花の百名山伊吹山草原の多様性回復をめざして-研究者,市民,行政との連携-
(2026年2月14日実施 13:05―17:10)
前迫ゆり(関西自然保護機構会長)
KONCシンポジウムはこれまで日本生態学会近畿地区の公募集会に応募・採択され,夏から秋に実施することが多かったのですが,今回は2月に実施しました。これは,毎年,大阪市立自然史博物館で行われていた自然史フェスティバルが2025年度に実施されないことから,他の場所での開催を検討することにはじまります。当初,滋賀県琵琶湖博物館のびわ博フェス(秋に開催)でシンポジウムをすることを検討しましたが,諸事情により,びわ博フェスの期間中ではなく,KONC主催,滋賀県琵琶湖博物館共催,自然保護助成基金後援で実施することとなりました。
ちょうど2025年9月にプロ・ナツゥーラ・ファンドの助成を受けて伊吹山のプロジェクト研究がスタートしたことから(研究代表:前迫),テーマは「花の百名山伊吹山草原の多様性回復をめざして-研究者,市民,行政との連携-」としました(https://www.omnh.net/konc/?p=2968)。今回はオンサイトのみとなりましたが,およそ80名のみなさまに参加いただきました。参加者はKONC会員,伊吹山の保全に関わっている地元の人々,滋賀県および米原市の行政のみなさんをはじめ,滋賀県内外から会員外の方に多くご参加いただいきました。心よりお礼申し上げます。
伊吹山特有の自然気象と石灰岩基盤,そして昭和初期頃まで人々が生業とされた採草活動も,伊吹山の山頂のみならず,三合目の植物の多様性を育んだと考えられます。しかし2000年以降,急激に増加したシカによる採食影響は山頂一帯の植生および斜面の植物の多様性を大きく劣化させ,裸地化と土壌浸食が進み,山麓集落への土砂災害をも引き起こしました。
こうした状況に対して,地元の人々の保全活動,行政のとりくみ,研究者による調査,滋賀県内外の人々とも情報共有しながら,伊吹山草原の多様性を回復させることにつなげたいと考えています。会場からは,「土壌浸食が発生している斜面のA0層に定着する植物としてどのような植物が考えられるか,シカの密度把握はされているのか,斜面でイブキガラシ(アブラナ科)がかなりの面積で生育した後,枯死し(おそらくシカによる過採食),そのあと土砂災害が発生した」,といった,具体的な質問やコメントが多く寄せられました。
伊吹山プロジェクト研究の成果,行政の取り組みの効果,また地元のみなさんの活動について数年後に報告する機会を得たいと考えています。演者のみなさまには調査データや実践活動に基づいて貴重なご講演をいただきました。琵琶湖博物館のみなさまには多大なご協力をいただきました。各位に心より感謝申し上げます。
なお,本シンポジウムの内容は,後日,アーカイブ配信(KONCWeb,琵琶湖博物館Web)の予定です。





