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2022年01月14日

2021年度博物館実習4日目

大阪大学のN.Kです。今日は学芸員の長谷川さんの指示にしたがって植物標本の登録を行いました。登録作業という言葉だけ聞くと楽な作業のように思えますが、もし間違った情報を登録してしまうと、あるはずのものがないといったようなトラブルのもとになってしまうため、集中して決して間違いがないようにする必要があります。また、一つや二つならほとんど時間はかからないのですが、登録を待つ標本はダンボール複数個分あり、大変時間のかかる作業となっています。なぜそのような大変な思いをしてまで登録作業を行わなければいけないのか?と思う人もいるかもしれません。しかし、もし登録が行われていなければ、標本を使いたい外部の研究者が、この博物館に目的の標本があるか確認できません。博物館の持つ標本を活用してもらうために、登録作業は大変重要なのです。
登録作業の大切さを理解してもらえたところで、この作業の大変な点について語っていきましょう。まず、この作業の基本はラベルに書かれた情報をパソコンに入力することなのですが、手書きラベルの一部には文字の癖の強いものが…、もし皆さんがこれから標本を博物館に持ち込むなら、出来ればラベルはパソコンで作成していただけるとありがたいです。また、標本は壊れやすいので扱いには気を遣います。ただ、量がとにかく多いので、スペースの都合上積んでいく必要があり、いつの間にか不安定な積み方になっていることがあります。かといってあまり丁寧に積んでいくと、作業時間がどんどん延びていき、いつまでたっても終わらなくなるというジレンマがあり、悩ませられます。
今日の実習で、私は、来館者から見えない多くの地味だが、避けては通れない作業によって博物館は支えられていることを学びました。皆さんも、これから博物館に行ったときは、博物館の方々の見えない努力を、ぜひ思い出してあげてください。以上です。

2021年度博物館実習 最終日(1/13)

初めまして、博物館実習最終日のブログを担当する三重大学のSIです。

最終日は前日の実習と同じく、3つの班に分かれてそれぞれ担当してくださる学芸員の方々に指導を受けました。私たち3班を担当していただいたのは昆虫研究室のM先生でした。

午前は昆虫研究室の3名の学芸員が主にどの分類を担当しているのか大まかな説明を受けました。昆虫は種数がとても多いため、それに伴って標本の数も他の研究室に比べて多くなっていました。昆虫研究室の話を聞いた後は収蔵庫へ行き、昆虫の標本を見ました。同じ分類の種でも、生息する場所などで様々な形態をしていました。様々な標本を見た中で、アミメカゲロウ目あるカマキリモドキが印象的でした。見た目はカマキリにとても似ていて、クモの卵に寄生して卵を餌に成長するという生活史を持っていることを知りました。収蔵庫を見た後はウスバカゲロウ科の標本作成を行いました。羽の網目がとても綺麗でした。触覚などが取れやすく扱いがとても大変でした。
午後は午前の続きで、ウスバカゲロウ科の標本作成を行いました。全部で約150匹ほどの標本を作成しました。その後、作成した標本の種を同定すると10種のウスバカゲロウがいました。同じホシウスバカゲロウの中に新種がいることが最近発見されたと聞きました。今回の標本の中にもいくつか別の種が混ざっていました。成虫の形態はもちろん、幼虫の形態にも違いがあるそうです。最後に種ごとに整理した標本を収蔵庫へ持って行き、種ごとに棚に収納して実習は終了しました。

これまで昆虫の標本作成など経験したことがなかったので、とても良い経験になりました。また、標本を見たり、作成したりする中で新たな知識を得られて良かったです。

2021年度博物館館務実習 2日目 はくぶかん・たんけん隊

こんにちは。北海道大学のHNと申します。
昨日、全5日間の博物館館務実習が無事終了しました。
今回は2日目に実施されたはくぶかん・たんけん隊の、補助スタッフ活動について書かせていただきます。

はくぶかん・たんけん隊は小学生の子供たちと一緒に博物館のバックヤードを見て回るイベントで、実習生の役割はタイムキーパーと体調不良になってしまった子供への個別対応がメインでした。
午前中は元気いっぱいの低学年男子4人のグループを担当しましたが、とにかく自分の知っていることを全部話したい子、おとなしい子、ひたすらカメラで写真撮ってる子、とそれぞれ全然違う性格で、対応の仕方など実習生としてはとても勉強になりました。
どの子もみんな生き物についてよく知っていて驚きました。
特別収蔵庫、液浸収蔵庫、実習室の哺乳類の皮でそれぞれ1人ずつ気分が悪くなり部屋の外に連れ出す作業をしたので、イベントのお役には立てたのかもしれません。
収蔵庫の外で待つ際、入り口で作業をされていた方から小学生用が休憩するための椅子を貸していただき大変助かりました。

午後は高学年グループを担当しました。
午前中とは違ってみんなおとなしい雰囲気でしたが、実習室で学芸員さんから色々クイズを出されるうちに段々と活発になっていったように思います。
特別収蔵庫で女の子が1人リタイアしたので連れ出しましたが、その後の時間がかなり余ってしまい、おしゃべりもうまくできず反省しています。
最終的に早く集会室に戻って来た他の子供たちとにゃん太郎を見に行くことで、時間も潰せて本人も楽しそうにしてくれました。
提案してくださった学芸員さん、本当にありがとうございました。

はくぶかん・たんけん隊は、子供たちの体力や集中力、性格の個性をある程度考慮して個別に対応しつつみんなが面白いと思えるようなお話をする、というよく考えるとかなり難しいイベントでした。
しかし、学芸員さんだけでなく友の会のボランティアスタッフの方々という頼もしい協力者がいらっしゃるため、特に大きなトラブルもなく子供たちも満足してイベントは終了しました。
大阪市立自然史博物館がいかに普及教育活動に力を入れて取り組んでいるかがよく分かるイベントでした。
個人の反省としては、今後はシャイな小学生の女の子とも打ち解けられるようなおしゃべりスキルを身に着けたいです。

2022年01月13日

2022年度博物館実習 5日目

初めまして。
冬期博物館実習5日目担当、千葉科学大学のMAです。
この日も4日目同様に3人ずつの班に分かれて実習を行いました。私の班はT先生が担当してくださいました。
午前は1人ずつ自己紹介をした後に、収蔵庫での化石整理を行いました。自己紹介は5日目にして初めて行った為、妙に緊張しました。しかし、同じ班の人達の事を知れ、話の話題が広がったため、1番実習に取り組みやすかったのではないかと感じました。
化石整理では、魚の化石や貝の化石に触れることが出来ました。私の班は前日に植物標本について学習しましたが、植物と化石の保管方法の違いについて理解することが出来ました。植物では、種ごとに管理していますが、化石では受け入れ順に保管していることが分かりました。また、棚に保管する際には化石番号の若い順に上から入れているそうです。化石では、合理的に行えるように受け入れた順に番号を付け、管理することでもう1度探し出したいときに探せるようにしているそうです。
午後は整理した化石の情報をPCに落とし込む作業を行いました。化石の情報を入力する際には、ただ入力するだけではなく、情報に誤りがないか化石とラベルをよく見比べながら入力しなければいけないそうです。しかし、展示されている化石以外を見たのは初めてだったため、見比べるのが難しいと感じました。
 今日の実習では、「成る程」と感じることが多く、貴重な体験をすることが出来ました。

2021年度博物館実習 4日目 グループに分かれての活動

こんにちは。奈良女子大学のU.Yです。
この日は3つのグループに分かれて活動を行いました。私が所属した I 学芸員のグループではカタツムリの標本整理を行いました。今回扱った標本は元々、コレクターの方々が集めていたものでした。博物館ではこのように、コレクターの方からコレクションを頂いて展示・保管することがあります。譲り受けたコレクションは古い物も多いので、今回の標本整理では劣化したガラス容器からプラスチックの標本箱に移し替える作業を行いました。一見ガラス容器の方が見やすく保存に便利かと思われますが、劣化するとガラスの成分が標本に影響し、容器壁面にくっついてしまうといった現象が起こります。これでは標本の保存に向かないので、プラスチック製の容器にガラス板をはめ込んだ蓋がついた標本箱に移し変えました。標本は大きさも様々、形も色も様々で、普段ならガラス越しでしか見られない本物の標本を手にとってよく見ることができた貴重な機会でした。また標本の扱い方や保存の仕方の難しさを体感できました。この日の主な活動は標本整理でしたが、今回は特別に設備の説明会にも参加させていただきました。大阪市立自然史博物館では講堂の改修工事を行っており、講堂が少しリニューアルしました。学芸員であるとはいえ、展示する資料のみに気を配るのではなく、設備のこともよく理解しておかねば展示や保管が上手くいかないようです。設計段階からよく見ておかないと、メンテナンスのためにショーケースを開きたいのにケースの配置が悪くて開けなかったり、電球の替えがやりにくかったり、後々に問題が発生してしまいます。また照明は資料を保管するのにも展示するのにも重要な役割を担うので、照明にも気を配る必要があるそうです。
この実習がなければ知らなかったことや気づけなかったことが本当にたくさんあるので貴重な体験になりました。また、来館者として大阪市立自然史博物館に訪れることがあれば、いつもとは違う視点で展示物や建物、そして学芸員さんのことを見ることができるなと感じました。

2022年01月12日

2021年度実習4日目(2022.01.12)

こんにちは!
冬期博物館実習4日目担当の同志社女子大学のT.Yです。
4日目からは1班3人ずつに分かれて実習を行いました。私の班はI先生が担当していただきました。
午前中は動物の骨格標本や地盤調査で掘り出されたボーリングコアなどが収蔵されている、一般収蔵庫の掃除を行いました。この掃除は雑用!ではなく、きちんと目的があります。その目的とは、「資料にとって天敵の虫が発生していないか調査すること」です。1列を掃除するたびにゴミとにらめっこして、虫が紛れていないか調査しました。その結果、動物の骨や肉を食べるルリホシカムシ、紙を食べるシミの仲間、第1展示室の最初に大きな模型がある「G」の幼虫、アシナガグモが発見されました。
加えて、収蔵庫にとっては新種となる虫が発見されました。正確には「されてしまいました」のほうがいいかもしれません。その新種とは「カツオブシムシ」です。この虫はタンパク質であれば何でも食べるそうで、当博物館ではラスボス的な存在です。(個人的な意見です。)今回は一般収蔵庫でしたが、もし多くの標本を扱う収蔵庫であれば、、、と思うとゾッとしました。なぜなら、貴重な資料にとって非常に危険な保存環境になるからです。普段している掃除も博物館にとっては、後世に資料を受け継ぐために大変重要であることを再認識することができました。
掃除後はボーリングコアの解説をしていただきました。建物を建設する際に行われる地盤調査の一般的なものとタモリさんがブラブラするあの番組でしか見たことない研究用のものの2種類を見せていただきました。また、一般的な標本に付属しているボーリング柱状図の見方も教えて頂きました。1番印象的なお話は、1995年に起きた兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)をきっかけに都市部の平野部でボーリング調査が行われるようになったことです。研究目的以外に都市部を次の災害から守るためにも調査が活用されていることを知り、新たな博物館の役割を知ることができました。
午後はボーリング調査の紙ベースのボーリング柱状図・データを専用ソフトを使用してのデジタル化作業しました。最初はデータ入力方法の説明をいただきながら全員同じデータの作業を行いました。その後、各自違う実際のデータのデジタル化作業をしました。ソフトは初心者でも扱いやすく、とても便利性が高いものだと感じました。データを共有することで学術発展や防災対策にも役立てられるので重要性が高い必要な作業です。ところが膨大な量があるので、学芸員さんの負担の多さが感じられました。
最後に、、、最初の方に書いた虫の「G」については実際に足を運んで確認してみてくださいね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以上、4日目の日誌でした!

2022年01月11日

2021年度博物館実習 1月10日

こんにちは。奈良女子大学のM.Mです。
実習3日目の本日は、「はくぶつかん・たんけん隊」のサポートをさせていただきました。「はくぶつかん・たんけん隊」は小中学生向けのバックヤードツアーです。標本資料を収蔵している収蔵庫や学芸員の方が研究を行っている研究室など、普段見ることができない博物館の裏側を見ることができるイベントとなっています。
私は、午前は低学年の子のグループに、午後は中学年の子のグループに同行して回りました。実習生の仕事は、最も重要なのが体調を崩した子を無事に途中離脱させることで、他には収蔵庫の重いドアを開けること、タイムキーパーなどがあります。私はタイムキーパーを担当していました。本日は途中で体調を崩した子もおらず、大きなトラブルもなくとても順調にツアーを終えることができました。
本日のツアーに参加して、子どもとは大人が思っている以上にタフな存在なのだと痛感しました。大人でもしんどいと感じる2時間近い道のりを元気いっぱいに歩き続け、薬品の匂いがきつい(個人的にはナフタレンもホルマリンも割と好きな匂いなのですが)収蔵庫にも、例年気持ち悪いといって途中離脱者が出るらしい液浸標本にも興味津々でした。
最初は大人しかった子も、ツアーが進むにつれて積極的に学芸員の方に質問をしていました。見るもの全てが新鮮で興味深いといった様子で、タイムキーパーとして時間の終わりを告げるのを心苦しく感じるくらいでした。今日がきっかけで研究の道に進む子が出るかもしれない、誰かの人生が変わるような瞬間に立ち会っていたのかもしれないと思うと、なんだか誇らしいような責任重大なような不思議な気持ちになりました。もっとも、私自身はいち実習生なので大したことは何もできていないのですが。
また、私は2回ツアーを回ったのですが、どちらの回の学芸員の方も解説が分かりやすく、また時間のかけどころなどにそれぞれの方の個性のようなものが感じられて面白かったです。スタッフ側として参加した身ではありますが、小学生の子たちと一緒に楽しく聞き入ってしまいました。
「小学生にも分かるように解説する」と一言で言ってしまうのは簡単です。しかし、分かりやすい言葉選び、子どもを惹きつける話し方など、実際のところはかなり高度な技術を要するものだと思います。教育普及に力を入れた博物館であることは初日のオリエンテーションで聞いていましたが、本日はそれを実際に体感することができました。

2022年01月09日

2022年度博物館実習  1/9(日)

こんばんは。京都先端科学大学のR.Tです。
本日は、標本処理の実習をさせていただきました。
作業内容としては、トラの骨についた汚れや筋の除去で、たまたま今年の干支にちなんだ動物に携わることができました。骨を壊さない、なくさない、混ぜない。一見子供への注意と思うようなことも、実際に行ってみて、その大切さが身に沁みました。
また、標本台帳や標本受入票といった、いつその動物たちを採ってきたのかやその状況を記録してある記録簿を見せていただきました。その中で興味深いなと思った話は、記録を紙媒体で行っているという事でした。大学の授業でも教わりましたが、パソコンなどに記録する方が早いですし、場所も取らなさそうな気もしますが、100年単位で記録を残すことを考えるならば紙の方が持ちますし、手書きでの記載はその人が携わって記録をとったという証明にもなります。かつての日本の様子が分かるのも、それを記したものが現在も残っていることが大きいです。そう考えると、博物館というものの存在意義の大きさに改めて気づかされます。普及教育とは言い得て妙だなと思いました。
メスの取り扱いや椅子に長時間座ってなど、これを日々こなしている学芸員さんの凄さに今日は気づかされる一日になりました。自分は不器用なので、なかなか効率よく進みませんでしたが、実際に自分が関わった骨が並べられているのは壮観で、それを見ただけでも、達成感を感じられ、これが学芸員をして行く事のモチベーションの一つなのだろうなと、虎の骨を眺めながら思いました。

2022年01月08日

2021年度博物館実習 1/8

こんにちは、北海道大学のSKと申します。
よろしくお願いいたします。

本日は冬期の博物館実習の初日ということで、W先生のオリエンテーションからスタートしました。
大阪市立自然史博物館の沿革、施設や事業についての説明を受けながら、あんなことやこんなことまで色々なお話をしてくださいました。お金がない・収蔵庫の空きがない・なんか管轄とか所属のアレでアレがある、というのはどこの博物館でも共通しているようです。大学の授業でも様々な博物館を見学をさせていただきましたが、どこもこの3点に関するお話はされていたような気がします。

本日の実習では館内をまわりながらの説明も受けたのですが、特に印象的だったのは
「触れる展示は減る」
「メンテナンスの視点で見ると割と欠陥が多い」
という2点でした。

実際に触れることのできる黒水晶の展示は、展示された当初よりなんかゴツゴツがちょっと減ってるそうです。岩石をもいだ方が過去にいらっしゃるのでしょうか…(絶対にマネしないでください)。視覚や聴覚のみならず触覚で体感できる展示というのは魅力的で面白い一方、このような問題点もあるようです。

また、普通は展示ケースの中の展示物に目が行きがちですが、少し視線を上や横にずらして見ると、展示ケースの構造上の問題や、メンテナンスの際の問題が色々と見つかることがわかりました。テープみたいなものが貼られていたり、DIYの痕跡のようなものがあったりする部分は、そのような問題を改善しようとした学芸員の皆様の工夫が感じられるものでした。当然展示物は壊れやすかったり、取り扱いが難しいものが多いので、そのような部分の清掃やメンテナンスも学芸員の仕事の一つです。

博物館に何度も来られている方は、そういった場所を気にしながら、「ここの蛍光灯切れたらどうするんやろ?」「この展示物掃除とか大変そうやな」とか考えながら館内を見て回ると、新しい博物館の楽しみ方ができるかもしれません。

以上です。