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2023年度夏季博物館実習4日目(8月26日)

こんにちは、滋賀県立大学のS.Mです。
実習4日目、私たち1班は植物研究室の横川学芸員にご指導いただきました。内容としては、まず植物標本の概要や収蔵過程を学び、収蔵庫を見学した後、標本整理を行いました。
研究室を見学した際には、最近採集した植物を押し葉標本にするため、乾燥している様子を見ることができました。また、朝ドラで話題となっている牧野富太郎がいた時代に用いられていた、「胴乱」も見せていただきました。胴乱とは、当時採集した植物を持ち帰るための缶のようなものです。缶の蓋の幅がちょうど標本に適した大きさになっているため、それを目安に採集したそうです。
次に、収蔵庫を見学しました。植物標本は虫食いなどのリスクが高いため、主に特別収蔵庫に保存されています。植物標本と言えば押し葉標本がよく思い浮かびそうですが、液浸標本や果実・種子だけの標本、木材標本などもあることを、実際に見て知りました。
標本整理としては、大阪府産の押し葉標本のソーティング作業を行いました。今回はキク科とユリ科の標本の一部を、大阪府産のものとそれ以外の産地のものに分けました。分ける際には、標本の根幹であるラベルを見て判断します。ラベルにはその種の和名や学名はもちろん、いつ・どこで・誰が採集したか、また、植物体に残らない情報(周辺環境)なども書き残します。日本各地、時には海外で、様々な人たちによって採集された押し葉標本は、同じ種であっても多様でした。よく標本を作る人は自身のオリジナルのラベルを用いていたり、海外のラベルには地図が載っていたりしていました。また、植物の貼り付け方も多様で、葉が見やすく貼られているものもあれば、重なって貼られているものもありました。形態を深く知るためには見やすい方が良いですが、その標本が何を伝えたいかによって作り方が異なる、という話を聞き、また見方が変わりました。
標本によっては、種子や一部の葉が袋に入れられて台紙に貼り付けられていました。これはDNA分析などに用いるためです。他にもデジタルアーカイブの話も聞きました。このような技術の進歩は学問を発展させられると思うと同時に、それにかかる時間と労力の問題も深刻だと感じました。
今日までの植物の分類と標本のおかげで、近年大阪府で拡大している帰化植物の存在を知ったり、新たな分類方法が判明した植物が発見されたりする話も聞き、標本の重要性を改めて学ぶことができました。

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