糞虫の数や種類に変化が見られるのではないか?
新たな疑問、課題も浮かび上がってきた。
今後も動物の被害を防ぐ対策をとりつつ、継続して調査をしていきたいと思う。
最後となりましたが、今回の調査の許可をしてただいた奈良公園管理事務所、春日大社様、
および快くゾウ糞を提供してくださった大阪市立天王寺動物園に、深く御礼を申し上げたいと思います。
ご協力、本当にありがとうございました。