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2021年11月18日

2021年度博物館実習 11月14日

こんにちは。成安造形大学のM.Tです。
博物館実習最終日の14日、一班では災害で水や泥汚れがついてしまった植物標本を乾燥させる為の作業を行いました。作業内容としては、ひとつひとつ標本の濡れ具合を確認し、程度に合わせて新聞や段ボールに挟んでオープンドライヤーで乾かすという手順となります。新聞だけでなく穴の空いた段ボールを挟むのは、ドライヤーの中で熱や風をより循環させるという目的があります。脆く崩れやすい標本や濡れ具合が酷く新聞に引っ付いてしまう状態の場合は、間にネットを挟み対策をします。標本を出来る限り壊さないよう丁寧に扱う必要があり、さらに量もたくさんあるため大変な作業だと感じました。
今回この作業を行うにあたって、東北の震災時のお話もお聞きしました。被災した博物館の対応をしたいと思っても当時はまだ標本処理の手法が定まっておらず、混乱も多かったため想像以上に大変な状況だったことを知りました。同時に、このような被災の経験から私たち実習生のようなアマチュアでも手伝うことが出来、より早くより多くの標本を助けられる手順が定まってきたことも知りました。
今日作業を行なったのも他博物館の所蔵品であり、またこのような処理作業は自然史博物館が主催している友の会の会員の方々とも協力して行っていると聞き、博物館同士の連携や地域での協力など人との繋がりも重要になってくることを学んだ1日となりました。
5日間の実習を通して収蔵庫を見せていただく機会が何度もありましたが、自然史ということもあり数が膨大でこの数が被災する大変さは素人目でも感じられました。災害はいつ何が起こるか分かりません。完全に予防するのは不可能ですが、助け合える状況を作ることは可能です。今回実習で標本や資料に身近に触れた身として、今後もこのような機会があれば力になりたいと思いました。

2021年11月15日

2021年度博物館実習 11月14日

こんにちは。最終日のブログ担当の滋賀県立大学のS.Hです。
今日は動物標本がメインの内容でした。
はじめに標本台帳と標本受け入れ票について講義していただきました。台帳は登録された標本の番号が記載されているものである一方で、受け入れ票には未登録の標本に関する情報も記載されているものだということでした。これまでの実習で収蔵庫には未整理・未登録の標本が多く存在すると聞いていましたが、そういったものもほぼ全ての情報が残されていて、確かに最低限の情報は残さないと収拾が付かなくなるなと納得しました。その一方で、どれが未登録でどれが登録済みの標本なのかややこしくなりそうだなとも思いました。

次に哺乳類の骨格標本の洗浄を行いました。今回扱ったのはヒツジの骨でした。動物の死体が博物館にやってきてからまず肉をとる作業をするそうで、担当の方はしばらく地上に置いておいて虫や微生物にきれいにしてもらう方法をとっているそうです。そのため、骨が入った袋には一緒に虫の抜け殻も入っており、少し驚きました。洗浄は歯ブラシを主に使用し、骨の状態によってピンセットや試験官用ブラシなども適宜使用しました。汚れは歯ブラシでこするだけで簡単に取ることができ、きれいな骨になっていくのを見て虫や微生物はここまできれいにできるものなんだなと驚きました。

洗浄が終わった後、背骨を頸椎から胸椎、腰椎と正しい順に並べる体験をしました。洗浄している時に骨が意外と小さく感じたこともあり、幼いヒツジだったのかと思っていましたが、よくよく聞いてみると高齢のヒツジだったそうです。また、骨の状態から高齢だったことがわかると教えていただいてとても興味深かったです。並べる作業は初心者にはどれも同じに見えて難しく感じました。教えてもらいながら正しい順に並べるとしっかりと組み上がったので、自然に作られたにも関わらず身体の構造はうまくできているんだなと感動しました。

今日は骨格標本の作成を主に体験しました。別の日に行った昆虫・植物・化石の標本の作成や整理も、標本を壊さないように気を遣いながらも素早く行う必要があり大変さを感じましたが、動物の標本は重い死体を運んだり骨を一つずつ手洗いしたりと肉体的な厳しさもある分一番大変なのではないかと感じました。

2021年11月14日

2021年度博物館実習 11月12日

和歌山大学 K.Yです。

畔田翠山の読み方は知っていますか?和歌山県出身の江戸後期の本草学者です。答えは最後に書きますね。

大阪市立自然史博物館の収蔵庫には、彼の作った標本が保存されています。江戸後期の標本が残っていると思うと面白いですよね。
気になったのは、保存方法。今はナフタレンという人体に有害な薬品で防虫をしていますが、江戸時代の文献は何を使っていたのでしょう。樟脳でしょうか。もし今後機会があれば、樟脳を試してみますね。

今、収蔵庫にある標本は全国各地から集まってきています。今回大阪府内で採集されたものだけを選び、大阪府下の植物史を作ろうという話が出ているそうです。そのために30万点もある標本の中の一部を選別しました。戦前のものが少ないのは太平洋戦争の空襲で焼けてしまったから。難しさを感じたのは、摂津や山城など旧国名を使っていたとき。面白かったのは、著名な植物学者のものと一般の人の作ったものが混ざっていたとき。誰でも作って寄贈できると知ったので、少し挑戦してみようかなと思いました。採取地の地名やその土地の環境、植物の見た目、周辺に生えている植物の名前と自分の名前を記載する必要があるそうです。
他にも収蔵庫に保存されている世界最大の種子(フタゴヤシ)を見たり木材標本を見学したりしました。木材標本が木の箪笥に保存されていたのが特に印象的でした。

さて、クイズの答えです。
くろだ・すいざんです。

もし機会があれば、調べてみてくださいね!

2021年度博物館実習(秋) 最終日!

こんにちは~、大阪市立大学のM.Nです。
とうとう実習最終日になりました。

今日はボーリング調査で得られた地質柱状図のデータ化作業を行いました。
まず収蔵庫内にあるボーリング試料を見せていただきました。最初に見せてもらったのは、直径約8センチ、長さ約1メートルのホールコアボーリングというボーリング試料です。兵庫県南部地震を受けて、大阪平野の断層などを調べておこうということで掘られた試料だといいます。大阪市大で研究されたあと、自然史博物館で保管をしているものだと聞き、自分の大学との関わりを垣間見ました。
また、地下鉄や市営住宅などを建てる前の地盤調査用に掘られたボーリング試料も見せていただきました。木箱のなかには小さな瓶に入った試料がたくさん入っていました。瓶の中に入っている土は掘ってから時間が経っているため水分が抜け固くなっていましたが、そこに水を混ぜると、6000年前にたまった海の地層であれば歯磨き粉程度の柔らかさにまでなるといいます。そんなに柔らかな地盤の上に住んでいるとはなかなか気づかないので驚きですね。地盤調査をし、硬い地層を探して杭をうって建物を建てていることにありがたみを感じます。

収蔵庫内には先ほど紹介したようなボーリング試料が大量に保管してあります。大学等が研究目的に使うときは貸し出したり、特別展で展示したりすることもあるそうですが、博物館にとって大事なのは資料を保管しておくことであると教えてもらいました。とはいえ、地盤調査をするたびにボーリング試料が送られてくるとあっというまに収納スペースが埋まっていくので大変だなぁと思いました。

収蔵庫内の見学をした後は、紙のボーリング柱状図をデジタル化する作業を行いました。柱状図にはどのような地層がどのくらいの厚さで存在しているかや地層の色、硬さが記されています。紙ベースの柱状図をxml形式でデジタル化することで、ほかの研究機関、公的機関とのシェアが簡単になるという利点があります。また収蔵庫内には多数のボーリング試料があったことからも、データ化して管理しておくと扱いやすくなると思いました。オフィスワークのような感じで、紙に書かれた情報を打っていくのは少し目が疲れましたが(笑)、PDF化した柱状図を見ると、地層の種類ごとに色が塗られた状態で完成していて、いいものができあがったような達成感がありました。

ただ、1枚の柱状図をデータ化するのに50分くらいかかったので、一日に何枚もするのは疲れますね。学芸員さん尊敬です。
おつかれさまでした!!

2021年11月13日

2021年度博物館実習 11月13日

岡山理科大学のK.Cです。
本日の実習では、植物化石の標本を扱った作業を主に行いました。植物の圧縮化石標本の紙台帳に、一つ一つ登録番号を記入しました。圧縮化石とは、植物が地層などにより圧縮され、本体が残ってできるものであると教えて頂きました。今回扱った標本は、植物学者の三木茂博士がこの博物館に寄贈した、プレパラート標本です。作業中ではありましたが、そのような貴重な標本をじっくりと見ることができ、とても興味深かったです。
資料のデジタル化が進む中、今回の作業は客観的にみれば、必要性が低く感じるかもしれません。しかし、デジタル機器のトラブルによる資料の損失を考えると、紙媒体での保存には意義があると教えて頂きました。また、自身でデータの記入にふれたことで、一つ一つの標本に意識が向く実感や、実物を見ながらそれぞれの情報を知識として吸収する面白さがありました。
もう一つ、特別展示の片付けも行いました。当たり前のことではありますが、展示は並べて終わりではないと実感しました。また、展示の段階から片付けまで、一貫して計画性が必要であると感じました。このことはどのような場面においても大切になるため、学びにつながる良い経験になったと思います。

2021年度 博物館実習 11/13 【4班】

こんにちは。和歌山大学のM.Sです。

本日4班では、館長さんと共に寄贈された標本を整理を行いました。主に鉱石や化石でした。
博物館では標本等の受け入れをしますが、すべてを受け入れているわけではありません。まずは名前や産地等のデータがあるかどうかや、保管できるスペースが確保できるか等で受け入れの可否を決定します。その後受け入れを決定したものすべてに仮番号を振り、箱に入れ替え、付属しているラベルを見てデータの入力をしていきます。実習ではこの部分を行いました。

寄贈されたものの約半分ほどにはラベルが付いた状態でしたが、それ以外は自分たちで鉱石や化石の名前を調べながらデータを作成しました。調べるのも、ヒントがほとんど無い状態でしたので、その分野の知識が十分でないと見当をつけることすら難しいことを身をもって体験しました。学芸員には分野の広く深い専門的な知識が必要という事がとてもよく分かります。
また、ラベルの重要性が非常によくわかる実習でした。ラベルが標本と共に保管されていないと、後々利用する人が名前は分かっても産地が無く標本として使えなかったりしてしまいます。ラベルは標本の見た目からは分からない情報を伝える大事なものなのです。

今回の実習を通して、標本には情報が載っているラベルが不可欠であること、そして自分達の知識は分野のほんの一部でしかないことを痛感しました。将来コレクションをしつつ、自分の知識を増やすのも良いなと思いました。もちろん、保管の際にはラベルを忘れずに!

2021年度 博物館実習 11/13

こんにちは。M大学のS.Aです。
本日は昆虫研究室のSさんと収蔵庫に収められている書物の整理を行いました。収蔵庫に収められている書物は、一般の人も学芸員もほとんど使用しない専門書や、年代の古いもの、海外の資料などです。それらを棚から一度取り出し、分類しました。そして、巻数の順番に並べていきました。

一見すると地味な作業に思いますが、とても価値のある経験ができたと私は感じています。
その理由は、二つあります。一つ目は、整理した資料は海外のものが多く、様々な国のものだったので、改めて研究の奥行きの広さを感じられたからです。あらゆる国で調査された昆虫のデータはとても貴重なものなので、その資料にふれることは価値があったと思います。
また、古い資料は、1980年頃から始まり、毎年2冊から4冊ずつ出版されていました。そのため、年が経過するにつれて、表紙の素材やデザイン、出版元など、ところどころに変化がみられる点はとても興味深く感じました。この移り変わりが見られたことも良かったです。

本日は他にも、ラベル付けの作業も少しさせていただきました。しかし、海外の書物なので、まずタイトルがどれなのか悩むものもあり、かなり苦戦しました。そんな私に対して、学芸員やお手伝いの方はサクッとラベルを書かれていたので、知識の差を思い知りました。私ももっと勉強して、知識を増やしていきたいと思いました。

2021年度 11/12 博物館実習について

岡山理科大学 H.Sです。
今日はチョウやガの標本を用い、標本の大切さや様々なチョウについて学びました。

チョウとガの分類やチョウの分類を行った時は見分け方を教わりながらでしたが類似している点が多く図鑑をみながら、解説を聞きながらではあったものの凄く難しいものだと感じました。しかし、標本を保存する際の同定の必要性を同時に理解することが出来ました。

また、様々なチョウの標本を見せていただきながらそのチョウの特徴について学びました。チョウの特徴を知ることでその当時の植生や環境を理解すること出来ます。現在は絶滅してしまいその地域に分布していなくても採集された記録があるということはその当時はチョウが生息できる環境であったことを示します。
これは、標本が当時を知る手がかりとなることを示します。私は標本はただ単にその種について残すためのものだけだと思っていましたが、資料ともなることを知り驚きました。

博物館における標本の保存や管理の必要性を学び、学芸員の方から様々な話を聞けてとても楽しい実習でした。

2021年11月12日

2021年度 博物館実習11/12

こんにちは、4班 K大学 Y.T です。
今日は動物研究室のIさんと、寄贈品の整理を行いました。整理したのはカタツムリの貝殻です。雨の日に家の前で見かけるようなものから、見たことないくらいド派手な黄色のものまで、さまざまな種類の貝殻にふれました。
個人の収集家から寄贈された標本は、封筒やビニールに入っていたり、ビンに詰められていたりします。博物館で保管するためには、標本をプラスチックの容器に入れ替えなければなりません。そこで、標本とラベルをケースに移し替え。寄贈者の名前の名前を書いたラベルを追加しました。

今日は、二つのことで苦労し、より良い方法を模索しました。
一つ目は、ラベルを収納する位置決めです。標本の移し替えが終わってから、学芸員は標本の登録を行います。これを終えて初めて、標本は博物館に所属します。しかし、ラベルが見にくい位置に置いてあると、標本登録の際にケースを開けて種名や産地を確認せねばならず、二度手間になります。そこで、ラベルが見やすく、さらに標本が隠れすぎないように収納することを考えて取り組みました。
二つ目は、瓶詰めされている標本を取り出すことです。
古い標本ほど、瓶詰めに使用されているコルクが劣化していました。コルクを抜こうとすると、上の部分だけがもげるのです。もげてしまったものは、ピンセットで慎重に取り出します。しかし、なかなかうまく取れてくれませんでした。コルクがボロボロになると、標本を汚染してしまうので、できるだけコルクを傷つけないように取りました。どうしてもコルクが取れないものは、コルクを破壊して標本を取り出し、丁寧に標本のみをケースに移し替えました。

今日のもう一つの仕事は、標本リストの作成です。寄贈された標本の中でも、ワシントン条約(種の保存法)に定められている種の標本リストを作成しました。博物館は、展示目的で譲渡された希少な標本を政府に届け出る必要があるためです。博物館で働くには、地域に根差した視点だけでなく、国際条約のようなグローバルな視点も必要であると実感しました。

2021年11月11日

2021年度博物館実習秋季1日目

 昨日から博物館実習に参加させていただいておりますT大のS.S.です。
 本日の実習では昆虫研究のM学芸員の指導の下、主にスズメバチの標本の整理を行いました。
 本日の実習を行うにあたり、昆虫の標本を保存する意義についてM学芸員から説明がありました。昆虫の標本を保存することで、環境の変化によって起きた生態系の変化を知ることができたり、タイプ標本を使って、新種の発見や別の種類を見分けたり、正しい昆虫の種類を次の世代へと繋ぐこともできます。また、保存した標本は収蔵庫に保管するだけではなく、大学からの依頼で保存している標本を資料として貸すことや、一般の方から標本を預かることもあるそうです。
 標本の整理の作業では、どこの、誰のものなのかが記載されている紙をカッターやハサミなどを使い、小さく切って、蜂を固定している釘の先に刺すという作業をした後、スズメバチの種類別に分けました。この作業はとても楽しかったです。

2021年度秋季博物館実習 2日目

どうも、和歌山大学から来ました2021年度秋季博物館実習生のK.Yです。
博物館実習で今日何をしたのかについて説明したいと思います。

それは2つあります。
1つ目は、博物館の役割や資料収集・保管に関する講義です。
2つ目は、標本の作製と管理の実習です。

まず、1つ目の講義で学習したことについて説明します。
博物館の基本的な役割は、
①資料の収集・整理・保管
②資料に基づく調査・研究
③展示を含む普及・教育
の3つですが、そのほかにも
・シンクタンク活動
・市民連携
・市民の活動・交流拠点
・地域づくり
・管理運営
と役割が多岐にわたります。
今日担当してくださった学芸員も、大阪湾海岸生物研究会というサークルに所属されているそうで、学芸員は博物館外でも精力的に活動されていることを知りました。

資料の収集・保管についての講義では、収集、標本作製、保存・管理の3つに分かれた説明を受けました。
それぞれの項目で学習したことをいくつかあげると、
・寄贈は資料収集において貴重であること。
・資料を冷凍してしまうと、資料の質が落ちてしまうこと。
・麻酔をしてから生物資料を殺す理由は、倫理上のため。
・展鰭(ひれ立て)を行う理由は、分類学研究の際、ひれのふくらみを視認しやすくするためやひれの数を数えやすくするため。
・液浸標本の場合、資料の色が次第に抜けていくため、採集当時の状態を写真撮影で記録することが重要。
・資料の体長を測定することは、研究の際、資料の貸し借りがスムーズになる。
などでした。
担当学芸員は、ただ資料収集・保管の手順を説明するのではなく、それぞれの手順について、なぜこれを行う必要があるのかを説明してくださったので、理解が非常に深まった講義となりました。

次に、今日何をしたのかについての2つ目であります、標本の作製と管理の実習について説明します。
扱う資料は魚類でした。
実際に行った標本作製の手順は、大まかに以下の通りです。
①アルコール漬けした魚に、その魚の種類に対応した標本ラベルを取り付ける。
②重力による尾の変形を軽減するため、魚の頭を底にしてケースに入れ、尾から1㎝上ぐらいまでエタノールを入れる。
③標本台帳を見ながら、ケースの蓋に生物名、標本番号、個体数、採集地点を記入する。
④作製した標本を魚類の科ごとに収蔵庫に保管する。

次に標本の管理は、魚類の液浸標本が十分にエタノールに浸かっているかを確認しました。
魚全体がエタノールに浸かっていなければ、魚を傷付けないように、そっとエタノールを足します。
講義の時でもそうでしたが、実習中も担当学芸員は、1つ1つの作業にその意図や理由を説明してくださったので、実習でしたことは全部私にとって初めてのことでしたが、それでも着実に理解しながら実習を行うことができました。

明日以降の実習では、さらなる理解につなげるために、自分自身で1つ1つの作業に問いを持ち、それぞれの意図や理由を探るように心がけたいと思います。

2021年度博物館実習秋季1日目

昨日から博物館実習に参加させていただいておりますW大のN.M.です。
本日の実習では第四紀研究室のN学芸員のご指導の下、主に海浜砂の標本整理を行いました。
まず初めに、本日の実習を行うにあたり、砂の標本を保存する意義についてN学芸員から説明がありました。砂。とりわけ河川や海にある砂はコンクリートをはじめとした建材の主原料となるため、20世紀以降世界各地で採取されるようになりました。また、同時にダムの建設も活発化し、川をせき止めるダム構造物は砂をダム湖に堆積しやすくなっています。そのため、近年、砂の減少が世界的に大きな問題になっています。砂の減少はコンクリートの原料が減少するという点でも問題ですが、海岸浸食をはじめとした生態系を支える基盤となる地形改変ももたらすなど、その影響は深刻です。このような背景を知ったうえで砂の標本を保存する意義を学び、実習に臨みました。
実習では実際に収蔵庫で標本に番号を付与していきました。まず、事前に配られた標本のリストを見、付与する番号を決定し、ねらいを定めて地方別に分類された標本のボックスからお目当ての標本を探します。砂が入っている瓶の蓋に採集地や採集年月日、採集者などが書かれており、それを基に探します。お目当てらしき標本が見つかったら蓋を開けて中のメモを取り出し、採集地の座標を照合します。あっていればそのメモに番号を書き、蓋にも同じ番号を書きます。以上が標本整理の流れで、これを延々と繰り返しました。標本は北は北海道から南は沖縄まであり、その多さに驚きました。一言に「砂」と言ってもその地域で色、構成物、粒度などが全くことなり、まさにGeodiversityを感じました。
砂の標本は大変重く、ボックスを持ち上げるのは少し苦労しましたが、探し求めていたものを引き当てたといは心地よい快感を味わえました。また、個人的な感想としては日本のみならず世界各地の地名に出会えたことが楽しかったです。
最後に、砂だけでなく、化石の標本などを通して、標本にナンバリングする意義を学びました。自分が何か集めて博物館に寄贈するようなことは恐らくないと思いますが、何か集めたらその情報をしっかりと書き留めておこうと思いました。そういって我が家にある各所から拾い集めた岩石に情報を整理しようしようと思いつつしていないものが存在することを思い出しました。
とても充実した一日となりました。

2021年度 博物館実習2日目

自分は博物館実習2日目で、植物標本のデータの整理をおもに行いました。
午前中での実習では、植物標本の作製の手順を説明していただきました。植物標本を作製する際には、基本的には新聞紙や吸い取り紙を用いて標本をはさみ、その上から重しをのせて何週間か置くことでできあがります。本博物館には、植物を乾燥させる装置があるので、新聞紙や吸い取り紙の交換などはいらず、乾燥時間を短くてすみます。多数の植物を扱う博物館にとっては必需品のように思いました。手順の説明をしてもらった後は、収蔵庫にあるデータの入力の終わっていない植物標本を取りに行き、パソコンがある部屋まで持ってきてデータの入力をしました。データ入力は、名称、採集場所、採集日、採集者の氏名の入力をしました。
午後の実習では、引き続きデータ入力の作業を行いました。データの入力の項目である採集場所は、地名の難しいものが多くて大変でした。また、標本の中には海外で採集されたものもあり驚きました。データの入力の作業は、合計で4時間ほど行って100個ほど終わりました。収蔵庫にある未入力のものの数を考えると、ほんの一部しか終わらなかったと感じました。データの入力が終わっても、そこから配架する作業などがあること考えると、本当にいくつもの作業しなければならないと思いました。今回は植物のデータの入力しましたが、動物のデータの入力では、何か入力する項目に違いがあるのか興味が湧きました。
(4班 O大学 U.S)