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2018年01月13日

冬期博物館実習 最終日

1班はハゼを専門とする松井学芸員に教わり、魚類の標本についての実習をさせていただきました。
魚類の標本とは、魚をアルコール等につけて瓶で保存する液浸標本と呼ばれるものです。しかし、液浸標本は透明の液体に浸かっているため背景がなく、標本そのものは少し見えづらいという難点があります。博物館ではこのような液浸標本を来館者の皆さんにお見せするとき、魚の後ろに白い綿を詰めたりすることがあります。このような工夫をすることで、少しでも興味を持ってもらえる展示を作ります。
今回の実習では、他の博物館の展示に貸し出しする標本に綿を詰め、色がついてしまい汚く見えるアルコールを新しいものに取り替える作業を行いました。作業を終えた標本たちは茶色い液体に浸かっている魚から、白い背景に浮かび上がる「展示品」に変わりました。魚は色々な形や大きさをしているため、種類ごとに展示の方法の工夫も異なります。学芸員さんは1つ1つ頭を悩ませて展示を作っていることがよくわかります。

また、大阪市立自然史博物館はとても多くの液浸標本を保管しています。そのほとんどは展示には使われていない研究のために保存されている標本ですが、すべての標本には大変な価値があります。学芸員さんはそれらの標本を定期的に見て回り、アルコールが減っている瓶がないかをチェックします。
私たちも今回、収蔵庫の中にいくつもある棚の中の1列をチェックし、魚の体がアルコール面からでてしまっているもののを取り出し、液を足していきました。実習生は3人もいたため作業を分担してできましたが、普段学芸員さんは一人で作業をしています。1つとして傷つけてはいけない標本のメンテナンス作業にも効率が求められます。

今日の実習では展示用の標本作りと標本のメンテナンスの作業以外に保管用の標本作りも学ばせていただきました。5日間の実習の間、色々な学芸員さんの元につきましたが、その業務は本当に多様で、1つとして同じことはしませんでした。学芸員という仕事は常に勉強し続けなければ勤まりません。大変であるとは思いますが、業務について生き生きと解説をしてくださる学芸員さんたちを見ていると、とても有意義な仕事出ることが分かりました。
 
G大学 R.S

冬季博物館実習5日目

博物館実習5日目、3班は昆虫標本を扱う実習でした。
午前は、収蔵庫に行き学芸員の方に昆虫標本に関する説明や標本の作成方法を教えていただき、収蔵庫内の昆虫標本見せていただきました。その後実習室でウスバカゲロウという昆虫の標本の作成を行いました。そして、双眼実体顕微鏡を使って種の名前を調べる同定も行いました。ウスバカゲロウの同定は翅の脈の違いや足にあるケズメの長さを見て行いました。双眼実体顕微鏡を使って昆虫の体を見ているととても小さい毛が生えていたりいろんなところにトゲがあったりしておもしろかったです。
午後からは、午前の残りの同定を終わらせ、次に大学から寄贈されたハチの標本にラベルを追加する作業を行いました。この作業の途中で学芸員の方から2人ずつで展示の資料に使う写真の撮り方を教えていただきました。アリジゴクをモデルに実際に見せていただきました。普通に写真を撮るのとは異なり手前から順にピントを合わせた写真を連続で数枚撮ったものを合成して1枚にするというものでした。これにより全身が鮮明に写っていました。展示に使われている写真が鮮明に写っている理由を知ることができました。
博物館実習を通して学芸員に必要なのは幅広い知識はもちろんのこと、標本を綺麗に作成する技術や並べ方のセンスも必要だなと感じました。
3班 Y.S

冬季博物館実習5日目

実習最終日の5日目、2班は午前中博物館における教育・普及面の話を聞いたのち、ゲームを通して情報の伝え方について学びました。午後は展示解説をやってみるという実践的な実習を行いました。

はじめに、地層やタンポポ、骨格標本、紙芝居などの学校向けの貸し出しキットについての話をしていただきました。貸し出しキットは、子供たちが親しみやすい身近なテーマをもとに、貸し出ししても壊れないような丈夫さ、分かりやすい解説やラベルといった工夫がされていました。特に当博物館はこのような貸し出しキットが充実しおり、教育に力を入れている様子が伝わってきました。学校ではできない、博物館だからできる教育というものがあるのだと感じました。
午前の後半はカードに描かれた絵を、相手に言葉だけでどれだけ伝えられるかのゲームをしました。簡単な絵でも、情報をどれだけ細かく話すかや、伝える順番などで伝わりやすさが左右されるということを学びました。このことは、日常生活での会話でも生かせるスキルだと思いました。

午後は、第2展示室の展示物のなかから1人1つテーマを選び解説を考えて、実際の展示の前で5分ほどの発表をしました。私はナウマンゾウとオオツノジカと人類との関係について話しました。限られた時間のなかで、展示物の特徴や自分が面白いと思ったこと、背景知識などを詰め込むのは難しかったです。伝えたいことをどのような流れで説明するとわかりやすいのかだけではなく、立ち位置や、実際に話しての練習の重要性を学びました。今後、人前で発表する機会は少なくないので、今回の実習は大いに役に立つと思います。
5日間を通して、博物館の裏側から、展示、教育・普及まで幅広い博物館のありかたを知ることができ、とても有意義な実習となりました。ありがとうございました。
(G大学 N.Y)

2018年01月11日

冬季博物館実習4日目

2班は午前中は収蔵庫内の貝殻の標本の整理を行いました。
今まで貝殻の棚は木製のものを利用していましたが貝殻を木で囲ってしまうと保存上良くないためため棚を変える準備を手伝いました。また同様の理由で脱脂綿や木箱も保存に適していないためプラスチックケースや化学繊維のワタが保存に適しているということを学び、自然由来のものよりも人工的なものの方がよいことに驚きました。
棚の引き出しの中には様々な大きさの貝が収蔵されており、力仕事かつ単調な仕事ではありましたがとても楽しく作業できました。
午後は液浸標本を扱いました。液浸標本に使用している液体のほとんどであるエタノールは揮発性であるため、長期間の保存で減っていってしまうため、エタノールの補充を行いました。液浸標本と聞くとホルマリンのイメージがとても強かったですが実際にはホルマリンはギ酸に変化してしまうため、標本をホルマリンで固定した後は70%エタノールで保存していると学びました。
また、液浸標本のラベルは標本と一緒にエタノールの中に入れておりすべて手書きのものであることにとても驚きました。今回扱った標本はほんの一部でしたが、その数のエタノールの補充だけでもかなり時間がかかったので1つずつ手書きで細かい情報を書くのはかなりの時間と労力がかかったんだろうなと感じました。
明日は最終日なのでわからなかったことや気になったことは今まで以上に積極的に聞いていきたいと思います。
2班 M.S

冬期博物館実習4日目

本日は昆虫、特に鱗翅類に関する実習でした。
午前は昆虫の研究室や書庫、所蔵庫を見学し、基本的な昆虫の保存方法について学びました。昆虫標本において最も大事なのは、産地と年月日を記したラベルです。いつどこで採集できたか、という情報は当時のその地の環境を把握する重要な手掛かりとなります。近年国内では開発が進み、生物相は激しい変遷を見せています。今後、今回触れたような数十年以上前の標本はますます貴重なものになると考えられます。
また学芸員という立場では新種を記載することもあるようですが、求められているのは害虫の新種記載と生態の解明であるというのは印象に残ったお話でした。これまで1種だと考えられていたものが生態等の差から新種だと認められることが多いそうです。地域に密着している博物館ならではの職務だと感じました。

午後は未整理の標本にラベルを追加する作業を行いました。ヒョウモンモドキ (Melitaea scotosia) の標本を多く扱いましたが、本種は国内で最も危機的な生息状況にあるチョウであり、現在では採集が禁止されています。今回の標本は何れも30年以上前のもので、各地の亜種なども複数個体ありました。このような貴重な標本が整理されずに存在していても誰も利用できないので、標本はラベルを添付し整理されてこそ価値あるものだということを学びました。
また学芸員の方のお話によれば特別展や学校教育などでは、まず人の興味を引き付けるために見た目が鮮やかな標本を冒頭に見せるという手法が有効だそうです。哺乳類と比較するとマニアックで見慣れないものも多い分野では、導入部に工夫が必要なのでしょう。

本日の実習で専攻とは大きく異なる分野のことを学べ、非常に新鮮でした。最終日の実習でも視野狭窄にならず、幅広く学ぶように意識し続けたいと思います。
1班 T・K

冬季博物館実習 4日目

3班の本日の実習内容は主に種子の標本整理でした。
まだ未整理の種子を、科ごとにボックスに入れ分別していきます。科が分からない植物は、自分たちで調べたり、今日1日ご指導をいただいた横川先生に教えていただいたりしながら分別を行いました。
押し葉標本を学校の授業で取り扱うことはあっても、種子の標本を扱うことはなかったため、大変いいものを見せていただきました。種子は同じ植物の器官とは言っても本当に多くの種類があります。植物はそれぞれの環境で生き残る戦略を持っているわけですが、種子にはとりわけその植物の戦略が表れた器官であると感じました。

その後、特別収蔵庫に保管されている植物標本についての説明を受けました。他の博物館にはあまりない貴重な標本をみせていただいたり、標本管理の方法について教えていただいたりしました。
収蔵庫は常に温湿度の管理を行い、また防虫剤であるナフタレンの交換も定期的に行うなど、標本をいい状態で保存するには労力がかかると思いました。きっとマメな性格とは程遠い私ではすぐに標本をダメにしてしまいそうです。

明日は実習最終日です。最後までより多くのことを学べるよう意欲的に実習に参加していきたいと思います。
3班 T.H

2018年01月10日

冬季博物館実習3日目

博物館実習3日目、3班は動物の骨格標本を作りました。
実習生が2人1組となり、1種類の動物を担当しました。私は大型の猿であるドリルを担当しました。
骨格標本は1年ほど砂場で微生物や昆虫などに肉を分解してもらい、ほぼ骨だけになったものを水につけ、ブラシなどできれいにすることで作成します。
普段見る骨格標本は真っ白であることが多いように感じますが、実際の骨は黄土色や茶色のものが多かったです。これは微生物の働きや太陽にどれだけ当たったかが影響する、と教えていただきました。
実習では骨に残った肉を骨が傷つかないようにメスやハサミで取ることが難しかったです。
今日はドリルの他にカリフォルニアアシカとメガネグマの骨格標本が作られ、実習の最後にそれぞれの骨格を比較しました。頭の大きさはどれも同じくらいでしたが、背骨の大きさや足の長さなどが大きく異なっていました。また、骨を組み合わせると各関節の可動域などがわかり、面白かったです。

実習も半分が過ぎ、残り2日です。明日3班は植物に関する実習を行います。私は特に植物に興味があるのでどのようなことをするのか楽しみです。
3班N.K

博物館実習 3日目

博物館実習3日目は、常設展示のメンテナンス作業をしました。実習1日目と2日目の「普及行事の実施」とは異なる、「展示」という博物館の役割に関係する内容です。具体的には、情報端末の清掃と案内パネルの差し替えを行いました。
常設展示は、初期の建設以降、小規模な改修は何度か行われますが、多くは何年も同じ資料を使い続けます。そのため、定期的な掃除や修繕は常設展示の維持に不可欠であり、必要に応じて内容も修正していかなければなりません。
今回、実際にメンテナンス作業をすることで、「展示を見る人」と「展示を作る人」の2つの視点で展示を考えることができました。見る人にとっては分かりやすい展示が、作る人にとっては扱いにくい展示であったり、作る側の事情で、改善が難しい展示があったりと、様々なケースがありました。誰にとっても最善の展示を実現するのは、非常に難しいことです。限られた予算や時間の中で、学芸員のみなさんがいかに工夫をされているのか、その点を意識した実習ができました。
1班 S.T

冬季博物館実習 3日目(2班)

実習3日目(2班)

実習3日目からは実習生が3つの班に分かれ、実際に学芸員の方に教わりながら作業をしていきます。
本日、2班は長谷川学芸員に作業を教わりました。

実習内容は、まずは収蔵庫の整理と掃除をしました。未登録の果実標本を探して実習室に運ぶことが主な目的です。
収蔵庫内は貴重な標本などが雑多に置かれていて、どれが価値のあるものか分かりにくく、すべてを把握するのは大変そうだなと素人目に感じました。

実習室に果実標本を運んだあと、その標本の登録作業と標本に虫が付いていないか確認する作業を分担して行いました。僕は登録作業をしました。標本に付属しているラベルに書かれている情報をExcelに入力していくのですが、さく葉標本の場合は標本毎に付属しているラベルが標準化されているのに、果実標本の場合は情報が揃っていないものが多く、判断に困ることが多かったのですが長谷川学芸員に助けてもらい、無事に作業を終えることができました。僕は大学では気象学について勉強しており植物には詳しくないのですが、面白い形をした植物の標本が多々あって見ているだけでも楽しかったです。

虫がついていないかチェックする作業は、博物館同士で交換する標本を調べていたようです。博物館同士で交換することで地元の標本以外のものをいつでも見れるように保管しておくのが狙いなのだそうです。

作業の最中、様々な貴重な小話が聞けてとても面白かったです。残り2日も楽しみたいと思います。
2班 Y.T.

2018年01月08日

冬季博物館実習 2日目

実習2日目

本日、午前中は博物館の沿革や入館者数についてのお話を担当学芸員の方にしていただきました。
大阪市立自然史博物館が小さな改装を繰り返していることや、来館者の興味は恐竜に多く向いていること、特別展を開催する際に気をつけていること等、実践に基づいたリアルなお話を聞くことができて大変興味深かったです。
私は美術系の大学から実習に来ているので、美術館と博物館の資料に対する考え方や運営の違いも知ることができて非常に面白いと感じました。

午後は昨日に引き続き博物館たんけん隊という、小・中学生向けのバックヤード見学ツアーのお手伝いをさせていただきました。
私は高学年、中学生の班を担当する予定だったのですが、近年博物館のイベントに参加する子供達の低年齢化が進んでいるようで、高学年の子はたった一人、他は殆どが中学年という構成でした。
剥製を作る作業を見ながら「これ知ってる〜!」と盛り上がる子供達もいれば、化石を削り出す作業を興味津々に見つめたり、静かに学芸員の話を聞いてメモをとる子もいました。昨日も同じツアーを体験したのですが、やはり積極的に身を乗り出し質問する子と静かに後ろの方で聞いている子に分かれてしまうので、おとなしい子が質問しやすいように促してあげられれば良かったなと反省しています。
収蔵庫には骨や化石が保存されている『一般収蔵庫』と、草花や昆虫の保存されている『特別収蔵庫』、蛙や魚が瓶詰めされた標本が保存されている『液浸収蔵庫』の3つがあり、一般収蔵庫ではクジラの骨や40億年前の石を見せてもらうことができました。特別収蔵庫はナフタリンの匂いがとても強く、苦手な子は特別収蔵庫をとばして、液浸収蔵庫をより多くの時間まわってもらうことになりました。
石の説明を聞いて「地球ができたぐらい昔や」と驚く子供がいたり、液浸収蔵庫でエイの卵を見た子供が「ネコザメの卵はドリル型やねんで」と知っていることを話したりして、子供達同士で教えあったりしている場面が多くありました。度々子供達のコメントにはスタッフさんや学芸員の方までもが「よく知ってるなぁ」と感心されていて、私もこの二日間で子供達の知識量に驚くばかりでした。

明日は休館日なので実習はお休みです。
明後日はどんな経験ができるのか楽しみにしつつ、実りある一週間になるよう多くを学びたいと思います。

3班 M・K

2018年01月07日

冬季博物館実習1日目

実習1日目
本日は博物館たんけん隊のサポートを行いました。午前は博物館たんけん隊の確認のために実際にルートをまわりました。午後は博物館たんけん隊の3,4年生のサポートを行いました。3,4年生のタイムスケジュールにはテレビカメラが付いてきていたので子どもたちはそちらに興味津々でした。しかしカメラを意識していたのははじめだけで、学芸員の方の説明や収蔵されているものをみて、最後にはカメラの存在を忘れて楽しんでいるようでした。
博物館の収蔵庫など、バックヤードをしっかり見てまわったのは初めてだったので子どもたちと一緒に学ぶことができました。また、実際に一緒に回ってみると積極的に質問している子が多く、子どもたちの視野の広さと積極性に驚かされました。実習の期間、子どもたちを見習って積極的に学んでいこうと思います。
2班 M・S