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2017年09月30日

博物館実習2017年8月24日 4班

 私たちの班の博物館実習3日目は植物担当の学芸員のもとで植物の標本がどのように博物館で保存、維持管理されているのか、また寄贈された資料がどのような過程を経て収蔵庫に収められるのかということを学びました。博物館には様々な人が資料を寄贈されますが、博物館にとって必要なのか、資料自体の質の確認などを行ったうえで受け入れるか否かを決定しなければならないので、学芸員には高いスキルが求められます。資料を受け入れてからもデータベースに登録され、収蔵庫に収まるまでに燻蒸や再同定、マウント作業、という手間がかかるため、資料の見極めがとても重要であると思いました。
 収蔵庫では現在はナフタレンが最も多く利用されていますが、健康上のリスクがあることが判明し、ナフタレンを利用した防虫には規制ができました。大学の座学ではIPMによって化学薬品の利用を減らすことができると学びましたが、温暖湿潤な日本の気候でのIPMの導入、ナフタレンの廃止は資料へのリスクが高すぎるため、現場でのIPMの導入は難しいと感じました。
 
 この日の午後には植物標本のマウント作業を行いました。押し花状態の植物を決まった大きさの台紙にラベルとともに貼り付ける作業です。この作業にはラベルと標本の配置のセンスが求められます。また、後に標本利用者がその植物の特徴(例えば同定のポイントとなる部分など)が観察しやすいようにマウントしなければなりません。マウント作業を行う人だけでなく、標本を作製する人もマウントされた状態をイメージしなければなりません。そのため標本作製者は植物に関する知識がなければ標本として価値のある標本になりません。実際にマウント作業を行ってみると、研究などで利用された際に付けられるアノテーションカードが貼り付けられるスペースをあけつつ、ラベルと標本をはみ出ないように1枚の台紙の上に貼り付ける作業は難しいと同時におもしろい、楽しいと感じる部分でもありました。
 これは植物に限ったことではありませんが、標本作製者は後に利用されることを想定した上で標本を作製することが標本を価値のある資料にするのには不可欠であると思いました。(実習生 4班 I.K)

2017年09月26日

2017年夏季博物館実習 4班

 実習4日目となる25日は昆虫研究室の学芸員の下、収蔵庫の見学と昆虫標本の作製を行いました。
 午前中は主に収蔵庫の見学を行いました。昆虫標本はドイツ箱という木製の箱に収められています。ドイツ箱の中には防虫剤としてナフタレンが入っており、植物標本には粉末のものを用いていたのに対して、結晶状のものが使われていました。ドイツ箱は気密性が高く、湿度、害虫管理共に優れた環境を作ることができますが、反面、箱は大変開けにくく、慣れない者が扱うと中の標本を壊してしまう恐れがあると思いました。この博物館には100万点を超える昆虫標本が収蔵されており、寄贈などによって毎年その数は増え続けているそうです。見学の中で、種の基準となるホロタイプ標本を多く目にし、博物館が研究上非常に重要であることを実感しました。
 午後からは標本の作製を行いました。最初に扱ったのはウスバカゲロウで、これを種別に分類したのち、三角台紙に止め、ラベルを付けるという作業を行いました。ウスバカゲロウには関西地域に生息するものだけでも数種類あり、翅の大きさや脈の特徴などによって分類が可能です。ウスバカゲロウを見ることはありましたが、種類がいくつもあるなど考えたこともなく、翅をまじまじと見たことはありませんでした。しかし、観察を続けていると違いが分かるようになり、最終的に班で協力して全個体を分類することができました。その結果個体数に差があることが分かり、ある種についてはさらに2種類に分類されるだろうという新説を学芸員の方に伺いました。現在研究を進めているそうで、それを自分の目で見ることができたことで、昆虫研究についてもっと知りたいと思うようになりました。
 後半はヒメバチの標本作製を行いました。ヒメバチはウスバカゲロウよりも小さく、さらに慎重で細かい作業となりました。息をしただけでヒメバチが飛んでいきそうになってしまい、集中して作業を行いました。
 一日を通して、学芸員の仕事は展示、見学会などの博物館業務から採集、標本作成、論文執筆など多岐にわたり、常に山積みであることが分かりました。標本作成などを除いて、それらの業務は学芸員の専門知識を必要とするため、他人にやってもらうことはできず、効率よく業務を進めていくことができることも学芸員にとって重要な素質であると思いました。(4班 T.O)

2017年09月15日

博物館実習2017/8/26

 実習最終日は、午前中は午後からの植物園見学のために長居植物園内を回りました。植物はあまりわからないことが多く、勉強になりました。特に、よく生物の授業で扱われる裸子植物の中身を実際に見ることができたのはよかったです。午後からは、博物館友の会の方々と園内を散策しました。スタッフや学芸員の方より知識がなく、大変でしたが、博物館実習の5日間で一番学芸員らしい仕事を実感することができ、良い経験になりました。めったに体験できない5日間を過ごすことができ、大変充実した博物館実習でした。(2班 S.T)

2017年09月01日

2017年夏 博物館実習最終日 4班

色々とあって投稿が遅れてしまいましたが、博物館実習最終日を振り返っていきたいと思います。

この日は班分けの区別なく、実習生全員が合同で植物園案内を見学しました。
植物園案内とは、大阪市立自然史博物館が毎月1回行っている教育普及活動であり、学芸員が一般のお客さん達とともに長居植物園内を練り歩き、季節ごとに特徴のある植物を紹介したり、お客さんの質問に学芸員が答えたりするイベントです。なんと30年以上も続いているそうで、しかも台風等のやむを得ない事情以外では中止になったこともないとか。
そんな植物園案内の様子を見学させてもらったのですが、まず午前中は下見やネタ仕込みのために学芸員と補助スタッフ、実習生で植物園内を見て回りました。補助スタッフとは、植物園案内において学芸員を補助する方々であり、友の会の会員で構成されています。驚いたのは、補助スタッフの方々の積極的な姿勢です。
実習5日目となり、若干の疲れが出始めていたところに加えて初の屋外での実習ということで消極的気味であった実習生とは対極的に、補助スタッフの方々は大変熱心に学芸員の先生の話を聞いておられ、また質問をされていました。それは、午後からの一般の方への説明のためというよりかは(もちろんそのためでもあったとは思いますが)むしろ、ただご自身が知りたいからという点が理由の大部分を占めていたように見受けられました。その様子は私に、知識欲を満たすことは喜びにつながるということを思い出させてくれました。
午後からは、午前のメンバーに加えて一般のお客さん達とともに植物園内を回りました。一般の方々もやはり皆、積極的で私にもいくつかの質問をしてくださりました。間違った情報を伝える事だけは絶対にしてはならないので少し緊張しましたが、午前中の下見で教わった内容を思い出し、何とか答える事ができました。下見とは若干コースを変えながらも、大体同じコースを一周して植物園案内は終了。同時に実習も終了しました。

この日の実習を通して、博物館の社会教育施設としての側面の必要性を強く感じました。あれだけ多くの人が(その多くはご年配の方々である)自分の興味があることを学びにやってくる。その需要は、ただ利益を追求するだけでは満たすことはできないかもしれませんが、それでも満たされるべきであると思いますし、またそうであってほしいと願っています。学びたいと思ったときに、博物館が学べる場所であること。この状態がいつまでも保存されてほしいと思いました。(4班 S.I)

2017年夏 博物館実習5班2日目

実習2日目
私達の班はボーリングサンプルの仕分け、片付けをお手伝いさせていただきました。ボーリングは掘削機などを用いて、地盤の強度・地質を調査する事で建物を建てるときに必ず行われます。大阪市立自然史博物館には大阪市内の公共施設や団地等を建てるときのボーリングサンプルが保管されています。自然史博物館では、このサンプルやボーリング柱状図を用いて断層がどのようになっているのかを調べ、古代の地形がどのようになっていたのかなどを研究するためなどに用いられているそうです。

私達の班は、これらのボーリングサンプルを採集場所ごとに仕分け、番号を振り、番号順になるように倉庫に片付ける作業を行いました。片付けるサンプルが多く、大変な作業でしたが、片付けるときに見せていただいたサンプルは大阪市内でも全く異なり、とても興味深かくて面白かったです。
何千年か前に海だったところが陸になっていくのがわかったり、陸と海が互い違いになっていたり少し測定する場所が異なるだけでこれほど地形が違うのかと驚きました。また、地層の違いの他、標高が低くなっている理由など、普段の授業では聞くことのできない様々なお話を聞くことができ、とても勉強になりました。

貴重な経験ができてよかったと思います。ありがとうございました。(5班A.T)