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2016年度博物館実習3日目その②

 実習が始まってから早いもので、3日が過ぎました。実習をともにするメンバーとのコミュニケーションも活発になり、楽しみながら有意義な時間を過ごせていると実感しています。残りの実習を惜しみながらも精一杯取り組み、できるだけ多くのことを学びたいものです。

 さて、実習3日目の今日、私が所属する班は鳥類の仮剥製へのラベル付けとチュウゴクオオカミの骨格の洗浄を行いました。
 まず、鳥類の仮剥製のラベリングですが、作業内容は「予め作成されたラベルを仮剥製の足に結び付ける」だけというとても単純な作業でした。しかし、ラベルに糸を結びつける作業一つにしても、ラベルを破かずに糸がほどけないように強く固く結ぶのは意外と難しいもので、かなり神経を使いました。万一、ラベルが外れてしまうと、標本の情報が失われてしまい、時間と手間をかけて作成した仮剥製がただの「鳥の死骸」になってしまうことを思うと神経を使わざるを得ません。内容は単純であっても、正確に標本を管理する作業は大きな労力を要することを思い知らされる実習でした。
 次に臨んだのがチュウゴクオオカミの骨格標本の洗浄です。この骨の由来はというと、もともと動物園で飼育されていたオオカミの死体を当館が譲り受け、皮や内臓を処理した後に土の中に埋めて肉を分解・除去し、骨だけの状態になってから掘り返して回収して得られたものだそうです。除肉作業にも水の中で腐らせたり、波打ち際に埋めると分解が早く進んだりといろんなコツ・ノウハウがあるなど勉強になったのですが、個人的に一番驚いたのは「動物園で飼育していた動物が標本になり活用されている」ということでした。考えれば想像がつきそうな話ですが、その事実を今回はじめて知り、動物園と博物館に対する印象が少し変わったように思えます。動物園で飼育されている動物たちは、単に飼育・展示されているだけでなく、死後も貴重な標本として学術や教育活動に貢献しているのですね。
 話が逸れましたが、肝心の骨格洗浄はというとそれは地味で大変な作業でした。骨にこびりついた汚れや余分な肉片を歯ブラシでこすり落としてきれいにする、ただそれだけの作業ですが、数が多く、実習生4人がかりで半日を費やしました。今回磨いた個体は比較的若い個体で体もそれほど大きくなく、これがもっと大きい個体で一人で磨くとなるとやりきる自信がなかなかもてません…。
 しかし、最後に磨きあがった骨を並べるとそんな思いは消え去りました。骨の各部位の名称や関節の構造など、生き物の体の機能の基礎となる骨格を知ることで、チュウゴクオオカミという生き物に対する理解が一層深まった気がします。今までは生き物のことを考えるときに骨格を意識したことは少なかったですが、これからはどのような体のつくりをしているのか、それがどんな機能を果たしているのかなども考えながら生き物と接していきたいと思うようになりました。

 残りの実習期間も、今日のような新たな発見と学びを得られるように期待するとともに頑張っていきたいと思います。
(執筆: 3班 実習生A・K)

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