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2019年01月28日

博物館実習 (2019.1.18)

実習最終日は、グループで主に昆虫の標本資料の整理をさせて頂きました。
私達が扱った標本資料は新潟県で個人の方が収集されていたものを自然史博物館が引き受けたもので、実際に全資料を見せていただいた時に想像以上に膨大な数のドイツ箱が積み上げられていて驚きました。
具体的な作業は、その膨大な数の昆虫標本をそのままでは収蔵するスペースを大きく取ってしまうために同じ系統の標本をなるべく間を開けずにピンを打ち直して整頓すること、同時に必要な情報をまとめたタグを1つ1つつけていくというものでした。
いざ始めてみると単純作業の繰り返しで集中力のいる作業でした。昆虫の触角や脚は少し手を触れただけでも取れてしまう可能性があるため慎重に行いました。大変な作業ではありましたが目の前の標本の昆虫が何年も前に生きていて、標本にされたことでこの時代に残っていることや、採集した人はどのような気持ちで沢山の標本を作っていたかと想像をめぐらせながら作業していると時間が経つのが早かったです。

今回整理した標本以外にもたくさんの資料が収蔵されているともお聞きし、中には戦前のものもあると知り、博物館に収蔵されている資料が多様な時代・場所から収集されている事を改めて認識しました。本来ならば跡形もなくなってしまうようなものが標本になり、次世代に資料として残る事の意味そのものや、それらを管理し多くの人に提示する役割をもつ学芸員の存在意義を考えさせられた実習期間でした。
Ⅿ大学・I

2019年01月26日

2018年度冬季博物館実習 1月14日(2日目)

 14日(2日目)は「博物館たんけん隊」のイベントのスタッフサポートを行いました。
このイベントは小学生の普及教育事業の一つです。
 小学生相手にに伝えるのは難しく、専門分野では無い分野でも小学生からしたら博士なわけでなんでも答えられなければいけない。大人に説明するよりとても難しいものだと感じました。
 小学生は知欲がすごく自分が小学生の時とは比べ物にならなくこれからがとても楽しみに思えました。

R大学 S・H


2019年01月25日

博物館実習(2019 1/13)

午前中は大阪市立自然史博物館についてのお話しを聞き、博物館の施設の紹介をしていただきました。

大阪市立自然史博物館には15人の学芸員の方が居て、昆虫・動物・植物・地史・第四記の5つの部門に分かれて研究を行っており、それぞれの学芸員の方が3つ以上の研究テーマを持っていて専門分野以外の研究テーマを扱うことがあるという話を聞きました。その話を聞いて、学芸員になるには好きなことを研究するだけではなく専門分野以外のことも研究するために多くの知識が求められ、様々なことを勉強しなければいけないと思いました。
また、大阪市立自然史博物館で収集保管されている資料総数は約200万点ほどあることや、その中でも展示されているのは約2万点であること。博物館では資料収集の一環として自然史科学に関係した図書資料を収集しており、現在約20万冊の図書資料を収集保管しているという話を聞き、研究を行うためには標本などの資料以外にも、その研究分野においての最新の情報が大事なんだなと思いました。

その他にも、大阪市立自然史博物館では普及教育活動もたくさん行っていて、その活動は子供に自然や生き物に興味を持ってもらうような行事や大人向けの行事だけでなく、友の会やサークルを知ってもらうことやその活発化・コミュニティー全体の活性化を目的としたフェスティバルなどの開催も行っているという話を聞きました。
学芸員の方の仕事が研究だけだと思っていたので、研究以外にも普及教育活動の企画を考えたり、活動に参加したりと、すごく多忙なのだなと思いました。

午後からは明日(1/14)に行われる「博物館探検隊」という子供たちに博物館のバックヤードを見学してもらうイベントの研修を行いました。
まずは、私たち実習生と一緒にイベントのサポートをしていただく補助スタッフの方とのあいさつを行い、どのようなことに注意するべきなのかなど打ち合わせを行いました。
その後、イベント当日に通るルートを補助スタッフの方と見学しました。

また、当日は見ることのできない一般収蔵庫の2階を見学させていただき、そこで学芸員の方にオオツノジカの角の化石を見せていただきました。その化石は50~60年前に発見されたもので、最近研究を終えたという話や研究は長い年月をかけて行われるため資料と一緒にデータラベルを残す必要があることなどを教えていただきました。
(龍谷大学 IM)

2018年度 冬季博物館実習(2019/1/18)

博物館実習の最終日である5日目は、石井学芸員の指導のもと小学校へ貸し出す岩石の教材作成を行いました。
まず初めに、実際に貸し出し教材に触れながら堆積岩と火成岩の見分け方や特徴、特定の河原で何が採集できるかを教えて頂きました。堆積岩と火成岩の見分け方や含まれる鉱物の種類は地学で一通り習っていましたが、教科書の写真や説明を眺めるのと実物に触れて確かめるのとでは理解度に違いがありました。学芸員の方の教示や貸し出し教材とセットで作成されている見方シートを参考にしながら実物に触れることで、「取り敢えず触ってみたい、断面がつるつるしていて面白い」という好奇心が知識の獲得に繋がったからです。
実際に私達実習生が行ったのは、断面の研磨作業の一部とつや出しの作業です。岩石の自然な面と普段は中々目にすることのできない断面を見比べられるように岩石を加工するのですが、この工程がとても手間が掛かっていました。岩石の切断面を研磨は、研磨剤を徐々に細かい粒子のものに切り替えながらほぼ手作業で行います。地味な単純作業ですが断面がどんどん手触りが良くなっていくのが面白く、苦痛ではありませんでした。つや出し作業も同様、よく見掛ける床の石材のようなつやが徐々に出るのは面白いものがありました。
ただ岩石一つ一つを仕上げるのに30分以上時間を割かねばならず、私の想像する以上に貸し出し教材の作成は労力の必要なものであることが分かりました。教育普及活動の一環として比較的ポピュラーに思う学校への貸し出し教材ひとつにしても、博物館に求められる業務を十全に行うことがいかに大変で、そして大切なことであるかを改めて感じさせられました。
(O大学 W.E.)

2019年01月24日

2018年度 冬季博物館実習(2019/1/18)

 今日でいよいよ五日間にわたる博物館実習も最終日になりました。五日目の今日は、動物研究室の和田さんに動物の剥製や骨標本などについて教えて頂きました。始めに実習室で標本台帳と受け入れ台帳を見せて頂きました。動物を博物館で受け入れるにあたって、一番重要なことは、いつどこで採取されたのかというデータで、これがないと受け入れができず、ゴミと同然になってしまうようです。また、データを紙媒体で残すことが大切で、パソコンなどで残しておくと、万が一データが消えてしまった時に取り返しがつかなくなってしまうからだそうです。その後、冷凍室と骨を水漬けしておくコンテナ、砂場を見せて頂いた後、実際に土から掘り起こして水漬けされていたスマトラトラの骨の洗浄を体験させて頂きました。それぞれ大まかなパーツごとに玉ねぎ袋に入れて肉を腐らせてあり、私は後ろ足と寛骨と背骨を洗浄しました。実際に洗浄してみるとわかるのですが、体の大きいトラでもとても小さい骨のパーツが沢山あり、玉ねぎ袋で小分けにされていてもしっかり骨のパーツを把握していないと紛失してしまいそうでした。今回はトラなどの比較的体の大きな洗浄しやすいものでしたがこれが小動物や、さらに大きな動物になると、とても大変な作業だと感じました。全て洗浄し終え、実際にどの骨がどこのパーツに当たるのかなどの説明を聞き、午前は終了しました。
一時間の昼食休憩を取ったのち、午後からはシマウマの骨の洗浄をしました。トラとは違い肋骨の骨が多く、とても細かいパーツが沢山あり、トラの骨よりも繊細な印象を受けました。全て洗浄し終えた後、午前に洗浄したトラの骨と並べて、違いを見比べたり、実際にシマウマの背骨を並べたりしました。腰椎の部分などはパズルのように、がっちり綺麗に組み合わさるので、パーツがかっちりハマるととても気持ちがよかったです。最後に骨や皮、内臓などがどう保管されているのか、収蔵庫で実際に見学しつつ、説明をして頂き最終日が終了しました。
私は専攻が考古学なので自然史の博物館で見聞き、体験する全てのことがとても新鮮で、楽しかったです。この五日間様々な貴重な体験を経験することができ、自分の糧になったと思います。
(京都T大学 A.K)

2019年01月22日

2018年度博物館実習日誌2日目「はくぶつかん・たんけん隊」補助

 博物館実習2日目は、特別行事「はくぶつかん・たんけん隊」の引率でした。いわゆるバックヤードツアーの引率なのですが、子どもは子どもだけで参加と聞いて驚きました。子どもたちの安全を守ることはもちろんですが、収蔵資料の安全も守ることができるのか、はじめは若干の不安がありました。

 午前に私が引率したのは小学校中学年の班です。前日の研修では一番元気な年ごろだと聞いていましたが、その通りでした。子どもたちが学芸員の注意が聞けないことや、狭い部屋ではしゃいでしまう場面がいくつかありました。博物館の機能について伝えることも重要ですが、第一に楽しんでもらわなければ意味がありません。参加者を興ざめさせてしまわない程度に注意しつつ、安全面にも配慮することはとても難しいと感じました。もう少し参加者と一緒に楽しむことができれば、もっと楽しんでもらえたかなと思いました。

 しかし、友の会のベテラン補助スタッフの方々の手際の良さに助けていただき、子どもたちも話をよく聞いてくださったので、行事はとても滑らかに進行していたように思います。受付までの動線への誘導など、とても細かい指示があったことも、前回の反省が活かされている証左であると思い、博物館と市民とがよく連携しているなと、大変感服致しました。私にとっても大変有意義な行事となりました。

博物館から2番目に近い大学 K. I

2018年度 博物館実習冬期一般コース5日目(2019/01/18)

博物館実習の最終日、4班の担当をしてくださったのは、植物研究室のS先生で、植物のなかでも特にキノコを専門に研究なさっている学芸員さんでした。
 S先生のもとでの実習は、特別収蔵庫内のキノコおよび植物標本の紹介から始まりました。大阪市立自然史博物館のキノコの場合、乾燥標本として標本が作られているのがほとんどなのだそうですが、最近ではフリーズドライ(真空凍結乾燥技術のこと)した標本も作られているそうです。 
 収蔵庫には約2万点のキノコ標本が保管されており、その大部分はアマチュアの方々や大学の教授などから寄贈されたものだということでした。所有者がなんらかの事情で手放さなければいけなくなったものも、処分されてしまうならと博物館で引き取ることも多いそうです。その中には本郷次雄さんという滋賀大学名誉教授が生前に残された標本や、同教授がキノコ図鑑を作る際に描かれた、キノコの原画なども収蔵されています。この原画は現在、スキャンしてデジタルデータ化している途中だとおっしゃっていました。
 
 収蔵庫から実習室に移動し、関西菌類談話会というアマチュア団体の方々が斑尾高原(新潟県と長野県の県境にある高原の森)で収集された、キノコ標本のデータ入力作業をしました。
チャック付きポリ袋の中に、キノコと一緒に入れられたラベルを見て、キノコの名前を確認し、その名前をパソコンに入力していくという簡単な作業でした。ただ、ここである問題が…。先生が持ってきてくださったパソコンがMacだったので、Windows慣れしている私たちには操作方法がイマイチ分からなかったのです。Macとしばしの格闘をしなければなりませんでしたが、先生の助けも借りて無事データ入力は終了しました。
 作業終了後は、キノコについての少し専門的な知識を教わりました。また、「ハツタケ」というキノコの組織の一部(担子器)を顕微鏡で観察させてもらいました。

 お昼休憩のあとは、香川県の高校教師の方が生前に記録なさっていたというキノコの図版を、スキャンしてデジタルデータ化するとともに、図版に書かれた情報をパソコンに入力していくという作業をしました。今度はWindowsの入ったパソコンを用意してくださり、作業は順調に進みました。そうして膨大な量のほんの一部ではありますが、デジタルデータ化を終え実習は終了しました。

 学芸員には、「この標本・資料を自分が後世に残していくのだ」という強い意志を持つことがいかに大切かを今回の実習を通して学びました。博物館なのだから、残して当たり前だとおっしゃる人もいるかもしれません。しかし、博物館は常に人手・資金不足と戦っています。学芸員さん達が身を粉にして働いて研究して、そしてあれだけの収蔵庫の中身が出来ているのだと思うと、学芸員の仕事は並大抵の努力で務まるものではないと分かります。
 ただ、そんな苦労があるにもかかわらず、学芸員さん達の目は子どものようにキラキラ輝いていて、なにより自分の仕事に誇りを持って働いてらっしゃる姿がとても素敵でした。
座学だけでは決してわからない、学芸員の実際を教えていただき、様々なことを学ばせていただきました。5日間本当にお世話になりました、どうもありがとうございました。
(4班 O阪大学 S.S)

2019年01月19日

2018年度 冬季博物館実習(2019/01/16)

 博物館実習3日目からは班行動になりました。
 3日目は植物化石の研究をされている塚腰学芸員に担当していただきました。
 午前は一般収蔵庫へ移動して化石の分類についての説明があり、とある葉の化石を見させていただきました。それは、一見普通の葉の標本に見えても、ルーペを使って観察してみると、何百万年前もの葉であるのに葉脈が綺麗に残っており、葉を見て感動したのは生まれて初めてでした。
 そして、メタセコイアの発見者である三木茂さんの残した植物化石を見させていただきました。古びた棚と黄ばんだプレパラートが非常に印象的で、年季を感じるものでした。
 その後、書庫へ移動して地質図福の資料整理を行いました。それらの資料は書庫奥の階段を上がってすぐの棚に仕舞ったのですが、その棚それぞれにどの地方の資料が入っているのかが分かるよう、ガムテープに記して貼りました。その際、私の文字が博物館の書庫に残るのは光栄なことだと思いながら書きました。力仕事ではありましたが、整理作業は好きなので楽しみながら作業できたと思っています。
 午後は実習室で顕微鏡を使って植物化石のクリーニングをし、その後植物園に植えられている現生のフウの実を観察しました。公園でよく見かけはするものの、しっかり観察することがなかったフウの実を今回じっくり観察して、面白い発見や風化過程を知ることができました。その日の帰り道にフウの実を見かけるとつい拾い上げて観察したくなりました。
 私の所属は歴史遺産学科なので分野は少し違いましたが、歴史的価値のあるものを対象に研究するという点では同じだと思っています。その中でも化石は、博物館でしか見られないというイメージがあったのですが、今回の実習で意外にも身近な存在であることを実感しました。
(京都T大学 K.M)

2018年度 博物館実習 3日目

実習 3 日目は班ごとに分かれ、私たち 4 班は昆虫担当の学芸員さんのもとで実習を行いました。
はじめに昆虫研究室や標本作成室、書庫を見学させていただきました。学芸員さんが普段どんな研究をされているかを知ることができ、展示にかかわる以外でもたくさんの場所でお仕事されていることがわかりました。
その後は博物館に寄贈された鱗翅目昆虫の標本の分類作業を体験させていただきました。寄贈された標本はいろいろな種類が混じってドイツ箱に入っていたので、いわゆる蝶や蛾と呼ばれる仲間に分類し、さらに蝶の中でも種類ごとに分けていきました。作業を始める前にどういう特徴で見分けるかを教えていただき、慎重に作業を進めました。学芸員さんのお話の中で蝶と蛾は明確に区別できず、研究者の中でも意見が分かれることを知り、分類学は想像していたより複雑だと思いました。標本の中には翅の細かい柄で見分けるような種類の標本もあり、時間がかかってしまいました。標本整理には思ったよりも時間と手間がかかることを実感しました。
午後は収蔵庫に保管されている標本をもとに、絶滅危惧種の昆虫や、最近の研究で分類が変わった昆虫について紹介していただきました。昔はからだの特徴で分類していたけれど、最近は DNA の研究が盛んにされて別の分類方法が確立されているとのことでした。DNA をとるには 2 年以内に採取された標本が必要とのことで、たくさん同じ標本を集めることが役に立っていることがわかりました。
最後に展示向けの昆虫標本も見せていただきました。とても大きかったり、色鮮やかであったりして、見たことのない昆虫もいました。見に来る人に昆虫への興味を深めてもらえるような展示を作っているとのことでしたが、学芸員さんの解説を聞いていると、私も昆虫についてもっと知りたいという気持ちになりました。
実習を通して、学芸員さんの知識の豊富さもですが、聞く人を惹きつけるようなお話の面白さも印象に残りました。
(K 大学 R. S )

2019年01月17日

2018年度 博物館実習 冬期一般コース 3日目

実習3日目からは4班に分かれて学芸員の方に教わりました。3班は横川学芸員に担当していただきました。
午前中は研究室や収蔵庫の見学、標本の整理をさせていただきました。研究室の見学では植物の標本作製に必要な機械や工程を教わりました。植物は燻蒸剤でDNAが切れてしまうときもあるため、冷凍庫に入れ燻蒸を行います。収蔵庫の見学後、標本の整理を行いましたが、私たち実習生が行ったものは数多くある棚のうちの4つで、収蔵庫にある棚の数を考えると時間がいくらあっても足りないと感じました。
午後からはマウントの作業をさせていただきました。植物の標本は押し花のようになっていてラベルと一緒に専用の紙に貼っていきます。この時に大切なことは、その植物にとって重要な場所をテープで隠さないようにすることです。しかし、植物に詳しくない私にはどこがこの植物にとって重要な場所なのかがわからないものもあり、学芸員の知識や標本作製の難しさに驚かされました。
残りの実習でも、博物館でしか学べないことを学んで帰りたいと思います。
(O大学 M.K)

冬期博物館実習 (2019/1/17)

館園実習4日目でした。
 個人的メインイベント、植物標本に関係する実習でした。植物標本とは、麗しの植物たちの一部をカラカラに乾燥させ、台紙にテープで貼り付け、長期間保存できるようにしたものです。まずは、植物の乾燥方法、マウント (台紙への貼り付け) の方法、標本登録、ソーティング、配架の説明を受けました。植物標本の例として見せていただいたキンショクダモの標本の美しさと言ったら、もう、この世のものとは思えません。アオダモと比べるとその違いは一目瞭然。学術的価値と同時に美しさを兼ね備える標本には、目を見張ります。そのほか、大阪市立自然史博物館にはあらゆる植物の標本が保管されています。
 説明の後は、実際に大阪市立自然史博物館に寄贈された植物標本たちの仕分け作業を行いました。植物は乾燥してもなお、虫たちの生命を育みます。ところが、美しい植物の姿を残しておきたい人間としては、虫に食べられた標本は取り除かなくてはなりません。寄贈されたもののうち、多くの植物標本は「虫に食われている」として取り除かれてしまいます。標本を保管できるスペースは有限であり、全てを残すことはできません。もちろん理解はできますが、取り除かれる標本たちを思うと悲しみが募ります…。
 生き残りが決まった植物標本たちは、それぞれ採取された場所、日付などのデータを持っています。植物はデータがなくても価値がありますが、博物館としては、データのない標本はただのゴミとして扱います。実習としての作業は、1つ1つの標本に付属するデータをパソコンに入力する作業を行いました。多くの場合、データは植物を挟んでいる新聞紙に書かれています。本来は、台紙に貼り付け、データを記載したラベルを貼り付けておくのが良いのですが、なにぶん面倒な作業です。私もなかなか自分の標本に対してラベル作成を行うことができません。今回は、新聞紙に書かれている文字があまりに芸術的なため、解読できないこともありましたが、なんとか割り当てられた分のデータの入力を終えることができました。
 学芸員は、博物館たんけんツアーのガイドなどの華々しいお仕事ばかりではなく、標本の整理といった地道な作業も求められています。どれほどたくさんの物があっても、どこに何があるか分からなければ、利用のしようがないためです。整理し、検索できるようにするためには、標本の数が多ければ多いほど、時間と手間がかかります。植物標本も未整理のものがたくさんあります。気の遠くなるような、果てしない作業を、学芸員はこなさなければなりません。しかしながら、植物という自然の芸術、至高の美に囲まれながら時間を過ごすことができるというのは、学芸員の特権でもある、と感じました。
(G大学 K. H.)

冬期博物館実習(2019/1/17)

 実習4日目、私たち3班は昆虫(ハチ・アリなど)担当の学芸員さんのもと、昆虫標本を取り扱いました。
 午前中は収蔵庫でタイプ標本や面白い標本を沢山見せていただき、幸せな時間を過ごしました。
 その後、寄贈された標本1つ1つに館のラベルを付ける作業をしました。昆虫の標本は近年特に大量に寄贈されるそうで、研究者や愛好家の多さを実感しました。
 午後は学芸員さんが採集した寄生バチの標本を作りました。爪の先くらい小さなハチをボンドで台紙に貼り付ける作業は、器用さと集中力が求められます。不器用な私は、引っかかったハチ同士を離すときや台紙にハチを付けるときに、いくつかのハチの脚や触角を破壊してしまいました。体の部位が取れてしまっても台紙に付けることができれば問題ないのですが......取れてしまった触角の多くはピンセットでつままれてされに千切れ、粉々になってしまいました。学芸員さんに心から申し訳なく思います。ハチの体はとても繊細なのだと、身をもって知りました。
 その後、スズメバチとアシナガバチの同定をしました。私が最初に見たスズメバチは全体的に黒色が強い個体だったそうで、複眼の周りの色で種を判断するときに間違えてしまいました。体色だけでも、かなり個体差があるのだと感じました。
 明日は標本を壊さないように頑張ります。
(G大学 Y.T.)

2019年度 博物館実習 4日目

 実習4日目は、班に分かれた上で、各班につき一人、学芸員の方の指導の下、実習を行いました。
 私達の班は魚類の液浸標本の保管・管理方法について学びました。液浸標本とは、標本を長期間保存するために、エタノールなどに浸けたものを指します。
 まず学芸員の基本的な役割や標本作成方法について簡単に説明を受けた後、実際に液浸標本の作製に挑みました。
 取り掛かる際には、標本は既にホルマリンで固定し水で洗浄されていたので、私たちは標本のラベルと目録を見ながら地域・種ごとに瓶に分け、エタノールを入れる作業を行いました。振り分ける際に魚の身体を間近で見るので、魚の顔が面白かったり、背びれが三本あるのを見つけたりと、変わった特徴を見つけられて楽しかったです。ちょうどいい大きさの瓶を探して、標本が傷つかないように気を付けて瓶に入れるのは少し大変でした。
 次に、作成した標本を液浸収蔵庫と呼ばれる倉庫へ運び、科名と採れた地域ごとに分けて標本を収蔵しました。作成した標本以外に、他の人が以前作った標本も一緒に収蔵しました。棚ごとに収蔵スペースが箱で区切られており、標本を入れる科・地域のスペースはどの棚のどの箱なのか、探しながら収納するのは大変でしたが楽しい作業でした。これだけたくさん棚と箱があるのに、収納スペースが足りないように見えたのが印象的でした。
 最後に、これまで保管された液浸標本の中から、瓶を満たす水溶液が足りていないものを見つけ出し、実習室に持ち帰って液を継ぎ足したり瓶を入れ替えたりするメンテナンスを行いました。液浸標本に用いる水溶液は揮発性のものなので、古い標本ほど液の消耗が激しく、中には干物のようになってしまっている標本もあり、ここまでなるのかと戸惑いました。瓶の蓋がプラスチックのものなら良いのですが、ガラス製のものだとキチキチに締まってしまって開けられず、中の液の交換や継ぎ足しができない、という事態に陥ってしまいました。そうしたガラス製の瓶は、とても大きいものや細長いものは、現状それ以上の大きさの入れ物が手に入らないので、壊してしまったりしてはいけないのだと、学芸員の方から伺いました。お金のやり繰りなど、博物館運営の大変さを想像しました。
 今回の実習は実際に標本を作ったり分類したりと、楽しくもあり、また、これまで学校で学んできた博物館の重要な役割の一つである、収集物の保管・管理について自分の身で学ぶことができたので、とても有意義な時間を過ごせたように感じます。実習生同士の会話もかなり増えたように思います。明日が実習最終日なので、疑問に思ったことがあればすぐに質問するなどして、悔いのないように取り組みたいです。最後の実習が楽しみです。
(奈良女子大学 M.O)

2018冬期 一般実習コース 4日目

博物館実習4日目です。
第四紀研究室の中条学芸員の下、屋外にあるプレハブ倉庫の清掃と現在、調査・採集している海岸の砂のサンプルを各地方ごとに分類し、収蔵庫がいかにして利用されているかを学びました。
午前中に、プレハブ倉庫に入っているもの(特別展や学会の立て看板、ボーリング調査箱、破砕処理されていない重量な大きさの化石を含む岩石、採取されてきた植物や樹木の一部)を全て外へ出し、埃だらけの状態をなくしました。後は、学芸員による取捨選択でかなりの粗大ごみが出てきました。人数がいて、約3時間程度で作業が終了しました。これを学芸員または職員の時間を割いてするので、年1、2回になってしまうのかと思いました。倉庫を清掃するということで、止まることなく新しい資料を迎えられる状態ができるのです。
残りの時間で、中条学芸員ならびに友の会会員によって採取されたサンプルを収蔵庫へ保管するのを手伝いました。収蔵庫は言わば、博物館の"金庫"でもあり利用する側も守っていく事項が多数あると知ることができました。学芸員の研究にはサンプルが多い方が、導いた結果が増え、考察も濃いものになると考えられます。
今回の実習で、いかにして収蔵庫が動いているのかが分かり、そして、学芸員の一日にせまることができました。

2019年1月 博物館実習3日目

 実習3日目は各班に分かれ、それぞれの班の担当学芸員さんに付いて日常的に行っている業務についての説明を受けたり、実際に業務の一部を体験させていただきました。実習初日はオリエンテーション、2日目は博物館たんけん隊のサポートだったため、いよいよ本格的な実習が始まると思い、不安混じりの緊張のなか実習に臨みました。
 私たち1班は主に貝の研究をされている学芸員さんの元、貝の標本をそれまでの木製の保存棚から新調されたスチール棚へと移す作業を1日中行いました。木製の保存棚では木から発生する酸性ガスによって貝標本がダメージを受けてしまうため今後他の貝標本もスチール棚へ移していきたいということでした。
 作業自体は棚から棚へと貝標本を移す単純作業ではありましたが、木製棚とスチール棚とで大きさが違い、かつ棚ごとに同じ分類の貝を並べる必要があったためパズルゲームのような感覚で標本をどう並べるかを考えなければならずかなり頭を使いました。
 また後半になると巨大な貝も移し替える必要が出て、それらの貝は意外と重たく運ぶのに苦労するほどの力仕事もあり、その日の実習後はかなり体が疲れていました。このような作業を大抵は一人で行っているということを考えると体力面でも学芸員さんは大変なんだなと感じました。
 私は貝についての知識が浅かっため、アサリのようなサイズの貝がほとんどで小さくてもシジミサイズぐらいかなと思っていましたが、扱った貝の中には砂粒サイズのものもあり「こんなに小さい貝があるんだ」と驚きました。他にも50cmぐらいの巨大な貝やピンク色や黄色の色鮮やかな貝などを取り扱い、貝の魅力に引きつけられました。今後海岸を歩くときには貝に着目してしまうことは間違いないと思います。
 明日の実習でも積極的に学べることは学んでいきたいと思います。
(T大学 D.T)

2019年01月14日

2019年度 博物館実習 2日目

 博物館実習 二日目は「はくぶつかん・たんけん隊」のサポートでした。補助スタッフの指示に従って、来客者の受付案内や参加する子供たちが活動中に万が一気分が悪くなった時の対応などを行いました。
 実験室では、生物の死骸から剥製にする作成工程を見て学ぶ場があったのですが、目玉や脳みそを取り除く作業がとても気持ち悪かったので子供たちが嫌がるのではないかと思っていましたが、スマホで写真を撮りまくる程、夢中になっていたのにとても驚きを感じました。近年の学校では、生き物の解剖授業をしないのか、物珍しく感じたのではないかと思いました。 
 収蔵庫見学では、防腐剤の匂いで耐えられなかった子も数名いましたが、他の子は臭いに耐えながら問題なく最後まで進んでいく子が多く興味津々に見ていました。なかなか体験することがないことなので思っていた以上に真剣な眼差しを向けている子がほとんどだったのが印象的でした。
 一日目に比べて実習生同士の会話が増え、より連携ができるようになり、緊張がほぐれました。
大変貴重な経験をさせて頂いていると実感しています。
(大阪成蹊大学 Y.Y)

2019年01月13日

2019年度 博物館実習 1日目

第一日目はオリエンテーションと博物館研修を行いました。オリエンテーションでは、博物館の歴史や学芸員の方々の活動歴などについて解説していただきました。学芸員には、それぞれ専門分野があって、その研究や標本づくりなどをされている以外に、専門外であっても館長の指示があれば、ほかの分野でも解説し、標本管理しないといけません。例えば動物部門の中で、専門が鳥類でも哺乳類・爬虫類・両生類の知識を持って標本管理、展示構成、展示ケースの管理、時には剝製にも携わっておられると知りました。
 展示されている標本を作る作業場には、アシカやシマウマ、レッサーパンダの皮やセンザンコウの剝製などがそこら中にありました。博物館に入った時のあの独特な匂いは、この皮の防腐剤からでした。25万体以上もあるのだから当然です。その数にも驚きです。
 過去の特別展の入館者数の伸びが、タイトルに動物の名前が無いものや現在でもある地名のタイトルになると著しく減少する。逆に恐竜や古代生物がタイトルになると増加するのだと説明していただきました。タイトルにも工夫が必要だと痛感しました。

 研修においては、館内のブース説明や収蔵庫の場所の案内、展示コーナーの工夫など普段では聞くことができない裏話的なことも話していただきました。裏話は展示設計ミスによって電球交換などの作業がとても難しくなってしまったり、様々な企画の新しい展示コーナーを開こうと計画していても、資金の問題で中止となってしまったこともあったそうです。大学の授業でもありましたが、博物館運営の難しさを感じました。

 明日からいよいよ、「はくぶつかん・たんけん隊」サポートです。至らない点もあるかと思いますが一生懸命に努めたいと思います。
(大阪成蹊大学 Y.Y)