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地球科学講演会「大阪平野の地盤環境と地盤災害」

5月12日(日)午後、「地球科学講演会」が行われました。
5月10日が「地質の日」であるということで、例年、その前後の土日に、日本全
国で地質学に関わる講演会や、野外観察会、ハイキングなどが行われます。地球
科学講演会も、「地質の日」協賛行事として、この時期に開催しています。


今回は、「大阪平野の地盤環境と地盤災害」というタイトルで、一般財団法人地
域地盤環境研究所の北田奈緒子さんにお話ししていただきました。

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四方を山地に囲まれた、大阪平野と大阪湾を合わせた地域には、主に淀川水系・
大和川水系から運び込まれた礫や砂、粘土がたまっています。厚いところでは
3000mにも及びます。これらは、ごく新しい時代にたまった、固まって岩石に
なっていない、礫・砂・粘土からできている地層です。これらの地層の上のほう
には、海成粘土層が十数層たまっています。氷期・間氷期を何度も繰り返す気候
変動が激しい時代になり、温暖な氷期になると海水準が高くなって奥まで海が入
り込み、氷期になると海水準が低くなって海が退くということを繰り返したため
です。温暖期に入り込んだ海でたまった粘土が、海成粘土層です。

おびただしい数のボーリングデータを用いて描かれた、たくさんの地質断面図や
地層の分布図を見ながら、大阪平野の地下の地層の分布の様子やその特徴につい
て、解説していただきました。上町断層による地層の変形の様子や、大昔の淀川
によって、古い地層が削られている様子がわかるというお話が、大変興味深かっ
たです。

また、大阪平野と大阪湾を合わせた部分を地層がたまっている洗面器に、新しい
時代にたまった柔らかい地層をプリンにたとえて、南海トラフで地震が起きた場
合に起きる大阪での地震の揺れの特徴を、わかりやすくお話しいただきました。
大阪平野の地層のでき方や特徴を知ってからこのお話を聞いたので、大変理解し
やすかったのではないかと思います。


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参加者は135名でした。みなさん大変熱心に講演を聞いておられました。