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2018年08月31日

2018年夏季博物館実習1日目

近畿大学のN.Mです。
実習初日、午前中の最初の行事は博物館についての説明でした。ほかの博物館と比べても特に友の会などの教育普及活動に力を入れていることや、とにかくお金がなくて困っているという話をお聞きしました。その後の学芸員室の案内では、ありとあらゆる隙間にさまざまなものが置いてあり、隙間があればものを置くのが学芸員の習性である事がわかりました。特に旧実習室に積み重なっていた動物の毛皮には驚きました。その後は収蔵室見学でした。収蔵庫は思っていたよりも広く、標本の多さには驚きました。展示は博物館の標本の氷山の一角でしかないことが実感できました。
展示室見学ではジオラマ展示や、触れる展示など一見するととてもよさそうなものにも整備がしんどかったり壊されたりなどの欠点も多いことがわかりました。
その後は特別展の見学でした。今回のテーマはキノコなのですが、押し花のような美しい展示や絵の展示など、キノコに興味のない人でも楽しめそうなすばらしい展示でした。キノコ展はまだまだ開催中ですのでぜひ見に行ってみてください。

2018年夏季博物館実習4日目2班(8/24)

8月24日(金)前日の台風が過ぎ去り、天気は見事な晴れ。博物館実習4日目の始まりです。
本日の2班の実習を担当して頂くのは、動物担当の石田さん。主に貝類の研究をされている方です。作業内容は、杉本コレクションの貝の分類・仮番号の登録を行うというものでした。

作業内容を説明すると、貝の1つ1つはマッチ箱ほどの小さなプラスチック製のケースに保管されています。その中には、種名・学名・採集地・採集日・貝の見た目など、貝に関する情報が記載された「ラベル」というものが入っています。2班が行ったのは、そのラベルをプラスチックケースの中から見つけ出し、記載された内容を読み取り、Excelに入力してデータを残すという作業でした。ラベル内容をExcelへ入力後は、Excelの番号と対応させた仮番号ラベルをケースの見えるところに入れ、番号ごとに段ボールに収納しました。

一見簡単で楽そうに思えるこの作業ですが…とても細かく神経を使う作業でした。

まず、プラスチックケースからラベルを取り出すには、ケース内に保管されている貝やその下に敷かれている脱脂綿を一度出す必要があります。この貝がとても小さいのです。凄く小さいです。中には米粒よりも小さな貝もあり、もし落として失くしてしまったらどうしようと、内心ドキドキしていました。また、ラベルを探すのも一苦労で、何枚にも重ねてある脱脂綿の間に挟んであったり、貝の中に収納されていたりと、まるで宝探しのようでした。そして、一番大変だったのがラベルの読み取りです。私が担当した杉本コレクションの中には、古いもので採集日が昭和3年のものがあり、それは今からおおよそ100年前ということになります。現在の奄美大島が大隅大島となっていたり、漢字の表記が旧字体で読めなかったり、そもそもラベルの劣化が激しく読み取りが不可能なものなど様々でした。解読が難しい文字に出会う度に石田さんに尋ねたり、同じ班の実習生と一緒に考えたりと、難問クイズに皆で挑んでいるような感覚でした。1人当たり200個以上の貝の整理を行い、最初は果てしない作業のように思えましたが、珍しい貝を見ながらの作業はとてもワクワクして楽しかったです。

今日の実習を通して、貝には多くの種類があることを知りました。1つとして同じ形のものはなく、今まで見たことのない貝を沢山この目で見ることが出来ました。特に、一生を浮遊して生きる浮遊貝という種類を目にしたときは驚きました。ヒラカメガイの透明な体とカブトガニのような美しいフォルムには感動しました。いつか生きて泳いでいる姿を見てみたいです。また、私は趣味で釣りをするので、これからはもう少し足元の生き物に目を配ってみようと思いました。今回、石田さんから初心者向けの貝の同定の本を何冊か教えて頂いたので、素敵な貝を見つけたら拾ってみたいと思います。
(K大学 N.T)

2018年度 夏季博物館実習(5日目)

 5日目は毎月恒例行事の植物園案内の補助を行いました。

 午前中は、案内してまわる場所の下見へ行きました。朝から天気が良く、小さい子や高齢の方、いつもクーラーが効いた部屋で作業している大学生には厳しい天気です。できるだけ木陰のあるルートを案内してまわることになりました。また、補助スタッフが多いため、普段は使わない生物顕微鏡を持ち出しての観察も行いました。
 園内には、大小多くの枝が落ちていました。「2日前の台風だろう」くらいに思っていると、すかさず解説が入りました。枝が落ちる原因にもいろいろあるのです。台風の影響も勿論ありますが、大きさや切り口、枝の状態からエネルギー効率上元々落ちる予定だったもの、チョッキリが産卵して切り落としたもの、カラスによる枝落としによるものなど、いろいろな要因で落ちた枝が見つかりました。身近にあるものでも、知らないと気づかないものが多いのだなと思いました。他にも、シイ・カシ類とブナ・ナラ類のドングリの出来方の違いを実際に割ることで確かめたり、葉のフェルトのような手触りの面にある星状毛を観察したりしました。また、まわっている途中でボランティアの方が芋虫見つけましたが、種類が分からなかったので、窓口にいた昆虫担当の方に聞きました。相談窓口担当になるとこんな感じでいろいろもって来られるんだな、大変だなと思いました。

 お昼過ぎから植物園案内開始の時間までは、午前中に拾ってきたものを観察しました。同班の方がアキグミの未熟な実(美味しくないらしい)を割って顕微鏡で観察していたので見せてもらいましたが、予想外にケバケバした繊維が詰まって驚きました。絶対家の布団よりふかふかしている……というのは、どうでもいい感想ですね。

 午後からは実際の植物園案内へ。幅広い年齢層が集まっていました。顕微鏡での花粉観察、ドングリをつける樹木の解説と観察、カミヤツデの星状毛の観察、ヤタイヤシやシュロなどの実の被食などの解説を行いました。
 何度か植物園案内に来ているご婦人と話していると、顕微鏡を使っての観察はほとんどしたことがなく、こんなにミクロな世界を見たのは初めてだ、と嬉しそうにしていたことが印象的でした。植物園案内などの行事は、植物や動物などの知識がほとんど無い人たち以外にも普段から来てくれている人たちやある程度知識を持っている人たちも参加しています。特に大阪市立自然史博物館ではリピーター率が高いと聞いています。ただ単純に全く知識のない人だけを対象にせず、色々な人が知識を増やし、楽しむことができるような工夫を考えることも必要なのだなと思いました。

 5日目を通して、よく観察し疑問を持つこと、それを調べて自分の知識を増やすこと、誰もが楽しめるような工夫を考えることが大切だと感じました。
(4班 K大学 K. M)

2018年08月30日

2018年夏期博物館実習2日目 1班

実習2日目、班別での本格的な実習の始まりです。
1班では、貝の分類・仮番号登録を行いました。

貝は既にプラスチックケース内に保管されており、種名・採集地・採集日・貝の状態などに関する記述など、いわばその貝の情報が詰まった“ラベル”というものがケース内外にあります。私たちが行ったのは、そのラベルに記載された情報をエクセルに入力し、データを残すことです。その際、種名に誤りがないかの確認や、解読が難しい文字を石田学芸員に尋ねながら作業を行いました。筆記体で書かれた学名や、古い漢字など、はじめは読むのに苦労しましたが、だんだんと特徴がつかめて推測出来るようになり、作業効率が上がっていきました。
ラベルは脱脂綿の間に挟まっていたり、貝の中に入っていたり、ケースの底や表面など目につきやすいところにあるとは限らないため、見つけて取り出すときは、宝物を見つけたような感覚でわくわくしました。

中には普通の用紙にメモ書きをしたくらいの簡易的なものもありましたが、それがあったおかげで貝の情報を正確に拾うことが出来るので、ラベルを書くことの重要性を感じました。
ラベルの情報を入力した後は、仮番号ラベルをエクセルの表の番号と対応させてケースの見えるところに入れました。こうして整理が終わった標本は番号ごとに段ボールに入れました。
集中して作業した結果、1人あたり120個ほどの貝を整理することが出来ました。その全てがどれひとつとして同じものは無く、数をこなしていく度に知らなかった新しい貝を知れるのが楽しくてあっという間に時間が過ぎていきました。学芸員の方がこの作業をするとなると、他の業務でお忙しい上に、あっという間に時間が過ぎてしまうので大変だな、とも思いました。 
(M大学 E.K)

2018年度夏期博物館実習5日目(5班)

2018年8月25日、博物館実習5日目。
この日は博物館実習最終日で、”植物園案内”という長居植物園でのイベントに補助スタッフとして参加させていただきました。
イベントは午後からの開始で、午前中は学芸員の方と博物館ボランティアの方々と一緒に長居植物園にて下見を行いました。私は、専門が植物でないこともあって植物に関する知識はほぼ皆無でしたが、学芸員の方や博物館ボランティアの方々、そして植物に詳しい実習生たちから園内の植物を見ながら知識を吹き込んでもらうことで2時間程度の下見にも関わらず、随分と色々なことを知ったように感じた上、実際にイベントに参加する人の気持ちが分かった気がしました。知識がない人にとっても面白いと感じる豆知識を普通に話すことができる学芸員や博物館ボランティアの方々は、とても参加者の気持ちに寄り添うことができておられてすごいと思いました。そういった力は、ただ部屋にこもって勉強しているだけではつかず、野外に出て人や生き物とたくさん関わることで身につくと思ったので、私も実践していきたいです。
下見を通して、今回の植物園案内では、この時期ならではの植物に加えて、数日前の台風の影響で地面に落ちていた折れた枝や葉などに注目することにしました。しかし、実際にイベントが始まると、下見で見ていた植物の他に、参加者の方が発見したキノコの解説なども加わりました。この様に、博物館のイベントでは、学校の授業と違って、参加者の発見や疑問に応じて中身を自由自在に変えることができるのを目の当たりにしました。その場で参加者の疑問を解決する学芸員の方の対応や、図鑑や映像と違ってありのままの植物を観察することで臭いや感触、生え方などを見ることができること、そして解説員からだけでなく参加者同士で情報を交換したりするなどといったコミニュケーションを取る機会があるということが、このイベントの良いところだと、私は思いました。また今回は、補助スタッフが多かったということもあり、野外での顕微鏡観察が加わりました。これには、いつも参加されている方々も興味を持って下さり、楽しんでいただけたように感じました。

私は五日間の博物館実習での展示、標本整理、収蔵庫での作業、植物園案内などを通して、学芸員の仕事の奥深さを実感しました。そして学芸員の仕事とは、研究や展示がメインだと考えていましたが、想像以上に人との関わりが多い仕事であることを知りました。今回の植物園案内では特にそのように思いました。当然のことですが、学校で学んだ座学以上に博物館のことを学ばせていただきました。五日間ありがとうございました。
O大学 Y.O

2018年08月28日

2018年 夏季博物館実習 8/23

 夏季博物館実習も3日目を迎えました。大阪に台風20号が直撃した日でした。
 
 本日は、データ表作りと標本をアルコール漬けにする作業を行いました。扱った標本は、こないだの大阪北部で発生した地震による被災した魚や両生類を中心とする標本でした。ラベルのデータが失われる前に、表計算ソフトExcelを使って管理番号・博物館内での管理コード・和名・学名・採取者・採取日時などの情報を一覧表にまとめました。標本ビンの中にはラベルが種の同定しなおしで複数あるもの、同一ビンに他種の標本が含まれているものも中にはあり、そのような場合の対処を知ることができました。
 標本をアルコール漬けにする作業では、安全性の観点によりホルマリン漬けから一度取り出されたものを標本ビンにアルコールに詰めなおしを行いました。実物を見ながらの作業であるため、同時に個体数を確認し、データ表に打ち込む作業を並行して行いました。

 現在専攻している分野ではありませんでしたが、魚の同定を大学のほうで少し学んでいたので標本ビンに詰めなおす際、間違いのないよう注意しながら作業を進めることができました。標本の取り扱いについて学ぶ事ももちろん重要ではありますが、作業をしながら魚の形態的特徴・種類・採取地についても知ることができ、知見が広がったと思います。
 また、古い標本ビンが割れてしまう、ラベルの文字が解読できない、などのハプニングもありましたが同じ班のメンバーと協力して調べたり声を掛け合ったりすることで次第に作業に慣れ、協力して進めることができました。
 作業の感覚がようやくつかめてきた頃、台風20号が直撃した影響で強制解散になってしまいましたが、短い時間の中でも普段あまり触れないような分野・作業に触れられて充実した時間を過ごせたと思います。

2018年夏季博物館実習 5日目

博物館実習最終日は、植物案内のイベントの補助スタッフをしました。

午前中に下見を行い、午後2時半から一般のお客様と一緒に植物園の中を散策しました。
植物園の中は、先日の台風で折れた枝や葉がたくさん落ちていました。その中からネタにできそうな木を見繕っていきました。例えば、どんぐりには、アラカシのように花が咲いたその年の秋に実を結ぶ1年成のものと、クヌギやマテバシイのように花が咲いた翌年の秋に実を結ぶ2年成のものがあります。2年成のどんぐりは、1年目は小さなどんぐりの赤ちゃんをつくります。今まであまり意識して植物を観察したことがなかったので、新しい発見をたくさんできました。

午後からは一般のお客様と一緒に植物案内本番です。午前中に見て回った所の中で、面白そうなところをピックアップして案内しました。今日は実習生がたくさんいるということで、簡易的な顕微鏡と野外用のミニ実体顕微鏡をもっていきました。顕微鏡はプレパラートを作る必要があり、あまり野外観察には使わないのですが、今回はカバーガラスの代わりにセロテープを使うという強行手段をとり、道中で発見したサルスベリの花の花粉やサルノコシカケの胞子をその場で観察しました。
植物案内に参加してくださった方は皆さん積極的で、落ちている枝や葉を手に取って観察したり、学芸員に質問したりメモを取ったりしていて、私自身もいい刺激を受けました。また座学と違い、実際に植物を観察しながら学べるのは、分かりやすくおもしろいし、博物館の利点だと思いました。

博物館実習をしてきて、普段は入れない収蔵庫の標本を見たり、学芸員の実際の仕事のお手伝いをすることができて、とてもいい経験になりました。5日間ありがとうございました。
(K大学 I.O)

2018年08月27日

2018年度夏季博物館実習4日目

実習4日目の3班は地史の分野についての実習を行いました。と言っても、午前中は化石の事について色々と教えてもらったり、過去に展示していたという化石や地層の模型などを見せてもらったり、と実習というよりは楽しい講習を受けたような感じでした。
化石というと、恐竜の化石とか古代生物の化石などを思い浮かべてしまいがちですが、体の実物がある物だけでなく、生物の生活の痕が残ったものも化石と呼びます。例えば、足跡の化石や糞の化石などなど…。植物の呼吸した痕などもそうです。実はこのような痕の化石、生痕化石は「その生物が確実にその場所に生きていた」と分かるため、生物の体が化石になった体化石よりも資料として重要らしいです。化石に知識のない私からすると意外な気もしますが、体化石だと死骸が風、波などにさらわれたり他の生物によって運ばれたりと、意外と簡単に場所が変わってしまうのだと言います。
他には、少し特殊な化石として鉱化化石というものがあります。これは生物体が鉱物成分のある地層に埋もれて、長い時間をかけて生物体が鉱物成分に置き換わってしまうという、その名の通に鉱物になってしまった化石の事をいいます。アンモナイトや大きな木の幹も鉱物に置き換わって、綺麗な石のようになります。なんとも神秘的で素敵ですね。大きな鉱化化石は触れる展示品として展示されることも多く、ちびっ子にも大人気だそうです。やはり触れる展示は需要が高いですね。
また、これは余談ですが、波の痕跡が残った「波の化石」というものもできるのだそうです。しかし、波は生物ではないため厳密には化石とは言わないのだとか…。それでも、波にも痕が残るなんてすごいですね。
私自身は地史が専門ではないので、初めて知るような事も多く、ワクワクドキドキしながら聞いていました。

午後は整理しきれていなかった資料の整理、というなんとも地味目な作業になりましたが、裏方仕事は好きなので個人的には楽しく作業できました。
それにしても膨大な量の資料がありますので、整理しきれない、置く場所がない、というのも理解できます。これから長い時間がたつにつれ、資料もますます増えていくでしょうからすべての資料を収蔵する、という事は難しいのでしょうね。そんなことを思いながらも、資料のサイズに対応できる高さの変えられる棚や、引き出しのサイズに対応した大小さまざまな仕切り箱など、考えられた収蔵法に感心しながら整理しました。
T大 GM

2018年度夏期博物館実習5日目(2班)

5日目は、大阪市立自然史博物館で月1回に定期的に行っている長居植物園案内に補助スタッフとして参加しました。

午前中はまず、午後から案内する長居植物園の下見を行いました。植物園では、若い葉は丸い形をしているが成長すると四角く角張った形になるユーカリや、果実がなっていて食べると甘みの少ない柑橘系のような味がしたヤタイヤシなどの日本には生息しておらず普段の生活ではなかなか見ることができない植物をたくさん見ることができました。

午後からは、観察会が始まるまで、下見で持ち帰った植物の葉や実を実体顕微鏡で観察しました。顕微鏡で観察するとアキグミの実には細かい毛がたくさん生えていたり、葉の裏面をみると猫の肉球のように見えたり肉眼で見るのとは全く違った印象になり面白かったです。
そして観察会では何人かの観察会に参加された人とお話しさせていただいたのですが、とても植物についてくわしい方が多く、学芸員の方の説明にたいしてメモを取ったりと、とても勉強熱心なかたも多く、私も刺激を受けました。今回の観察会で印象的だったのが学芸員の方が非常に大きくはっきりとした声で話されていたことです。初日に「学芸員には大きな声があるといい」といったお話を聞いていたので、今日の観察会でそのことが実感できました。

今回の実習では標本の整理や標本の作製、観察会など様々な業務を学ばせていただきました。また、一日ごとに違った専門の学芸員の方からのお話を聞けるのがとても新鮮でした。5日間の実習ありがとうございました。
(2班K大学A.N )

2018年度 夏季博物館実習4日目(5班)

博物館実習4日目、5班は、昆虫研究室の初宿学芸員が担当下さりました。主に昆虫標本の取扱いについて教えて頂き、受入れ標本に、高校からの移管標本であるラベルを付け足す作業と、標本の数を数える作業を行いました。

博物館には、120万点の昆虫標本があり、展示以外には主に収蔵庫に保管されています。採集、寄贈、移管などにより博物館に標本を受入れた場合、資料受入票に記録され、年度末に、ガ、チョウ、トンボなどに数が集計される話や、薬剤燻蒸だとDNAの収量が落ちるため、マイナス50度の冷凍庫に5日間入れるという方法の燻蒸をしてから室温に戻し、収蔵庫に入れられる話をして下さり、実際、大きな冷凍庫に入れたり出したりの作業のお手伝いを移動のための台車を用いて、1つ目の作業を行いました。

2つ目の作業は、受入れ標本は、ドイツ箱(ドイツ式標本箱)に入っていて、針に刺さっている昆虫標本と採集ラベル(採集地、採集年月日などの情報)を、標本、ラベルごと一緒に抜き、発泡スチロールの上に置いた高校名と移管標本と分かる記載のラベルに、昆虫標本と採集ラベルの下になるように針に付け足し、ドイツ箱の中の元あったところに刺し戻し直す作業を行いました。

3つ目の作業は、同じく受入れ標本で、ドイツ箱に入っている昆虫標本をガ、チョウ、甲虫などの単位で、数を数える作業をしました。ドイツ箱の中の標本はある程度目レベル毎になっていて、大変楽でしたが、数を数えるのが大変でした。

高校名と移管標本と分かる記載のラベルをつけ直す作業がほとんどで、同じ班の実習生がまだまだ終わらない畑仕事という言葉に、皆が笑いながらも、頑張りつつ、標本を大切に扱わなければならないので、神経を使いました。こういう地道な作業をやり続けているのが、学芸員の仕事の1つだとあらためて学びました。有難うございました。
(5班 Y大学 Y.H)

2018年08月26日

2018年夏期博物館実習3日目5班

5班のMOです。
実習3日目、5班は植物標本の整理を行いました。収蔵庫内の様々な標本コレクションを見て、標本の様式や必要性について学びました。植物標本はさく葉標本と呼ばれる様式、いわゆる“押し花”で作成されることが多いです。押し花との違いは、学名、科名、採取場所(緯度経度や標高も含む)、採取日、採取者、同定者などが書かれたラベルが必ずつけられ、台紙に貼り付けられることです。また、標本は利用者が使いやすいように科ごとやコレクションごとに分けられて収蔵庫内に配架されます。

情報化が進む現代では、インターネットにつなぐだけで簡単に多くの情報が得られ、カメラの質も良いため標本は必要ないのでは?という疑問が浮かぶかもしれません。しかし、表面の毛の質感やDNAの採取など“実物”でなければ分からないことが多くあります。また、標本は1種につき1つあればよいというわけではなく、同じ種においても様々な場所でとることによって、可塑的な変化や地域変異などを比べることができます。さらに同じ場所においても様々な年代で標本を採ることによって、その種の分布域の変化、土地の植生の変化を知ることができます。
そのため、標本は自然史を知り研究を行う上でとても重要な役割を持ちます。これらのことは標本について学ぶ上ではよく聞く内容ですが、今回の実習で日本や世界各国、数十年も前の標本を実際に見ることで改めて実感することができました。

また、実習を通してとても印象的だったのは、標本は多ければ多い程よいというわけではないということです。植物に限ったことではないですが、標本を収蔵しておくスペースと標本を作製・管理する労力も大切な資源です。そのため、寄贈された標本をすべて受け入れるのではなく、保存すべき標本を“目利き”することが重要で、この“目利き”こそが学芸員の腕の見せ所だそうです。寄贈されたものの状態やラベルの情報から残す標本を選ぶことによって質の高い標本コレクションを維持できるのだなと思いました。

2018年08月25日

2018年夏季博物館実習 4日目 4班

本日4班はシマウマの骨を扱いました。
骨は既に長い時間かけて虫や微生物に肉部分を食べてもらうプロセスを経たものを使わせていただきました。博物館では同時に多くの資料を扱うため、急な分解方法(骨まで溶けないよう見張る必要がある)よりもゆっくりな分解方法の方が扱いやすいそうです。骨にはスジや汚れ、食べられなかった肉部分が付いており、メスやブラシを使って水洗いしながら綺麗にしてゆきました。骨格標本として収蔵庫で保管する際、資料を食べてしまう虫の餌となり発生してしまうことを防ぐ為にも可能な限り余分なところを取り除かなくてはなりません。私は初めてこのような作業をしましたが、割れた部分から骨の中の構造が見えたり、骨の重さを感じたり、匂いを感じたり(個人的には終始豚足を思い出す匂いでした)哺乳類の骨を身近に感じられる体験でした。
作業を終えた後、学芸員さんがその骨の配置や形の意味を教えてくださいました。細かい骨もたくさんありましたが、パズルのようにぴったりはまるごとが非常に面白いと思います。骨ってすごい…!神秘的! その後、収蔵庫で組み立てられた骨格標本や剥製、毛皮を見させて頂きました。博物館では標本受入表や登録台帳を用いて保管している資料の記録をしています。たくさんの資料を全て記録することは非常に大変ですが、博物館の交流や研究などの博物館活動において貴重な資料を保管する役割としてとても大切なことなんだと学びました。
あっという間に残り1日となりましたが、最終日も新たな知見やこちらの博物館でしか学べないことを吸収していこうと思います!
(H大学 Y•H)

2018年夏期博物館実習 二日目 3班

3班の今日の実習は昆虫標本の取り扱いでした。
主に寄贈されたチョウ目の標本を科毎に分類して整理するという作業を行いました。午前中は標本庫に収蔵されている資料を用いてチョウ・ガの見分け方、チョウの科レベルの分類についてレクチャーをしてくださりました。今までなんとなく見分けていたつもりのチョウやガも実際に資料を手にとって観察してみるとその多様性に驚かされました。それ以上にレクチャーして下さった学芸員さんの溢れでるトリビアの数々に、専門の研究だけでなく、幅広い分野を担当して普及教育に携わるプロフェッショナルの凄さを感じました。専門的な話をマニアにも素人にも面白いと感じさせる魅力を語れる能力も学芸員に求められるのだと知りました。
午後は実際に寄贈された標本を収蔵するために、チョウを科レベルで分類して標本箱に移していく作業を行いました。今まで私は正しく同定された標本ラベルが最も標本で大切だと思っていましたが、本当に大切なのは採取日や採取場所の記録であることを教えていただきました。変更されることもある学名に対して、採取情報は環境変化による分布変化や外来種の流入経路の推定にも利用できるそうで、そういった情報が失われないように管理していくことが博物館の大切な仕事の一つということを学びました。
(3班 H大 M.I)

2018年08月24日

2018年夏期博物館実習 4日目 1班

博物館実習も本日で4日目となりました。
1班は、現在特別展が開催している「キノコ」をメインとした実習を行いました。

午前はフリーズドライさせたキノコの標本作りでした。まず初めはキノコがフリーズドライされている機械を見学しに行き、そこからキノコを取り出す作業でした。少しだけキノコの香りがして、いい匂いがしました。たくさんのキノコを実習室に持ち帰り、袋詰めを行いました。20㎝ほどある大きなキノコでも全く重くなく、むしろ軽くて少しもろくなっていました。キノコを壊さないようにと慎重に袋詰めを行いました。そのあと、採取日が記された紙を入れ、標本を完成させました。また、顕微鏡を用いてキノコのひだの部分を観察しました。50年ほど前に採取されたキノコでしたが、くっきりと胞子が見えて驚きました。

午後からは、特別展に来館した方の入退館の時間を調査する実習を30分ほど行いました。来館者を観察し、何時に入館し、どのような展示に興味を示し、いつ退館したのかを調べました。来館者の方をあまりじっと見つめすぎると失礼だと感じたので、不快に思われない程度に観察していました。その後は録画されていた監視カメラの映像を見て調査を行いました。しかし、たくさんの方が来館されていたので正確に1人1人の入退館のメモが取れず、大変な作業だなと思いました。班のメンバー全員で画面を食い入るように見ていました。なかなか体験できないようなことをさせて頂いたのでとても面白かったです!

明日で博物館実習は最終日となりますが、気を抜かず最後まで全力で頑張りたいと思います!
(1班 S大学 Y.K)

博物館実習2日目

実習生5班のK.Oです。2日目は博物館の展示解説や新しい展示方法について考えました。
午前は第2展示室からそれぞれ標本や解説のテーマを自由に設定して、聞く人に楽しんでもらう方法について積極的に意見交換しました。午後に5分間のプレゼンテーションを行いました。それぞれ自分よ得意な方法を取り入れていて、楽しくもあり、展示についてよく知ることができる発表でした。例えば、Oさんの解説は火山岩をテーマにしていて、触ることのできる展示を利用することで岩石の特徴を体験することができます。Nさんは足跡の化石について、最新の研究成果を交えながら、恐竜の歩く様を臨場感たっぷりに語ってくれました。Oさん(この班には3人Oがいます。同一人物ではありません)は小中学生を対象に、相手の反応を上手に引き出すような語り口で、標本のラベルについて解説していました。どの発表もとても刺激的でした。
展示解説について深く考えると、展示室の見方も変わって行きます。同じ標本でも光の当たり具合で全く違って見えることや、パネルの効果的な配置方法について話しあったあと、理想的な展示室についてそれぞれプレゼンテーションをしました。Hさんからの現在展示されていない昆虫化石標本を充実させるといった具体的な意見から、中二階を作って恐竜の目線に立つといった意見まで、活発に話し合いました。
同じ展示を通しても人によって受ける印象は様々であり、解説の視点も参考になる点が多くあります。よく知った展示を見る際も、友人や家族、学芸員と積極的にコミュニケーションすることで新しい視点に気づくことがてきるのではないでしょうか。

2018年夏季博物館実習3日目 2班

台風が迫る中、実習の3日目が始まりました。
今日は第四紀の実習です。石を加工する石工室を案内・説明していただき、その後は小学生の教材に使うための石を磨く作業をしました。石の断面を観察するために表面を綺麗に磨くのだそうです。荒い研磨剤から細かい研磨剤に変えながらひたすら鉄板やガラス板に擦るのですが、単純に見えてとても力と体力が必要な作業でした。今日の心配事は台風よりも筋肉痛になりそうな事です。
私が小学生の頃に授業で習った時には教科書の写真を見る程度だったので、れき岩や砂岩などがどのような石なのか、川にはどのような石があるのかを実際に見て感じて学ぶことができるのはとても羨ましいと思いました。
粒の大きさで見分けるれき岩・砂岩・泥岩、白みがかっている石灰岩、透明感のあるチャートなど、ただの石だと思っていたものが様々な姿や特徴を持っているのだと実感しました。今までは落ちている石を見ても気にすることもなくスルーしていたけれど、たまには目を向けてみようかと思います。
あっという間に実習期間も半分を切りましたが、残りの2日もここでしか学べないことや新たな発見を楽しみに臨んでいこうと思います。
(2班 K大学 T.A)

2018年08月23日

2018年夏期博物館実習3日目 4班 昆虫

3日目【蟻地獄】
4班は昆虫の分野について実習を行いました。主にウスバカゲロウの標本作成と収蔵庫内での標本解説をして頂きました。

標本作成;
ウスバカゲロウはいわゆる「アリジゴク」の成虫の名として有名であり、砂浜や木の根元の砂、岩の窪みへ溜まった砂中など過酷な環境下でも生きられる種もあります(しかし全ての種がアリジゴクを作るわけではない)。
作業はまず、針刺し用の小紙をウスバカゲロウの右側面へ木工用ボンドで接着しました。この際ボンドが飛び出ぬ様注意し、触覚や手脚など取れている場合は同じ紙へ接着しておきます。乾いたら全ての標本の高さが合う様 針を刺して固定しました。
その後、後翅のRs分岐の横脈や前翅Rs分岐の位置・羽の模様・毛爪の細かさや触覚をルーペで観察しながら同定していきました。結果、自身の行った標本11個体のうち10個体はホシウスバカゲロウで1個体がウスバカゲロウでした。
今回の同定では検索表を使用したため比較的スムーズに作業が進みましたが、収蔵庫内の標本はまさに3D図鑑とも言えるものであり、全て整理していく事がどんなに難しいか身をもって感じました。今日は台風の到来につき午後の実習が削れてしまいましたが明日以降の実習も楽しみつつ頑張って臨みたいとおもいます!
(4班 M大学 S.I)

2018年度 夏季博物館実習3日目(1班)

 博物館実習3日目は台風の影響で実習時間が短縮されました。
 1班は未登録の化石・岩石の標本リストの作成を行いました。はじめに、標本リストを制作する前に、化石・岩石の扱いについて説明を受けました。実際に展示する化石・岩石の資料は標本よりも大きく、採集する際には2倍の大きさになり足腰を痛めかねない作業だとお聞きしました。実際に展示する岩石を拝見し、採集することを考えると腰が痛くなりそうでした。
 化石・岩石の標本リスト作成では、主に岩石を取り扱いました。番号をつけ、サイズに合う箱に収めていき、岩石に同封してある紙に書かれた情報を元に、名称・国・地域・岩石名を記録しました。紙に書かれていたものは英語で表記されているものもあり、和訳しても聞き慣れない言葉が多くありました。そのため、岩石の標本リストの記録作成は容易ではありませんでした。幼い頃、帰宅する際に、川に投げ入れたり、蹴ったりしている石も標本リストにある資料になっていると思うと、無意識に触れている自然があることに気づきました。
 この3日間で、大量の資料を管理することの大変さ身をもって感じました。残りの2日間も、博物館実習でしか学べないことを身をもって体験していきたいです。
(K大学・S.H)

2018年夏期博物館実習2日目(2班)

実習2日目、2班は植物分野の実習として「果実標本の整理」を行いました。

果実標本は実際にはほとんど整理が完了しており、科名ごとに分けてダンボールにて保管されていましたが、今後の展示に向けての最終整理をするという目的で、標本とデータベースの照合作業を行いました。

作業をする中で一番苦労をしたのは、果実標本のラベルは、押葉標本のようにラベルフォーマットが決まっていないそうで、標本の採集者やラベル作成者によって書き方が異なり、年代ごとの差や個人の癖が出ていて面白くもありましたが、情報が読み取りにくかったことです。

大阪市立自然史博物館には、果実標本だけで1,000点近くの標本が保存されており、班員4人がかりで1日かけて、やっと照合作業を終えることができました。地味な作業ではありましたが集中力と体力が必要で、終了後はかなり疲労感がありました。

ただこの照合作業は、実際には、担当の学芸員の方1人で定時後や他の業務の空き時間に行うものとのことで、「学芸員ってもしかして、かなりブラックなのでは…」と思ってしまいました(ご指導頂いた学芸員のHさんによると、「前職にくらべればはるかに楽」とのことでしたので、私の体力がなさすぎるだけかもしれません…)。

大阪市立自然史博物館には、植物担当の学芸員の方は2名在籍されていて、その2人で約40万点の植物標本を管理されているそうです。さらに毎年5千点程の標本が増えていくそうです。実習初日のオリエンテーションでもお話がありましたが、博物館あるあるの「空いたスペースにはモノを置く」というのは、博物館では自然なことで仕方がないんだということを感じました(ただし、仕方がないとはいえ、
控えめにいっても裏側はかなり散らかっている印象を受けました)。

人不足、スペース不足、予算不足…。そんな大変な状況の中、来場者の為に面白い展示を考えて提供してくださっている学芸員の皆様に改めて感謝をしなければと思います。

明日以降もまだ実習は続きますので、いろいろな分野の学芸員の方から面白いお話が聞けるのをとても楽しみにしています。
(2班 Y大学 Y.F)

2018年夏季博物館実習2日目(4班)

8月22日、夏期の実習の2日目として、4班は、「土壌の剥ぎ取り標本の作成」をメインに行いました。

標本の作成とはいえども、
標本自体は学芸員の方が淡路島にてとってこられたものを扱ったため、
1、土壌の剥ぎ取り標本の修繕
2、土壌の剥ぎ取り標本の張り付け
をやらせていただきました。

剥ぎ取り標本とは
地面の断面に接着剤を染み込ませ、布へくっつけたのち剥がした地層や土壌の断面を切り取った標本となります。

標本の作成において、
1および2で用いる接着剤がそれぞれ違い
1では、固まっても柔軟性のあるトマックNS10(標本の凹凸に対応できるため)
2では、エポキシ系にマイクロバルーンを混ぜたもの(非常に固くなり、確りと固定される)
を用いるなど、学芸員の方に特性を教えていただきながら作業をしました。
実際、固まった接着剤を触る機会もありましたが、非常に性質が異なるため、特性と用途を考え、適当に利用することは、当然ではありますが非常に大切なことだと感じました。

(エポキシ系接着剤の混合過程では、途中からかなり重くなりました。)
(どちらの接着剤も服等につくと取れないため、捨てても良い服orエプロンをし、行いました。)
(接着剤で板と標本を張り合わせた後、乾くまでは重しをのせて待ちます(今回はここまでで終了しました。))

大阪市立自然史博物館では、剥ぎ取り標本を2のように、板に張り付け保存していますが、巻き取り筒状にして保存する館や場合もあるそうです。
この場合、スペースの節約にはなりますが少なからず折りぐせなどはついてしまうとのことでした。
(折りぐせの悪い点には、学術的には問題はないですが、展示として普及活動を行う際には見映えが悪くなってしまうなど…)
一概にどれが絶対的正解の標本・保存法とは言えるものではないと思いますが、同じように残りの実習でも、実際の現場でそれぞれの学芸員の方が用いようと考える保存方法やこだわりを理解し自分の考えに取り込んでいければ、私的にもよい実習となるであろうと感じました。
(4班 G大学 K.T)

2018年08月22日

2018年度夏期博物館実習 1日目

博物館実習1日目は、午前に博物館の概要と学芸員のお仕事についてお話を伺い、午後はバックヤード、展示を見学させていただきました。

午前の座学では当館の概要沿革、学芸員の仕事を調査研究、教育普及活動、広報事業市民対応など、いくつかの分野に分けて説明を受けました。
モノが多いが人、お金、時間が無い中でいかに展示を更新し、標本を整理し、教育普及を行うのか。自然史博物館の現状と学芸員の苦労をリアルに感じることができました。

午後のバックヤード見学ではトラックヤード、虫がつかない乾燥した標本を収蔵する一般収蔵庫、湿度温度管理を行う必要のある標本を収蔵する特別収蔵庫、液浸収蔵庫にて、膨大な量の標本を見ることができました。中ではタイプ標本や日本で数点しかない、学術的に貴重な標本も見ることができました。
個人的には液浸収蔵庫が特に記憶に残りました。古い高校や、収蔵庫を持たない大学などの研究機関にあった学術的に貴重な標本を引きとって収蔵庫で保存するケースがあることを初めて知りました。資料保存を担う自然史博物館ならではの風景を見ることをできました。

展示見学では本館1,2階、新館1階、特別展の展示物を、展示を作る博物館側の視点で見学しました。具体的には、まず展示が劣化・破損する要因として、埃、虫、照明(照明を当てることによる劣化、照明交換時の展示物の破損)、来館者(による展示物への侵入、物理的な破壊)を挙げ、それぞれに対する「メンテナンスしやすさ」という視点で展示物を評価する、ということを行いました。
展示を作る業者は、デザインを優先し、その先の保存・メンテナンスのことは考慮に入れないで展示を作るという話がありましたが、業者にはメンテナンスという視点がないので、展示を作る学芸員が業者と話し合い、指導を行う必要があるのだなと感じました。
また、展示が破損する要因に来館者が入るというのは意外でした。自分の大学の博物館実習施設見学で訪れた施設では来館者が展示物を壊して持って帰るという話はあまり聞かなかったので、大阪ならではの話なのでしょうか。学芸員さんのお話で「展示を守る博物館側と来場者との闘い」が相当な割合を占めていたので、驚きました。来館者、特に小さな子供達が誤って展示に侵入、破壊、ケガをしない展示を作るという視点も必要なのだなと思いました。
(5班・H大・J.N.)

2018年08月21日

2018夏期博物館実習 1日目

本日は博物館実習の初日で、午前中は実習と博物館の解説を兼ねたオリエンテーションと研究室スペースの見学、午後からは収蔵庫と展示スペースの見学をさせていただきました。

実習室についてすぐに目を部屋の端にやるとそこには骨や皮などの標本が並んでおり、これから実習が始まるのだと身が引き締まる思いでした。
オリエンテーションでは大阪市立自然史博物館について配布された資料に沿って沿革や調査研究、資料収集など様々なことについて解説を受けましたが、印象に残ったのは博物館における学芸員の大変なところで展示の更新が難しいことや専門分野以外の担当分野について勉強して質問に対応できるようにしないといけないこと、標本の保存スペースの確保など、普段見ているだけではわからないのはもちろん、バックヤード見学なんかでもなかなか知ることのできないことを知ることができ、表に見える華やかな展示や学芸員の方々のご活躍には数多の苦労と尽力があることを感じました
もう一つオリエンテーションで印象に残ったことはこの博物館が全国でも教育普及活動に力を入れている博物館だということであり、毎週末にはほぼイベントがある他、大阪自然フェスティバルでは友の会をはじめとした近隣の自然史サークルの活性化とコミュニティの形成を担い、特別展でも地域の自然に関連した主催展を行うなどなど社会教育施設としての活動に重きを置いていて、博物館実習もこの活動の一環とお聞きしたため、自分もその一助となるように実習に臨んでいきたいです。

施設見学では研究室や収蔵室での数多くの標本やその保存のための工夫などもさることながら、展示室の展示を学芸員目線で見るというのが特に面白く、それまでの目線では気づかなかった展示の問題点や改善すべき点、メンテナンスのしやすさや来館者との兼ね合いなどに気づくことができ、面白く思うと同時に展示を考え作り、設置するというのはとても難しく、深く考えないといけない部分なのだと痛感しました。

今日だけでも多くを学べましたが明日からは各班に分かれそれぞれ担当の学芸員の方々のもとで動いていくことになるので楽しみにしつつも緊張感をもって挑みたいと思います。
(1班 S大学 実習生K.H)

2018年夏期博物館実習 1日目

本日から5日間お世話になります。
1日目の実習内容は、午前中はガイダンス、午後からは学芸員さんの解説のもと館内の見学をさせて頂きました。
最も印象に残ったのは収蔵庫の見学です。ガイダンスの時に大阪市立自然史博物館では約200万点の様々な標本が保管されていると聞き、あまりイメージが湧かなかったのですが、実際に収蔵庫を案内して頂いて、数の多さにただ圧倒されました。収蔵庫内の棚は植物、動物などの生物の標本だけでなく、ボーリング標本や鉱石、貴重な書籍に至る様々な標本で満たされ、一部の標本は床に積み上げられているほどでした。数だけでなく、標本の中でもより貴重で、分類学上重要とされるタイプ標本や日本に数点しかない標本なども多く保管されており、バックヤードの充実感を体で感じることができました。
その他にも展示室の見学では、展示物のメンテナンスを中心とした解説を聞かせて頂きました。埃や電球だけで無く体験型の展示では故障や来館者の怪我に気を配らなくてはいけないことなど、実際の展示例を見ながら説明して頂いたので非常に分かりやすかったです。

さて、明日からは班ごとに分かれての実習ですが、協力しながら実習を進めることができれば、と思います。短い間ではありますが、残りの4日間、よろしくお願いします。
(4班 K大学 実習生I)