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4月の長居植物園案内の記録

新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、博物館の閉館と行事中止が続いています。4月4日は、長居植物園は開園していましたが、植物園案内は中止でした。しかしながら、4月の植生園の様子をチェックしておくと同時に、みなさんに見ごろの植物をお伝えできればと思い、植物園を歩いて4月の記録を作成しました(横川)。




◆アラカシ(ブナ科)
 春は展葉の季節。アラカシも新たな葉を展開させていました。同じ株であっても枝によって展葉のタイミングが少し異なっており、まだ芽が開いていない枝からはっきり葉がわかる枝まで。アラカシは葉の裏面に毛が生えるのが特徴ですが、展葉直後の葉は裏面の毛がとてもわかりやすく、手触りも良いです。線状の托葉も観察できました。
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◆サンゴジュ(レンプクソウ科)
 普通の葉と同じぐらいの大きさまで成長した、黄緑の展葉したての葉が見られました。サンゴジュにはダニ室があるが、以前、出たばかりの葉にはダニ室が確認できないという話をしました。今日見た新しい葉にはすでにダニ室があり、もっと小さなときに目に見える大きさのダニ室ができるようです。
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◆イチイガシ(ブナ科)
 新しく出た葉には毛が多いので見に行ってみましたがまだ葉は開きはじめでちゃんと観察できませんでした。樹種によって、同じ樹種でも個体によって、同じ個体でも枝によって葉が出るタイミングは異なっています。
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◆キンカチャ(ツバキ科)
中国南部原産の樹木。長居植物園内のツバキ科の樹木はツバキやサザンカの類が主なので、赤やピンク、白のイメージがあると思います。キンカチャはそのイメージとは異なり黄色い花を咲かせます。少し見ごろは過ぎており、多くの花はすでに地面に落ちていました。
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◆セイヨウタンポポ(キク科)
 植物園内のあちこちで咲いていました。園内では典型的なセイヨウタンポポばかりではなく、総苞片の反り返りが中途半端な雑種と思われる株も多く見られます。典型的なセイヨウタンポポは総苞片が強く反り返ります。同じ場所に生えているタンポポの花茎の高さを比べてみると、多くの花は地面すれすれで咲いているのに対して、結実して綿毛をつけた花茎は高い位置でした。このようにタンポポは開花の時期と結実の時期で花茎の高さが違います。
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◆メリケントキンソウ(キク科)
 大阪では公園の芝地や河川敷で増えている外来植物。根元に地味な花をつけていましたが、来月には結実して、硬い棘のある果実をつけているでしょう。
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◆トゲミノキツネノボタン(キンポウゲ科)
 果樹園やイナゴマメの近くで群生しており、黄色いじゅうたんになっていました。早く咲いたものは果実が熟しはじめており、果実の側面のとげも出始めていました。黄色のじゅうたんの中をよく見ると、ヘビイチゴやカタバミも混ざっていました。タンポポなどと合わせて春は黄色い花を咲かせる草本がたくさん楽しめる時期です。
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◆ソメイヨシノとオオシマザクラ(バラ科)
 並んで生えており、遠目に違いがわかりやすかったので紹介します。ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの雑種だといわれていますが、花の時期には葉はほとんど出ておらず枝には花だけつきます。オオシマザクラは花と葉が同時に出ます。並んでみると全体ピンクの木と緑とピンクが混じる木で違いは明瞭でした。
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https://twitter.com/yokogawa12/status/1246245145810317315?s=20