大阪府高等学校生物教育研究会
アサガオの大気汚染被害調査実施要領
- 被害の観察方法〜葉のオキシダント被害
被害の症状や特徴オキシダントの被爆の程度が低いときは、その日の夕刻か翌朝に葉の表側の葉脈間に水浸状症状(水に浸したようにやや濃縁色に変わる)が生じ、2〜3日すると白い斑点に変化する。やや高濃度のオキシダントを受けると、葉の表面の葉脈問のかなり広い部分が水浸状症状を生じ、葉色は灰白色に変わる。1日後、棄脈問の一部は黒掲色に変色し、これが徐々に拡大して黒褐色斑同志が合体して大型の褐色斑となり、その部分が脱落し始めることもある。以上の症状はスカーレットオハラで観察されたもので、ヘブンリーブルーでははっきりした点状にはならず、少しぽやけた感じになる。また、調査時には白斑と褐色斑とが混在して観察されるが、前者のほうがより新しい被害を反映している。
- 観察結果の記録について
- 時期−本葉が10枚以上になってから、観察を開始する。5月上旬に種子をまいた場合は6月中旬頃から観察を始め、約1ヶ月間は継続する。可能であれば、夏期休暇中も行うものとする。また、6月中旬に種子をまいた場合は7月中旬から、8月中旬にまくと9月上旬から観察が可能である。
- 頻度−1〜2週問に1度は記録する。各校の実状に応じて随時観察すればよい。
- 調査時刻−何時でもよい。可能なら、毎回同じ時刻とする。(例えば、9〜10時)
- 観察する個体数−原則として2株ずつとし、それ以上は予備とする。もちろん、多いほうがよく、その場合は平均値を求める。
- 記録−別紙の様式で下記の項目について記録する。
@調査日時 A天候 B調査個体番号C全葉数 D彼害葉数と程度(この場合は、前回の観察で被害が生じていた葉は除く。そのために、被害を記録した葉はマジックインキで×印をつけたり、その葉のついているつるに「ひも」をまいたりするとよい。E被害状況(可能ならF葉位毎の被害
G記録写真)

- 酸性雨による花の被害〜被害の特徴と症状
開花中の降雨によりアサガオの花弁に変色が生じることが知られている。アサガオの花弁に汚染された雨滴が溜まるとその部分だけが班点上に変色するのが普通であるが、ひどいときには組織の一部が壊れて、黒ずんだ褐色に見えるようになることがある。変色の程度は様々で、赤色の花がヒンクになったり、真っ白に漂白されていたりする。開花中にずっと雨が降り続いていれば、変色がわかりにくいことも多く、雨が上がってから後に雨滴中の物質が濃縮されたり、さらに大気中の汚染物質が溶け込んだりすることもあるかもしれない。ただし、まだ被害の原因や変色のメカニズムについては不明の点も多く、今回の調査も予備的なものと考えておいていただきたい。
- 観察方法と結果の記録
- 時期−アサガオが開花を始めてから、明け方から午前中にかゆて雨が降った日に観察する。各校の実状に応じて何回でも結構です。期間は開花中ならいつでもよい。
- 観察時刻−できるだけ、毎回同じ時刻に観察したい(たとえば、9〜10時)。全校の観察時刻が同じなら、降雨の状態がほぼ同じと考えられるので、府下での結果を比較しやすいと思われる。
- 観察する個体数−各品種2株ずつ。花はその日に開花したものすぺて。
- 記録−別紙の記録用紙に、下記の項目について記録する。
@調査日時 A天候 B雨の量と止んだ時刻C開花数 D被害花数 E変色の程度Fその他
- 教室でアサガオの花に酸を滴下して変色する様子を見せるのもインパクトがあってよい。

