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2016年度博物館実習夏 3日目

 5日間の博物館実習も今日で折り返しとなりました。私がいる班は、今日は植物分野の実習でした。特別収蔵庫で多くの時間を過ごす一日となりました。

 今日の主たる作業は植物標本の配架作業でした。未収蔵の標本をしかるべき場所に収蔵するという作業です。まず、ご担当いただいた学芸員さんから、棚の並び方についての説明を受けました。棚は、科名のアルファベット順に並べられ、その次には属名のアルファベット順に並べられ、さらにその次には種小名のアルファベット順に並んでいます。
 1万点もの未収蔵の標本があるそうなのですが、本日はそのほんの序章に過ぎない、段ボール一つ分の整理を行いました。標本が貼付されている画用紙には、種名、採集地、採集年月日、採集者が記入されたラベルが貼られており、そのラベルに記載された科名から、科名と棚番号の対応表をもとに収蔵場所を探し当てます。
順調に進むときは進むのですが、博物館が採用している種名は旧体系に準拠しているため、ラベルに記載されている種名が新体系を採用している場合は、学芸員さんが用意したexcelの対応表をもとに照合する必要があり、なかなか一筋縄にいきません。また、標本は水平に扱わなければならず、アルファベット順にきっちりと戻す必要があるため、想像以上に神経を使いました。
 しかし、植物畑の私は、見知らぬ植物も間近で見ることができ、熱中してしまいました。そのため、特別収蔵庫の温度管理によって自分の体温が下がっていることに、昼休み外に出て、太陽で熱せられた手すりに触れるまで気づくことがありませんでした。
 配架作業は午後も続き、段ボール一つをようやく整理し終えたところで次の作業に移りました。次の作業に移る前に、植物研究室の標本作成室を見学させていただきました。ここでの衝撃は乾燥機の存在です。以前、大学の授業でさく葉標本を作ったことがあります。最初の一週間は毎日新聞紙を取り替える必要があり、新聞紙の交換作業は延べ二週間続きました。しかし、乾燥機を使うことで丸一日で美しく、パリッとした標本が完成しており、乾燥機の偉大さに身をもって感じ入りました。

 次の舞台は旧実習室です。段ボールに入った果実標本を、段ボールごと90Lのビニール袋に入れる作業です。これは、殺虫のために冷凍庫に入れた段ボールに霜がつくのを防ぐ目的があるそうです。10個ほどの段ボールを台車に乗せ、冷凍庫に入れたのですが、ここで私は驚きました。動物遺体と植物標本が同じ冷凍庫に入っている・・・。結果には何の影響がないことは頭で分かっていつつも、その両者が同じ冷凍庫で冷却されていることに驚く私がいました。
 その後は実習室に戻り、標本を喰らうタバコシバムシを捕獲するためのフェロモントラップを作成しました。収蔵庫の前室の壁にも一つ掛けられています。10個でなんと一万円するそうです。最後は特別収蔵庫の掃き掃除をして終わりました。標本を整理している途中に、標本からぽろぽろ破片を落としていたことに気づき、反省です。

 最後は反省点も見つかりましたが、とても学びの多い一日でした。時間があっという間に過ぎた一日でもありました。

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