大阪府高等学校生物教育研究会
セミのぬけがら調査実施要領


  1. クマゼミ:透明な翅を黒光りする大型のセミで、南方系の種と言われる。幼虫は、温度が高く、乾燥した土壌に耐えるため、ヒートアイランド化が進む都市部ではほとんどのぬけがらがクマゼミとなる。全ぬけがらに占めるクマゼミのぬけがらの割合をクマゼミ率として、土壌の高温化・乾燥化の目安とすることができる。ただしこれは近畿地方中部など暖帯中部で適応できる指標であって、関東 平野などで同様のことがいえるわけではない。
  2. アブラゼミ:翅は濃い茶色で、クマゼミよりやや小さい中型のセミ。都市部にも少なくないが、幼虫はクマゼミよりはやや温度が低く・湿り気を含む土壊で生息することが多い。クマゼミと共存する地域では、羽化も梅雨明け直前およぴ立秋以降の方が盛夏よりも多くなることがある。
  3. ミンミンゼミ:近畿中部では、平野部周辺の標高100〜300mていどの低山の森林で多く見られる。都市部でもまれにみられるが、ここ数年大阪市内では、ぬけがらは見つかっていない。いわゆる里山を代表する昆虫と言うことができる。成虫はからだに緑色の縁取りが見られるので容易に区別できるが、ぬけがらがアプラゼミと似て識別は難しい、同定に自信がなけれぱ、フィルムケースなどに採取して幹事校まで送付いただきたい。
  4. ニイニイゼミ:都市部にも周辺の里山にも見られる種類。小型種で、ぬけがらは全身泥をかぶっているので容易に他種と区別できる。環境指標性は不明だが、極端な土壌乾燥では生育できないようである。
  5. ツクツクボウシ:成虫はふつう立秋以後に出現する(一部7月下旬から見られる)。雄は(夏が終わるのが)「つくづくおしい」と鳴くと聞きなすためこの名が付いた。都市公園にも標高500m程度の山地にも出現するので、温度や乾燥に対する適応能力は高いが、土壌の極端な高温・乾燥には耐えられない。
  6. ヒグラシ:成虫は「カナカナカナ」という哀調のある声で鳴く。曇天やタ刻近くに鳴くことが多いため「日暮らし」の名が付いた。比較的山地性のセミで、大阪付近では標高300mを越えないと出現することは少ない、しかし、成虫は飛翔によって都市部でも見つかることがある。環境指標性は不明だが、土壌の高温・乾燥には弱いようである。

調査緒果調査結果は8月末までに府立泉南高校の田中正視(メールコースL)まで送付してください。なお、府のメールが使用できない学校では、教育大附属高校池田の中井一郎(〒563−0026池田市緑丘1−5−1)まで郵送してください。結果をまとめた報告書は99年春に作成して、調査協力校にフィードバックする予定です、また、その一部は研究会50周年記念会誌などで発表し、、府下全校に配布されます。指標生物調査委員会昆虫班委員:田中(泉南)、北浦(美木多)寺岡(市岡)、中井(附池田)


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