平成16年6月14日(月)掲載

天神崎現地研修ご案内

潮間帯 平坦な岩礁
潮間帯                   平坦な岩礁

カメノテ 海中のサンゴ
カメノテ                   海中のサンゴ

 ただただ、開発されそうになった自然を守るために土地を買う。募金集めに走りまわり、
退職金をつぎ込み、家屋敷も抵当に入れ、地主の怒りを買いながら、天神崎という小さな岬を
守った。元高校教師、外山八郎はそんなことをして、八年前に八十二歳の生涯を終えた。
  動きはじめたあと、「ナショナル・トラスト」と呼ばれる運動だとわかった。先駆者と
いわれても、当人にそんなつもりはない。誘拐された子供の身代金をかき集める親のように、
動いただけだった。
  だいたい、天神崎って何なんだ。日本には、はれぼれする自然がゴマンとある。富士山、
屋久島、知床・・・。和歌山の天神崎といっても、多くのひとは、風景の断片すら思い描くことが
できない。紀伊半島の西側に突き出した、二十ヘクタールの小さな岬だ。
真四角にしたら、一辺たった四百五十メートル。高いところで三十メートル余の丘陵。
岬の先に、陸地と同じくらいの岩礁が広がる。
  わが子はかわいいが、他人の目は厳しい。お役所がつけた評価は県立自然公園である。
それも一番格が下の第三種。建蔽率20%なら家も建てられる。
  そんな自然を守るために命を燃焼させた。全国から賛同者が現れた。
これは日本人の自然観にかかわる、ひとつの革命であった。
 
ナショナル・トラスト運動の先駆者 外山八郎 より
サンケイ新聞 平成16年(2004年)5月24日 月曜日掲載
 
 日本生物教育会・大阪大会に参加される皆さん、天神崎のナショナル・トラスト運動を
立ち上げた人々の中で、外山八郎さんをはじめとする高校教師は、運動の立ち上げから
継続にいたるまでの困難な時期を乗り越えたかけがえのないメンバーであったようです。
 現在でも、天神崎を訪れて、岩礁の生物観察実習を企画する学校から要請があるごとに、
「天神崎の自然を大切にする会」のメンバーの方々が、職務の傍ら献身的に自然観察ガイドを
してくださっています。
 天神崎の広大で平坦な岩礁では、100名近い児童・生徒でも安全に生物観察実習を
行うことができます。現地研修では、「天神崎の自然を大切にする会」のメンバーの方々と共に、
岩礁の生物観察を行い、天神崎の過去・現在・未来について語り合う場を持ちたいと考えております。
 
日程:平成17年(2005年)8月4日(木)〜5日(金)
 

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