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テーマ別観察会「二上山の火山岩類」

 10月26日(日)に、テーマ別自然観察会「二上山の火山岩類」を、大阪市立自然史博物館と地学団体研究会大阪支部の共催で行いました。
 二上山は、大阪府と奈良県の間に位置する火山岩の山です。
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電柱や建物の影になっていますが、写真の右側遠景が二上山です。

 当麻寺にある白鳳時代に作られた石灯籠は、二上山の凝灰岩で作られました。この石灯籠の材料になった石は、今日のハイキングでは見つかるでしょうか?
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石灯籠の岩石の説明を聞きながら、柵越しに観察しているところ。石灯籠は、軽石(白い粒)や溶結凝灰岩(黒っぽい粒)の破片が混じった凝灰岩でできていました。

二上山に登りはじめ、しばらくすると、かこう岩と二上山の火山岩の境目が確認できる場所に着きました。境目は土に埋もれてしまって、直接みることはできませんが、岩石を調べると大体どの辺りか分かりました。
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どの辺りでかこう岩から二上山の火山岩に変化しているか、説明を聞きながら確かめているところ。軽石が混じった凝灰岩が観察できました。

さらに沢沿いに登って行くと、凝灰岩は溶結凝灰岩に変化しました。凝灰岩に含まれている火山灰や軽石が、熱と重みでつぶされ、レンズ状のガラスに変化したものが観察できました。
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うっそうとした植林の林で溶結凝灰岩の観察できる場所で説明を聞いているところ。

岩屋峠ではザクロ石や黒雲母を含む安山岩質の溶岩が観察できました。

岩屋峠の大阪側には、「岩屋」があります。奈良時代の岩窟寺院跡です。
岩屋を作る岩石は、いったんできた溶結凝灰岩が爆発で砕けたものが集まってできています。
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岩屋で説明を聞いているところ。

 雌岳頂上の西側のあたりで昼食を撮った後、馬の背で雌岳火山岩を観察しました。
雌岳火山岩には、黒雲母と少量のザクロ石がふくまれます。まだ固まっていないマグマの状態で流れた時にできたすじ模様も、観察できました。
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雌岳火山岩の説明を聞き、岩石の観察している様子。

その後、雌岳火山岩と雄岳火山岩の境目を通り、雄岳頂上に着きました。
雄岳火山岩はキメの細かい黒っぽい安山岩で、輝石や角閃石を含みます。サヌカイトに似ているので、サヌキトイドと呼ばれることもあります。
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雄岳頂上で小休止。

雄岳から下山すると、途中で雄岳火山岩から畑火山岩に変わります。畑火山岩は黄土色をした粒の粗い安山岩です。その後再び雄岳火山岩に変化します。雄岳火山岩にできた「柱状節理」と呼ばれる割れ目を観察できる場所もありました。
さらに下ると、畑火山岩が観察できるようになりました。
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火山岩を観察し、世話役に熱心に質問する参加者。

 麓におりた後、1日の間にみることのできたたくさんの種類の二上山の火山岩について、まとめをしました。二上山の火山岩は、1500万年前にできたものであり、岩石の分布や境目の様子、含まれる鉱物を調べる事によって、どのような順番でできたものなのかが、明らかにされました。
 しかし、二上山の岩石ができてから1500万年の間に、火山の地形は浸食されて失われてしまったので、どのような形の火山だったかは、分かっていません。
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麓の神社の境内で、まとめをしている様子。

 この日は何種類もの火山岩を観察しながら登山をするという、ハードな行事となりました。
参加したみなさん、案内者のみなさん、大変お疲れ様でした。

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ぜひ、ご参加ください。