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2019年08月31日

令和元年度 博物館実習5日目

実習5日目、博物館では標本同定会が行われ、受付・案内のお手伝いと見学をしました。

同定は分野ごとに専門とする学芸員や外部の方々によって行われます。
植物が採集がしやすいからか最も人が多く賑わっていました。
植物ブースの中でもキノコのスペースでは何種類ものキノコを集めている少年がいて、採集をするだけでなく、写真に撮ってノートにまとめ、自分自身で同定を行っていました。その同定が正しいかどうかの確認や、その中でも分からなかった種の同定のため同定会に参加しており、ただ採集をするだけでなくしっかりと「研究」を行っているように見えました。
植物以外にも貝類や昆虫のブースにはコレクターらしき人が多く、一人で複数の・何種類もの標本を採集している人が見られました。

標本同定会というもの自体初めて耳にした言葉でしたが、実際に訪れる人が100人近くいて、採集・調査といったものが研究者以外でもこんなに根付いていることに驚きました。
また逆に言えば、標本同定会も含めた博物館での催しが、地域の人々に採集や調査を促すきっかけとなっているように思います。
同定会を見学してみると、普段から標本を採集した際に博物館に訪れて学芸員に見てもらっている人や、博物館での行事をきっかけに採集した標本を持ち込む人がいて、そこからも、博物館での催し物がどれだけの影響を及ぼしているのかが伺えます。

これまで、調査や研究とは学芸員や研究者など限られた人が行うもののように感じていましたが、職業としてではなくとも自然との関わり合いとして採集や研究といった手段を持つ人がいることに気づくことのできる同定会、5日間の実習となりました。
(R大学、N・K)

2019年08月30日

令和元年度 夏期博物館実習5日目

5日目の自習では標本同定会の手伝いをさせていただきました。作業内容は来客時の受付、また、受付完了の来客者の案内、標本同定会の見学させていただきました。
午前は見学と一時間ほど受付の仕事をしていました。朝早くにも関わらず、大人から子供までたくさんの方が来場していて、様々な標本を持ってきていました。これほどたくさんの来場者が来るとは思いませんでした。見学では標本同定会には、様々な分野の専門家が集まっているので来場者が持ってきた標本を見ただけでどこの種か分かり、写真が載っている図鑑でさらに詳しく調べてちゃんとした標本の名前を同定する専門家の同定する速さに驚きました。
午後からは一時間ほど案内の仕事をした後、再び見学をさせていただきました。午後の見学では学芸員さん達のコケの話を伺うことができて知らないことまで聞けてとても勉強になりました。
この五日間の実習で、博物館の管理体制や大変な努力と試行錯誤をしていることを知ることができ、また、表面には見えない部分でプロの仕事に触れさせていただき高い意識と仕事に取り組む姿勢にとても刺激を受けました。大阪自然史博物館に実習に来れてよかったです。とても良い経験になりました。
( 1班 K大 T.H.)

2019年08月21日

令和元年度 夏期博物館実習3日目

博物館実習3日目。
まず、植物に関連する資料が保管されているところをメインに、書庫を案内していただきました。世界中の書籍や、磯野直秀さんの研究ノートなど、貴重な資料が数多く保管されていました。
その後、外来研究室に移動し寄贈されたキノコの水彩画(図譜)のスキャニングおよびうまくスキャニングできているかのチェックを行いました。中には、実際に図鑑に使用されているものもあり、どれも緻密で忠実に描かれており、絵とは思えないほど本物そっくりでした。

午後は、植物標本のいじり方を学ぶため、配架作業を手伝わせていただきました。
植物標本は、標本を分類群ごとにグループ分けして、標本カバーに挟み標本棚に入れます。今回扱う一般の方からお預かりした植物標本は、分類群ごとに仕分けされていなかったので図鑑やネットを使いながらまずは仕分けをしました。
東日本大震災で津波をかぶってしまったラベルの復元作業していた際に、最も影響をうけなかったものが和紙と墨で書かれたラベルだった、という実際に参加したからこその貴重なお話なども聞きながらの作業で、とても勉強になりました。
その後、収蔵庫に行きグループ分けした植物標本を標本棚にしまいました。標本棚の扉を開けると、ナフタレンの匂いがしました。このナフタレンには防虫作用があるため、欠かせないのですが、長年蓄積されたナフタレンの匂いは少しきつかったです。

1日を通して、比較的地味な作業ではありましたが、この長年の積み重ねが研究に欠かせない膨大なデータになるのだと思うと、手伝わせていただいた一つ一つの作業がいかに大切かということがわかりました。

3班M大学K.M

2019年08月20日

令和元年度 夏期博物館実習5日目〜標本同定会にて〜

実習5日目は博物館内で開催された特別行事、「標本の名前を調べよう」に参加させて頂き、同定をする様子を見学しました。
参加者の方が持って来られた資料の中で1番多かったカテゴリーは、植物でした。そのため私も今回は植物ブースで感じたことを特に書きたいと思います。
植物ブースには学芸員の方より植物に詳しい先生方が多数おられて、手元には実体顕微鏡やルーペ、図鑑といった同定に必要な道具が揃っていました。しかし先生方はほぼ図鑑などの資料は使わず、頭脳のみで種類を言い当てていく姿に圧倒されました。何を見て種類を判断しているのか伺ってみたところ、経験で大まかな種類は分かるが、最終的には採集場所や季節、形態的特徴を加味して総合的に判断しているそうです。
また特に興味深いと思ったのは、そこで同定された植物における情報を、詳しい方同士でも交換し合っていたという点です。例えば、オウシュウマンネングサは近年の交雑による変異で形態が多様化しており、形態的特徴だけでは種類を同定しにくいという事などです。自分でインターネットや本を見て調べるのも良いですが、こういった交流の場があることで、現場を見ておられる方のリアルな情報を聞くことができるというのも標本同定会の大きな意味の1つだと思いました。

(3班 K大学 F.M)

令和元年度 博物館実習5日目

博物館実習5日目は標本同定会の受付・案内と見学を行いました。
午前中は同定会見学として参加させていただきました。参加者の様子を見ていると子供から大人まで幅広い年齢層が参加されまた各自持ち込むものとしては、標本や現像された写真、デジタルカメラといった部類に分かれていました。それらを調査する専門家と学芸員の方たちは書物と見比べる方法の他、顕微鏡やルーペを使い植物や生物の名前、またその特徴やおすすめの保管方法を伝えていました。

午後からは13:00から14:00までを受付、14:00から15:00までは案内を担当させていただき、ここでは参加者との直接的な会話が行われ、一種類の標本だけでなく二種類以上を持ってこられる方が多く見られました。
15:00から16:00までは参加者の人数が徐々に減っていくに連れ、専門家同士が会話を行う場面が多く見受けられこういった場面で情報交換や交流を行っているのだと感じました。また、同じく同定会の参加者同士も専門家に尋ねた後、他参加者の持ってこられた標本等を見せ合っている場面や、参加者の方が個人的冊子を手作りし専門家の方が興味深げに見ておられるといった場面にも遭遇する事がありました。
その後学芸員の方達が集まる反省会にも参加させて頂き、前年に比べた参加者数や、学芸員が参加者の標本からの発見などを述べていました。

5日間の博物館実習を通して、標本同定会や友の会でのイベントなどといった学芸員の方達の仕事内容を直接的に見れる機会と図書や工具整理、標本整理等といった裏方の細かい作業までを多く知れる機会と経験、実際に学芸員の声聞く機会を作って下さった事で博物館としての重要な役割と学芸員の方の存在意義を多く感じる事ができました。
(2班 K大学 Y.O)

令和元年度 夏期博物館実習2日目

 博物館実習2日目。この日は台風の影響で大阪市に暴風警報が発令され、実習の時間が1時間しかありませんでした。しかし、それにもかかわらず、この1時間は自分にとって密度の高いものとなりました。
 この日の実習内容は収蔵庫及び植物研究室における植物標本の基本事項の説明でした。植物標本の実物をみせてもらっての説明となりましたが、そこで驚いたのは、標本のラベルの自由度の高さです。いつ、どこで、だれが採集したかという基本情報は必須なものの、細かい規則は決まっておらず、手書きのもの、ローマ字のもの、付録に採集地の地図を付けたものなど実に多様でした。ラベル製作の自由度から、私は、「本職の研究者以外のアマチュアにも生物研究の門戸が開かれている」と自分で解釈し、嬉しくなりました。この規則なら素人でも標本を作れないことはないと思ったからです。
 植物標本というと、ぺしゃんこになり、乾燥して本来の姿とはかけ離れたものと思っていたし、担当の学芸員の方も「本来立体構造を持つ植物を平面の標本にすることで保存場所が確保できるが情報が減ってしまう」と言っておられました。しかし標本の実物をみてみると、はっきりとした造形が見て取れるようなものであり、驚きました。標本にすることで確かに情報は減ってしまいますが、はっきりした植物の形を時間・空間を超えて研究者が共有できるというはなしをきいて、ただ生物の姿を残しておくためのものではない標本の重要性と深い意義をしることができました。
 しかし、正直なところ、この実習の日まで自分が植物に興味があったかというとそうではありません。昆虫や魚などは好きで図鑑を眺めたり採集に出かけることもありましたが、植物に対する興味がそれらに対する興味を上回ることはありませんでした。この実習で植物の造形のおもしろさに気づきました。コウホネという水生植物の標本の、節くれだって長いとげの生えた根を見せてもらった時です。率直に「おもしろい」と思いました。この機会がなければ、私は植物の造形のおもしろさに気づかず、植物に興味を持たないままになっていたかもしれません。個人的なことではありますが、植物に興味をもつきっかけを与えていただいたことも自分の中で大きな出来事でした。
 短い時間でしたが、標本の基本的な知識を手に入れられたことや標本の意義を知れたこと、植物に興味を持てたことは自分の中で財産になります。ありがとうございました。
(O大学 KU)

2019年08月19日

令和元年度 夏期博物館実習4日目

 博物館実習4日目、1班の担当をしてくださったのはハチを主に専門としてに担当されている昆虫研究室のMさんでした。
 Mさんのもとでの実習は、特別収蔵庫内と液浸収蔵庫において担当されている昆虫やクモを見学させていただきました。その際に、標本の保存の仕方や管理方法などを実物を見せていただきながら説明していただけました。収蔵されているものには、学芸員の方が収集したものから研究者の方や一般の方が収集したものがありました。寄贈されたものは学芸員の方がきれいに整理をされていて寄贈者のコレクションごとに分けられていました。
 午前は収蔵庫見学とあわせて寄贈の標本にコレクションラベルをつけドイツ箱に入れる作業を行いました。ドイツ箱は標本を入れることに適しており、密閉性の高い綺麗な木箱です。この作業は、標本を整理するときに行われ、細かい作業ではありますが大事であると思いました。整理する際、同じ分類に分けるなど知識のない私は難しく感じましたが、様々な種類のハチを見ることはいい機会になりました。
 午後はウスバカゲロウの標本作製と検索表を用いて同定をさせていただきました。標本作製の前にウスバカゲロウの幼虫を見せていただきました。実際に、お尻から砂に入るところを見せていただきました。ウスバカゲロウの幼虫がつくったくぼみをアリジゴクというそうです。昆虫の標本作製は脆く壊れやすいために、ピンセットとボンド標本を固定する紙を使用して作製しました。取れてしまった触覚や足などもデータとして残すために紙にボンドで接着を行いました。検索表は細かく絵で記載されており、ルーペや顕微鏡を用いて行いました。成虫や幼虫で同定の仕方は変わり、個々体においても様々な特徴があるため難しく感じました。最後に特別展の「昆虫展」の見学に連れて行っていただきました。学芸員の方目線の説明や展示方法など説明していただきました。
 
 座学だけでは決してわからない、学芸員の実際を教えていただき、様々なことを学ばせていただきました。どうもありがとうございました。
(1班 M大学 K.H.)

2019年 博物館実習 8月14日

博物館実習、初日はまず担当の学芸員から資料を配ってもらい自然史博物館の学芸員実習についての説明を受けました。そのあと研究室等を案内してもらい収蔵庫の中へ入り様々な分野の標本の保管方法の説明してもらいました。虫が標本を壊してしまったりしないように温度管理や湿度管理をしているのを体で感じることができました。哺乳類の骨の標本やサメのはく製は大きく見ごたえがありました。
午後からは自然史博物館の展示室をメンテナンスという点から説明をしてもらいながら回りました。電球のライトで文字が変色したりほこりがたまったのをのふくのも展示物の構造上、大変な場合もあり、学芸員さんは苦労されているんだろうなと思いました。また来館者が展示物を触って壊してしまう場合もあり、それは時に想像を超えたケースもあり学芸員はその都度対策をしていて本当に大変だなと思いました。
実習初日は研究を行ったり標本を作っている場所、標本を保管している場所、展示し普及教育を行なっいる場所を教えていただき大阪市立自然史博物館について知れた一日にになりました。
K大学 N.O

令和元年度 夏期博物館実習4日目

実習4日目、私たち2班は「第四紀研究室」のN先生にご指導いただきました。
午前は、友の会の行事「ビオトープの日」に一般の方々と一緒に参加させて頂きました。今回の活動は、草刈りでした。参加者の子どもたちは自由に虫取りをして、採った虫について学芸員の方に質問することができます。
私たち実習生は、主に博物館の非常口の周辺に生い茂った草を刈り、人が通りやすいようにしました。また、屋外の収蔵庫の出入口を塞いでしまっていた草や木も刈りました。ほとんどが日陰での作業だったので、大量の蚊に苦戦しましたが、草で生い茂っていたところがすっきりしたのを見ると達成感がありました。私は草刈り中も、あまり虫を見つけることはできませんでしたが、子どもたちはバッタやカマキリを捕まえていました。

午後からは、指導して下さったN先生が博物館全体の整理を担当されていたので、博物館のねじの整理のお手伝いをさせて頂きました。たくさんの箱に入ったねじを、長さ別に分類しました。箱に入っておらす、サイズがわからないねじも、一つ一つ長さを測って同じサイズのものを探して整理しました。初めはねじのサイズの見方もよくわかっていない状態でしたが、サイズの見方やねじの測り方を教えて頂き、5人で協力し合いながら作業を進めることができました。私たちがお手伝いしたのは、ねじを長さの順に分類するところまででしたが、さらに細かく分類する必要があるそうです。
今回の実習では普及教育活動の他に、学芸員の裏方の仕事のお手伝いもさせて頂き、学芸員の業務の多さと幅広さを少し知ることができました。
(2班 D大学 R.I)

2019年08月18日

令和元年度 夏期博物館実習4日目

博物館実習4日目、3班は鳥類や哺乳類を担当されている学芸員の和田さんに、標本の管理に必要な台帳や剥製、標本について教えていただきました。また、実際に標本にするための骨を洗う作業も体験させていただきました。
初めに標本の管理について説明していただきました。標本の管理は紙媒体で行われます。デジタル化したデータは長く保存ができないですし、消えてしまうリスクもあるからです。紙媒体のデータは標本受入台帳と標本受入票の2つで管理されます。
博物館が動物の引き取りにあたり重要視するポイントは『いつ・どこで採集したのか』が分かることだそうです。これが分からないと資料としての意味がないようです。受入票には動物を受け入れる際のやり取りの詳細までこと細かく記載されていました。それほど情報を残しておくことは大切なのだと思います。
次に骨の洗浄を体験させていただきました。今回洗ったのは大型の陸上哺乳類の骨でした。砂場で虫に肉の処理をさせた後、水につけて肉を腐らせたものを歯ブラシなどで洗う作業でした。臭いはそれなりにしました。でもそのうち慣れます。海獣類や鯨類に比べれば全然マシだそうです。
その後、洗った背骨を実習生で順番に並べる作業もさせていただきました。きちんと正しい順番に並べればパズルのようにピッタリはまります。感動ものです。動物によって腰椎や胸椎の数が異なることや、骨を見て初めて気付く事がたくさんあり、感心する事ばかりでした。ただ、普段学芸員の方が1人で作業すると考えると、とても大変な作業でした。その後、外で乾燥させていた皮を倉庫内に運びました。重くてとても1人では運べませんでした。この皮は薬品で殺虫した後、収蔵するようです。
最後は収蔵庫の標本や剥製を紹介していただきました。収蔵庫には同じ種類の動物の標本がいくつもあります。これは、いろんな時代の標本があって初めてわかることもあるからだそうで、集められるだけ集めるそうです。トリの仮剥製やナマケモノなどの骨格標本について説明していただき、実習4日目は終了となりました。
重たいものを運んだり、汚れる作業であったり、本当に大変な作業が多い印象を受けました。日々の業務や研究もこなしつつこういった仕事もこなす、座学だけでは分からない学芸員という職業のリアルな側面に触れることができました。しかし、大変な作業ではありますが、種類を問わず様々な動物の骨格標本をじっくり触ったり見たりできるのは学芸員の特権でもあると感じました。

K大学 T.M

令和元年度 夏期博物館実習4日目

実習4日目は植物標本の整理と登録を行いました。植物の標本は押し葉にして乾燥させた植物を台紙に貼った状態で保存されています。植物を台紙に固定するのにマスキングテープのようなものが使われていますが、これはラミントンテープといって、裏に樹脂が付いているテープです。貼りたい部分を温めると粘着できる仕組みになっていて、そうめんを束ねるのにも使われています。今度そうめんを茹でる時には注意して見てみようと思います。
標本の整理ではまず押し葉(さく葉)標本を整理番号順に並べました。この整理番号は採集者ごとに付ける番号で、この日は長谷川学芸員の採集した標本を並べました。数でいうと1~2000くらいまであり、小分けにしてチャック袋に入れて整理していましたが、実習室の机に山のようになっていました……中には屋久島で許可を得て採集された天然記念物の標本などもあり、とても貴重なものを扱わせていただいているという緊張感もありました。
次に登録という作業を行いました。先程並べた標本に標本番号の判子を押し、データベースへの登録を行って終了となります。私は判子を押す作業を行っていましたが、1回押すごとに判子の番号をずらさなければならず、なかなか大変な作業でした。ただ、私が付けた標本番号がそのままデータベースに載り、全国の研究者の方に公開されるので責任は重大です。2人で確認をしながらミスがないよう登録を行いました。
5日間の学芸員実習も早いもので残すところ1日となりました。明日は今までの標本管理とは違い、イベントの補助です。学芸員実習を通して学芸員の仕事の多さには驚いていますが、また明日新たな仕事を体験することになります。残りの1日も多くのことを学び、この実習を有意義に終えたいと思います。
(4班 K大学 N.I)

令和元年度 夏期博物館実習初日

実習初日はオリエンテーションと博物館内の施設見学が主な内容でした。

オリエンテーションでは、大阪市立自然史博物館の沿革や活動や学芸員の仕事内容についての説明がありました。市立自然史博物館が市立美術館内の廊下での展示から始まったことには、設立当初からなんらかの専用の建物が存在していたと思っていたので驚きました。

オリエンテーション後は3回に分けて施設内の見学がありました。
まず、展示場の見学を行いました。大学での授業においてはあまり扱われない、現場ならではの作業を行う学芸員目線からの問題についても実際の展示場を回って解説していただきました。例えば、展示スペース内のいくつもの展示ケースが配置を決定する上で業者側の作製した展示ケースのメンテナンス用の開け口や通用口が他のケースによって隠れてしまいケース内の電球交換や清掃が出来なくなっていました。他にも、展示物を守る為の仕切りを見易さも展示物保護の間で何度も作り直しているなど、中でもジオラマ模型においては試行錯誤する学芸員とそれを上回る行動をとる子どもたちとのたたかいのようなものを感じました。
展示を回りながらの説明において、最も興味深いと感じたのは触れる展示が想定以上のコストが多くかかってしまうことが多々あるということです。これらのように展示としては非常に面白かったり分かりやすい手法を利用しても、維持が難しいことやアクシデントが発生したりなど実際に運用して分かる想定外が多いことに少し驚かされました。
そして、学芸員室と収蔵庫の見学も行いました。建物の構造や現像部屋など現在ではあまり見ないような部屋もあり大阪市立自然史博物館の歴史が感じられました。標本室は3つに分かれており特別、液浸、通常標本室がありました。特に特別標本室は管理上の関係で冷んやりしていました。どの収蔵室も冷んやりしていましたが、膨大で多様な形態の収蔵物は、収集された方や歴代の担当学芸員の熱量というものを沸々と感じさせられました。また、量が莫大ということで、今後増え続ける資料に対して保管場所が減る一方の博物館側の問題の根深さや、担当ごとの収蔵物の配置場所の苦労と確保への熱を感じました。収蔵庫には標本の他に過去の展示で使われたジオラマや模型も置かれており、さまざまな方法で教育普及や展示といったものが行われてきた軌跡を垣間見ることができました。
また書庫には世界中から収集された資料や書籍が所蔵されており、標本に留まらない博物館の知の集積場所の役割の幅広さを感じました。

例年は特別展の見学があるようですが、今回は残念ながらお盆期間中でいつも以上に混雑していることもあり特別展の見学は各自でという形になり実習中にはありませんでした。
(1班 高知大学 Y.F.)

2019年08月17日

令和元年度 博物館実習

 博物館実習初日は、オリエンテーションと施設見学をしました。
 オリエンテーションでは大阪市立自然史博物館や学芸員、教育普及事業などの話を聞きました。教育普及事業が他の博物館より多いことや様々な分野を専門にする学芸員がいることなどの大阪市立自然史博物館の特色、地域の自然を取り上げた企画展を行うといった自然史博物館としての役割、学芸員の実情などを学びました。
 施設見学では、収蔵庫や展示室などを見て回りました。収蔵庫はそれぞれの標本の保存方法に適した環境にした3種類の収蔵庫がありました。どの収蔵庫にも膨大な数の標本があり、展示されているものはほんの一部であることを知りました。展示室は学芸員視点で見るという事で、展示品作成時には想定されていなかったことによって照明の交換が困難になったり、展示品を壊さないように掃除するのが大変になったりしたことなど学芸員の視点で主にメンテナンス面の説明を聞きました。また、展示品が壊されないようにするためにした工夫を聞き、展示品作成やメンテナンスの苦労を知りました。学芸員の視点で見る博物館は新鮮で、他の博物館を訪れた時にやってみようと思いました。
 今日の実習で学芸員の仕事や博物館の現状、展示に関する興味深い話をたくさん聞くことができました。明日から実習が本格に始まり、どんなことを学べるのか楽しみです。
(K大学 R.S)

2019年08月16日

令和元年度 夏期博物館実習初日

 本日の実習では、昨日に引き続き班ごとに活動しました。私の所属する4班の活動内容を紹介していきます。
 今回は魚類を中心とした液浸標本の扱いを学びました。始めに、カーボベルデで採集されたアジの仲間の標本を発送するための梱包作業を行いました。液浸標本ということで、発送するためには標本を乾燥させないこと、かつ可燃性のエタノールを入れ過ぎないことに注意しなければなりません。ですが、対象の魚は大きく、容器に入れるには多くのエタノールが必要です。これらの条件を聞き、どうやって送るのだろうかと疑問に思いましたが、エタノールに浸したタオルで包み、ポリ袋で密閉するという方法があるそうです。各分野における標本の大まかな取り扱いについては大学で勉強しましたが、この様な実際の発送方法などは聞くことがなかったので、大変勉強になりました。
 また、液浸標本のメンテナンスも行いました。エタノールが揮発してしまっている標本にエタノールの補充をしていきます。標本庫から標本を出し入れする際、決して間違った場所に置かないように皆緊張感を持って取り組みました。しかし、その際中にも変わった標本があったり、気になる標本を見つけると、M先生からその標本にまつわるお話を聞くことができ、時間を忘れる楽しい作業となりました。
 今回の実習内容は、どちらも実際に学芸員の方のされている仕事内容ということで、将来学芸員になることができたら、ということを想像しながら作業していきました。博物館の主役である標本の扱いには、細心の注意を払って気を遣う必要がありますが、資料がいっぱいいっぱいに詰まった標本庫には常に新しい出会いと発見があり、標本を扱う楽しさを改めて感じることができました。
(4班 R大学 Y.M.)

令和元年度 夏期博物館実習3日目

本日1班では、掃除と剥ぎ取り標本の仕上げを行いました。
収蔵庫のはき掃除では、収蔵庫に虫が入ると大切な資料が食べられてしまうため、ちりとりにごみを入れる前に集めたごみの中に虫がいないかしっかりチェックしました。
結果、ムカデとヤスデ、アシダカグモ、クロゴキブリ、そして資料を食べるルリホシカムシが見つかってしまいました、、しかしどれも少なく、またすでに死んでいたため心配はあまりないそうです、管理の大変さを感じました。
その後は剥ぎ取り標本の仕上げをおこないました。
剥ぎ取り標本は、むき出しの地層をそのままはぎ取って標本にするというとても斬新な物です。私も初めて見たのですが、断層や波の模様などをはっきりと見る事ができました。とても分かりやすくて良い標本だと思います。
しかし作業が大変なため、この標本を持っている博物館は少ないのだそうです。さらに、ぼろぼろと表面の砂や小石が落ちてきてしまうため今日はこの剥ぎ取り標本の表面に、薬品を入れたスプレーを吹きかけることによって、表面の砂が落ちないように、そして綺麗に観察できるようにコーティングしました。
また、ボーリングの資料についても見せていただきました。教科書でも目にするボーリング、実は2種類あるんだそうです。
1種類目は、みなさんもよく知ってると思いますが、地面から長い棒の形で地層を取り出すものです。
今日見せていただいたのは北津守で掘られた250mのとても長いボーリングでした。ただこのボーリング、実は1回掘るのに数億円かかるためなかなか行う事はできないのだそうです。1mごとに切断し、木箱に入れて保管してありました。
2種類目は、建物を建てる前にどこまで杭を打ち込めばいいか、地面の固さを調べるもの。
重りを決まった高さから落として何回落とせば30cm沈むか、という回数で地面の固さを調べるんだそうです。このボーリングの資料は1種類目と比べとてもコンパクトでした。50cmから1mごとに場所を決めて、地質を少しビンに入れて、資料として保存するそうです。
博物館実習では、博物館の裏側でしか知る事が出来ないことや学べることがとってもたくさんあって、毎日驚きと学びの連続です。今日で折り返し地点。明日からがまた楽しみです。

1班 R大学 A.M  

令和元年度 夏季博物館実習3日目

博物館実習3日目です。今日は主に2つの作業をしました。
1つ目は図書の整理です。図書は地学・博物館、植物、動物、昆虫、共通分野に区分されていて、さらに細かく番号付けされています。それらの図書は来館者が自由に読んだり、調べ物をしたりできるようになっています。本棚を見ると、番号がバラバラになっていて、来館者が図書をたくさん利用しているということが分かりました。図書の整理をして番号順に並べ替えることで来館者が読みたい図書が探しやすくなりました。

2つ目は寄贈された昆虫標本のラベル付けと整理です。博物館は資料の保管ができる場所であり、個人で標本を収集していた人から寄贈されることも多いそうです。その標本にラベルをつけることで、いつ誰から寄贈されたのかがわかるようになります。ラベルをつけるときには標本を傷つけないように気を使って作業をしました。その後は目ごとに分け、標本の数を数えて記録しました。今回は約2000体の標本を整理したのですが、細かい作業も多く、集中力が必要でした。
今日の実習で資料の保存の大切さをより感じることができました。

2班 M大学 M.Y

2019年08月15日

令和元年度 夏期博物館実習2日目

実習2日目、私たち3班は「昆虫研究室」のO先生にご指導いただきました。
O先生の専門は主に農業分野における蛾を中心とした害虫の研究との事でしたが、今日の実習では蛾と蝶について詳しく勉強することができました。

地下の特別標本庫にはとてもたくさんの昆虫の標本があります。最初から研究目的で収集・作成された標本も多くあるのでしょうが、昆虫標本では私たちのような一般市民が集め博物館に寄贈されたものも多くあるようです。そのような標本の多くはきっと捕まえた順に無作為にドイツ箱に並べられているので、昆虫の種類の分類ごとに分け直してから保管する必要があります。
実際に私たちも「蝶と蛾の分別」をやらせていただきました(ほんとうはもっと細かく分類する必要があります)。蝶と蛾の違いとはなんでしょう?O先生曰く、“触角の形”だそうです。触角の先が太くなっているのが蝶、細長いものや櫛状になっているものが蛾だそうです。しかし厳密には蝶と蛾を分けることは難しく、触角は蝶の特徴である個体だけどDNAの系統的に蛾であることがわかった、なんてのもありました。奥が深いです……。
昆虫標本は1匹づつ針に「ラベル」と一緒に刺さっています。このラベルがとてもとても大切です。ラベルには「採集場所・採集日・採集者名」が記入されていますがこの情報がないと研究データとして使用することができません。昆虫標本ではその標本を用いて当時の環境を調べる、という目的もありますのでラベルの情報が欠けていてはまったく資料として活用できないのです。逆に種名などは記入してなくてもあとから分類できるし、ハネなども1、2枚程度欠けたとしても別で保管したりしておけば資料としてはあまり問題がないのだそうです。
もし私も昆虫標本を作るような機会があれば、とくに研究用途はなくてもせっかくなのでラベルをつけておきたいと思います。

標本庫から実習室に戻り、標本庫からもってきた貴重で珍しい蝶と蛾について講義していただきました。貴重な蝶と蛾、特に世界最大級の種のものや模様がキレイなものはやはり人気もありよく展示に使われるのだそうです。
いろんな標本を紹介していただきましたが個人的に「モルフォ蝶」が印象に残りました。モルフォ蝶はキレイな青色の蝶なのですが、光の当て方により少し色が変わってみえる「構造色」という特徴を持っています。そのためその標本は生物学の世界を飛び出し科学館へ貸し出されたこともあるのだそうです。全面メタリックブルーでかなり派手な感じなのですが、裏返してみるとけっこう地味です。

昆虫にはあまり詳しくない私でしたが、実物を見ながら解説を聞くことで新しく気づかされることがたくさんあり興味が深まるばかりでした。一般の人でもこんなふうに、標本にもっと近づける機会があったらいいなと思いました。

3班 M大学 S.N.

令和元年度 夏期博物館実習2日目

夏期博物館実習2日目からは、昨日とは異なり、4つの班に分かれて実習を行います。
私の班は本日、クジラの化石を担当している学芸員のもとで自己紹介を行いました。
同じ班の実習生の方々はそれぞれ研究対象や出身大学が異なり、研究対象やそこから派生したお話など面白い話をたくさん聞くことができました。特に、博物館のポスターの配置の距離に黄金比が使われていたり、前衛芸術が使われているというお話は大変面白かったです。
本日は諸事情により自己紹介だけになってしまいましたが、本格的な実習ができなかった分、明日の実習がますます楽しみになりました。
(4班 M大学 T.U)

令和元年度 夏期博物館実習(2日目)

博物館実習2日目です。
昨日のオリエンテーションやバックヤードツアーを経て、いよいよ具体的に実習が始まりました。2日目からは数名で班に分かれての実習です。
台風が接近した影響で本日は臨時休館ということでまずは臨時休館のお知らせを門や掲示板へ貼るお仕事をさせていただきました。
その後、陸貝の標本の整理をさせていただきました。陸貝を海外のものと日本のものに分けて印をしてコンテナに詰めなおすということをやりました。
今回、整理をした陸貝のうち海外産のものはのちにアメリカの博物館へ収蔵されるとのことで、実習を通して、日本と海外との博物館における標本の入手の仕方の違いについてお話を伺うことができました。
日本では、博物館が直接交渉したり、寄贈者から直接提供されることが多いそうですが、アメリカなどでは博物館にスポンサーが付き、そのスポンサーが標本を購入し、博物館へ寄贈するという流れで博物館へ標本が提供されるようです。
他にも海外では学芸員の仕事を細分化してそれぞれを一つの職業として区別しているということも聞いたことがありますが、国によって博物館を取り巻く状況や博物館のシステムは異なるのだなということを改めて感じました。
本日は標本整理と掲示物の掲示というかなり異なる実習内容を同時に体験することができ、学芸員の方々の仕事の幅の広さの一端を知ることができたような気がします。
(1班 名城大学M.I)

2019年08月14日

令和元年度 夏期博物館実習初日

夏期博物館実習初日は、オリエンテーションがメインでした。午前中はまず、学芸員の仕事の四本柱を中心に、博物館や学芸員の活動内容について学び、次に、研究室や書庫を案内していただき、今後に役立つありがたい話とともに博物館の現状を知ることができるおもしろい話を聞くことができました。
午後は、博物館の3つの収蔵庫と展示をそれぞれ案内していただきました。いずれの収蔵庫でも収まりきらない標本が印象的でした。事前学習で行った博物館でも収蔵スペースの問題を聞き、同様の問題を抱えているのだと改めて実感しました。その後、常設展示では、学芸員としての視点で展示を見るときに重要なところを説明していただきました。
このように初日は、学芸員としての活動内容や気をつけなければならない点を中心に学びました。
(H大学 Y.F.)