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2022年09月04日

2022年度夏期博物館実習4日目

岐阜大学のT.Hです。
博物館実習4日目、私の所属する班は動物研究室の石田さんが担当してくださいました。

午前中は実習最終日に行われる自然史博物館友の会の行事「自作トラップでウミホタルの観察にチャレンジしよう」で用いたトラップを実習生分+予備分作成しました。
作成したのは「鍋島式本格バージョン」と名付けられたものでした。
材料は1.0〜1.5L程の容器のねじ蓋式のプラ製密閉容器、ビニールロープ、鉄の重り、タコ糸、ビニールテープです。
まず、蓋に直径0.7〜1.0cmの穴を数十個あけました。この穴はウミホタルがトラップに入るための穴です。同じようにして容器の胴部、蓋の真下付近に2ヶ所ロープを通すための穴も開けました。これらの作業では電動ドリルを用いて作業を行ったので、電動工具をあまり扱ったことがなかった私は穴を開ける蓋や容器が飛ばされないよう、また怪我しないよう細心の注意を払って作業に取り組みました(ご家庭で作成する場合はガスコンロで釘を熱して開けることも可能だそうです)。
次にトラップがきちんと沈むようロープ用の穴から90度の位置に鉄の重り取り付けました。水の張ったバケツに実際にトラップを沈めてみることで重りが下側に着地し上手く機能していることも確かめました。
ロープ用の穴にロープを通し「もやい結び」をしました。この結び方は荷重がかかっても結び目の部分が動かず輪の大きさが変わらないだけでなく、簡単にほどくことができるため船舶作業の現場でよく用いられるようです。班のメンバー全員が分からず一番苦戦した場面でした。
最後に万が一蓋が外れても失わないようにするためタコ糸で蓋とロープを結び完成です。
果たして観察会当日にウミホタルを捕まえることはできたのか。5日目のブログでその様子はご覧下さい。
また、私たちの班は作成したトラップをいただきました。ウミホタルは本州以南の綺麗な海で生息しているそうなので海辺に旅行した際にはまた挑戦してみたいです。

午後は博物館に寄贈されたカタツムリのコレクションの標本整理作業を行いました。
標本とラベルを標本箱に入れ替えました。標本が管瓶に入っているような小さい場合は、標本とラベルをチャック袋に入れてから標本箱に収めました。この作業を行う理由としては、収蔵庫に統一して整理する為の他にも、収蔵に向かない素材であるガラスや動物由来のコットンやコルクを排除する為です。
特に苦戦した事は管瓶を封するために用いられていたコルクが時間の経過によって開けづらくなっていた事です。普通に開くものもありましたが、簡単に粉々になってしまうもの、力の加減を誤ると粉々になるものと様々でした。コルクを壊してしまったら丈夫なピンセットでさらにコルクを破壊し標本を取り出せるようにします。
この作業は実習を行う際に毎回行っているそうですが、今回も全て整理完了はできませんでした。それだけ膨大な量の標本があるということを身をもって感じただけでなく、カタツムリの標本に触れることが出来たので作業しながら標本ごとの違いを観察して楽しむこともできました。また、2日目、3日目も違う分野の標本に触れてきましたが、当たり前なことではあるかも知れませんが、分野による標本の整理方法の違いを知り、体験することができました。

4日目まで実習を通じて、実習生でもできることを選んで下さっているのだとは思いますが、学芸員の仕事はコツコツと地道かつ繊細な作業が多いと感じました。たった数日の実習しか体験していないので楽しいと感じたまま終了しましたが、職業となると本当にその専門分野を好きでいないと続けるのは大変だろうと思います。また、普及教育を大切にしていくためには4日目午前中の作業のように行事の準備も欠かせないことを実感することもできました。