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2021年度博物館実習秋季1日目

昨日から博物館実習に参加させていただいておりますW大のN.M.です。
本日の実習では第四紀研究室のN学芸員のご指導の下、主に海浜砂の標本整理を行いました。
まず初めに、本日の実習を行うにあたり、砂の標本を保存する意義についてN学芸員から説明がありました。砂。とりわけ河川や海にある砂はコンクリートをはじめとした建材の主原料となるため、20世紀以降世界各地で採取されるようになりました。また、同時にダムの建設も活発化し、川をせき止めるダム構造物は砂をダム湖に堆積しやすくなっています。そのため、近年、砂の減少が世界的に大きな問題になっています。砂の減少はコンクリートの原料が減少するという点でも問題ですが、海岸浸食をはじめとした生態系を支える基盤となる地形改変ももたらすなど、その影響は深刻です。このような背景を知ったうえで砂の標本を保存する意義を学び、実習に臨みました。
実習では実際に収蔵庫で標本に番号を付与していきました。まず、事前に配られた標本のリストを見、付与する番号を決定し、ねらいを定めて地方別に分類された標本のボックスからお目当ての標本を探します。砂が入っている瓶の蓋に採集地や採集年月日、採集者などが書かれており、それを基に探します。お目当てらしき標本が見つかったら蓋を開けて中のメモを取り出し、採集地の座標を照合します。あっていればそのメモに番号を書き、蓋にも同じ番号を書きます。以上が標本整理の流れで、これを延々と繰り返しました。標本は北は北海道から南は沖縄まであり、その多さに驚きました。一言に「砂」と言ってもその地域で色、構成物、粒度などが全くことなり、まさにGeodiversityを感じました。
砂の標本は大変重く、ボックスを持ち上げるのは少し苦労しましたが、探し求めていたものを引き当てたといは心地よい快感を味わえました。また、個人的な感想としては日本のみならず世界各地の地名に出会えたことが楽しかったです。
最後に、砂だけでなく、化石の標本などを通して、標本にナンバリングする意義を学びました。自分が何か集めて博物館に寄贈するようなことは恐らくないと思いますが、何か集めたらその情報をしっかりと書き留めておこうと思いました。そういって我が家にある各所から拾い集めた岩石に情報を整理しようしようと思いつつしていないものが存在することを思い出しました。
とても充実した一日となりました。

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