Categories 6.研究助成

2026年度 研究助成事業 採択決定

2026年度第1回運営委員会で2026年度研究助成事業の審査が行われました。応募総数4件の申請について審査を行い、以下の3件に研究助成することが決まりました。いずれも現代的課題の解明に向けた重要な課題であり、研究終了後、「地域自然史と保全」に研究成果が公表されることを期待しています。

1)研究題目:「大和川水系支流におけるカワリヌマエビ属2種の分布様式と環境要因:ニッチ分割と競争排除の解明」

  申請者:伊藤 迪(兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科)他

  助成金額:100,000円

  講評:本研究申請課題は、大和川水系支流におけるカワリヌマエビ属2種のうち在来種ミナミヌマエビと外来種シナヌマエビの分布を明らかにするとともに、それら分布を決めている環境要因について明らかにすることを目的としている。研究の着眼点については興味深く、これらの分布の現状やその要因の詳細な調査は、将来的な水域の在来カワリヌマエビ属を含めた保全にも貢献しうると期待できる。一方で、カワリヌマエビ属は同定が非常に難しいことが知られており、現時点では対象種を含めた交雑や遺伝的撹乱の可能性なども排除できない。研究テーマとしては受給にふさわしいと考えるが、種同定については慎重に対処するのが望ましい。

2)研究題目:「龍野町の重要伝統的建造物群保存地区の屋根に生育するツメレンゲ個体群の現状と保全」

  申請者:圓山 初美(兵庫県立大学大学院緑環境景観マネジメント研究科)他

  助成金額:6000円

  講評:兵庫県たつの市の街並保存地区を対象に、歴史的家屋の保存と準絶滅危惧植物ツメレンゲの保全を総合的に検討する本研究は、高い意義を持つと考えます。ツメレンゲは、兵庫県レッドリストBランクに指定されるシジミチョウ科のクロツバメシジミの食草でもあり、その保全はクロツバメシジミの保全にも直結します。本研究では、古い家屋の屋根に生育するツメレンゲの現状を詳細に調査し、得られた情報を地域住民と共有することを計画しています。屋根の修復工事にあたってツメレンゲの保全を考慮することの重要性を科学的根拠とともに住民に示すことで、街並み保存とツメレンゲ・クロツバメシジミの総合的な保全活動に貢献することが期待されます。なお、本助成は研究実施への支援を基本としているため、学会発表にかかる経費の一部(交通費・宿泊費)を減額いたしました。

3)研究題目:「淡路島のため池に侵入定着したアフリカツメガエルの拡散状況および生物多様性への影響」

  申請者:森 悠一朗(兵庫県立大学緑景観環境マネジメント研究科)他

  助成金額:61,000円

  講評: 本研究は、淡路島への外来生物の侵入状況を明らかにするとともに、生態系への影響を推定して在来生態系の保全に役立てる調査研究である。淡路島の水生外来生物被害として、特定外来生物ナガエツルノゲイトウが大きな問題となっているが、外来生物は侵入後の早い段階で適切な対策をうつ必要があり、基礎資料として本研究に期待している。雨の少ない淡路島はため池が多く、豊かな水辺生態系が形成されているが、アフリカ原産のアフリカツメガエルの侵入は、「在来の水生動物に対する捕食圧・競合圧が生じる可能性がある」ことが懸念される。また、いったん侵入すると、ため池が密集する淡路島では拡散が早いことが予想される。なお、本調査は、5個のトラップで順に25ケ所の調査を行うように読めるが、調査実施の同時性が担保できない影響はないのか。また、40回の調査を予定しているようだが、1調査地点あたり1回程度の調査でアフリカツメガエルの在不在を確定できるのか。なお、ため池は所有者(管理者)が存在し、無断の調査はトラブルの原因ともなるので、許可を得てほしい。また、トラップには在来カメの混獲等が想定され、水中に長時間設置した場合にカメの溺死が懸念されるので、トラップの一部は水面上に出る工夫をしてほしい。さらに、アフリカツメガエルの影響を推定するため、生息地と非生息地の生物相の比較を行うとしているが、その違いとアフリカツメガエルの在不在の関係が判断できないことが容易に想像できる。アフリカツメガエルの胃内容物調査や摂餌活動の観察なども併せて実施することが望ましい。

You May Also Like