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2017年夏季博物館実習 4班

 実習4日目となる25日は昆虫研究室の学芸員の下、収蔵庫の見学と昆虫標本の作製を行いました。
 午前中は主に収蔵庫の見学を行いました。昆虫標本はドイツ箱という木製の箱に収められています。ドイツ箱の中には防虫剤としてナフタレンが入っており、植物標本には粉末のものを用いていたのに対して、結晶状のものが使われていました。ドイツ箱は気密性が高く、湿度、害虫管理共に優れた環境を作ることができますが、反面、箱は大変開けにくく、慣れない者が扱うと中の標本を壊してしまう恐れがあると思いました。この博物館には100万点を超える昆虫標本が収蔵されており、寄贈などによって毎年その数は増え続けているそうです。見学の中で、種の基準となるホロタイプ標本を多く目にし、博物館が研究上非常に重要であることを実感しました。
 午後からは標本の作製を行いました。最初に扱ったのはウスバカゲロウで、これを種別に分類したのち、三角台紙に止め、ラベルを付けるという作業を行いました。ウスバカゲロウには関西地域に生息するものだけでも数種類あり、翅の大きさや脈の特徴などによって分類が可能です。ウスバカゲロウを見ることはありましたが、種類がいくつもあるなど考えたこともなく、翅をまじまじと見たことはありませんでした。しかし、観察を続けていると違いが分かるようになり、最終的に班で協力して全個体を分類することができました。その結果個体数に差があることが分かり、ある種についてはさらに2種類に分類されるだろうという新説を学芸員の方に伺いました。現在研究を進めているそうで、それを自分の目で見ることができたことで、昆虫研究についてもっと知りたいと思うようになりました。
 後半はヒメバチの標本作製を行いました。ヒメバチはウスバカゲロウよりも小さく、さらに慎重で細かい作業となりました。息をしただけでヒメバチが飛んでいきそうになってしまい、集中して作業を行いました。
 一日を通して、学芸員の仕事は展示、見学会などの博物館業務から採集、標本作成、論文執筆など多岐にわたり、常に山積みであることが分かりました。標本作成などを除いて、それらの業務は学芸員の専門知識を必要とするため、他人にやってもらうことはできず、効率よく業務を進めていくことができることも学芸員にとって重要な素質であると思いました。(4班 T.O)