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令和元年度 夏期博物館実習2日目

 博物館実習2日目。この日は台風の影響で大阪市に暴風警報が発令され、実習の時間が1時間しかありませんでした。しかし、それにもかかわらず、この1時間は自分にとって密度の高いものとなりました。
 この日の実習内容は収蔵庫及び植物研究室における植物標本の基本事項の説明でした。植物標本の実物をみせてもらっての説明となりましたが、そこで驚いたのは、標本のラベルの自由度の高さです。いつ、どこで、だれが採集したかという基本情報は必須なものの、細かい規則は決まっておらず、手書きのもの、ローマ字のもの、付録に採集地の地図を付けたものなど実に多様でした。ラベル製作の自由度から、私は、「本職の研究者以外のアマチュアにも生物研究の門戸が開かれている」と自分で解釈し、嬉しくなりました。この規則なら素人でも標本を作れないことはないと思ったからです。
 植物標本というと、ぺしゃんこになり、乾燥して本来の姿とはかけ離れたものと思っていたし、担当の学芸員の方も「本来立体構造を持つ植物を平面の標本にすることで保存場所が確保できるが情報が減ってしまう」と言っておられました。しかし標本の実物をみてみると、はっきりとした造形が見て取れるようなものであり、驚きました。標本にすることで確かに情報は減ってしまいますが、はっきりした植物の形を時間・空間を超えて研究者が共有できるというはなしをきいて、ただ生物の姿を残しておくためのものではない標本の重要性と深い意義をしることができました。
 しかし、正直なところ、この実習の日まで自分が植物に興味があったかというとそうではありません。昆虫や魚などは好きで図鑑を眺めたり採集に出かけることもありましたが、植物に対する興味がそれらに対する興味を上回ることはありませんでした。この実習で植物の造形のおもしろさに気づきました。コウホネという水生植物の標本の、節くれだって長いとげの生えた根を見せてもらった時です。率直に「おもしろい」と思いました。この機会がなければ、私は植物の造形のおもしろさに気づかず、植物に興味を持たないままになっていたかもしれません。個人的なことではありますが、植物に興味をもつきっかけを与えていただいたことも自分の中で大きな出来事でした。
 短い時間でしたが、標本の基本的な知識を手に入れられたことや標本の意義を知れたこと、植物に興味を持てたことは自分の中で財産になります。ありがとうございました。
(O大学 KU)

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