« 2019年11月 | メイン | 2020年02月 »

2020年01月31日

2019年度 博物館実習 冬季一般コース 5日目

博物館実習最終日の5日目、私たちの班は砂の標本を扱わせていただきました。

まずはじめに標本をリストの上から順に探し、蓋と中のラベルに同じコードを書いていきました。蓋にはマジックで記入するのですが、硬いもので擦れると消えていってしまうのが難点で、何か文字を保護するものがあればこれを防げるのではないかと感じました。
砂は世界中のでどこにでもあるようなものなので、集めようと思えばいくらでも集まってしまうと学芸員の中条先生はおっしゃっていました。やはり博物館の収蔵庫にも限りがあるので、これから増えていった時にどのように管理していくのか問題点であると思いました。
また、同じ敷地内の違う場所から採取した標本や違う人が同じ場所から採取した標本もあり、取り違えないようにするのが大変に感じました。
砂は一箱にいくつも入っていれば当然重くなり、棚からの上げ下ろしは比較的小柄な私には重労働でした。
しかし、標本それぞれに特徴があり、黒っぽいものや白っぽいものなど見ているといろんな場所に旅をさせていただいている気分にもなることができたように思います。私自身もカナダのプリンスエドワード島に行った際、靴紐が赤く染まってしまうほどの赤土だったことを思い出しました。今回のように、一度にこんなにもたくさんの砂を見ることができ、普通に生活しているだけでは到底経験できないであろうことをさせていただきました。今後旅行先で砂に目を向けるきっかけになったように思います。

5日間という短い期間でしたが、学芸員さん達のおかげで濃厚な5日間になったことには感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

京都先端科学大学 C.F

2019年度 博物館実習5日目

 1月17日(金)、博物館実習最終日です。この日、私たちの班は佐久間先生の指導のもと、資料の整理を行いました。
 対象となる資料はキノコのスケッチです。菌類学者の本郷次雄氏によって作成されたこれらのスケッチは、挿絵として図鑑にも掲載されており、図鑑の情報が正しいかどうかを確認するために用いられています。このスケッチを保存・データベース化・スキャンすることが主な実習内容です。
 保存の作業では、複数枚で1か所にまとめられていたスケッチを1枚ずつ封筒に入れていきました。中性紙の封筒に個別で入れることで紙の酸化や水彩の劣化を防ぐことが目的です。同時に、学名や採取した日時など、スケッチに記載されていた情報も封筒に書いていきました。何を描いたスケッチであるのかをわかりやすくするためです。
 保存が終われば、次はデータベース化の作業です。ここではスケッチに記載された情報をコンピュータに打ち込んでいきました。先に挙げた、学名や採取の日付はもちろん、通し番号や採取場所についても記録していきます。図鑑に掲載されている場合には、備考に図鑑のタイトルも記載しました。
 データベース化に前後して行われたのはスキャンの作業です。デジタル資料としてスケッチを保存していきました。そして、スキャンの際には目盛りと色見本が記載された小さな用紙を隣に設置しました。閲覧する媒体や出力の設定が変わっても、資料の実寸と本来の色味をわかるようにするためです。なお、実習の終わりには、班のメンバー全員それぞれ1枚ずつ、自分がスキャンしたスケッチのコピーをいただきました。
 最終日の実習を通して私が実感したのは、あらゆる資料はすべて保存・記録されなければならないということです。これは、博物館実習生であるなら何を今さらと思うような当たり前の知識です。ですが、資料が持つ意義を知って、実際にその資料を扱うことで、その知識を心で理解することができました。だからこそ、ただの作業ではなく、意味を見出して実習を進めることができました。

和歌山大学 I・F

2019年度 博物館実習1日目

 博物館実習全五日間の初日が始まりました。ワクワク感とちょっぴりの緊張感、そして朝の気怠さとともにいざ中へ。実習室に入ると目に飛び込んできたのは綺麗に陳列された何らかの鳥の亡骸でした。「実習初日から鳥の解剖をするのか、自然史系博物館他とは違うぜ。」と、感じたとともに「大丈夫かな、カエルの解剖しかやったことないし、いきなり両生類から鳥類へのジャンプアップ耐えられるかな」と何度も鳥類と目が合うたびに思った。さらに教官と思われるおじ様が黙々と作業をされていて、無骨な職人感オーラを漂わせていたりしたことも不安を煽った。
 
 ただ、予想とは反し、不安は杞憂に終わった。オリエンテーションが始まるとそのおじ様であるW殿は持ち前のコミュニケーション能力を活かし、博物館のことを楽しく分かりやすく話してくれた。これはもう退屈な話の代表格である校長先生の話がW殿にかかれば面白くなるであろうと思ったほどすごかった。いや~すごかった。話の中でコミュニケーションの事について話されていたが、そのことを裏付けるには十分な会話スキルだったと思う。そのまま時が流れ話が終わった。そしてついに鳥の亡骸には一切触れなかった。

 つづいては通常展示のを案内してくれた。平日であったが親子連れが多く訪れ、熱心に観察をされていた。こどもかわいい。ここでは、お客様目線ではなく、学芸員目線での見方で説明をしてくださった。いつも野外実習での博物館見学はお客様目線での解説だったので新鮮だった。先代の学芸員共々に容赦なくスパッと言い切ってくださったので、こちらとしてはとても参考になった。これから博物館を訪れた際にも学芸員目線で見てみようと思う。そして勇気があれば、ご意見箱にストレートで投函したいなと考えてもいる。その後は実習室でO殿による翌日の博物館たんけん隊サポートの研修があり、その日を終えた。明日はこども達に会えるので楽しみである。

 1日を通して楽しみながら実習を行えたと思う。筆者は自然史系を専攻している訳ではないし、ましては歴史系統を選考しているわけではないという畑違いにも程があるほど博物館とは関係のない分野を専攻している。それじゃあなんで来たんやということになるとは思うが.......。ただ、そんな私でも受け入れてくださった大阪市立自然史博物館さんには感謝しかありません。自然は好きですし、1日目は楽しくできました。あと、これで単位ももらえるしね。真面目な話、W殿の話のなかには日常生活、これからの社会人生活で生きていくときにためになる話が多くあった。コミュニケーション能力然り、管轄違いでの植物園との関係だったり。明日からも実習はつづいていくので、ON/OFFをしっかりし、楽しく大真面目に実習に望んできたいと思います。明日からもがんばるぞぉー。

P.S. 長居公園には猫がたくさんいた。天国。猫かわいい。

P.S. ブログとのことだったのでこんな感じになってしまったのですが、
   もっと真面目に書きなさい、これではダメとのことであれば
   お手数ですが、ご一報ください。ご確認のほどよろしくお願いいたします。

2020年01月28日

2019年度博物館実習2日目

博物館実習2日目は、終日「博物館たんけん隊」のサポートを行いました。
ベテランのボランティアガイドの方々がサポートスタッフを務めていらっしゃるそうで、サポートのサポートといった様子でした。小学生の子供達と一緒に、学芸員の方の引率・解説のもとで、一般収蔵庫、特別収蔵庫、液浸収蔵庫、化石処理室や暗室などの研究用施設を回りました。

私は午前は小学校低学年、午後は高学年の班の担当になりました。事前に班内でドア開け係やタイムキーパーなど係を決め、それに従って動きました。私はドア開け係でした。ドアを開けて全員通るのを待っていると必然的に最後尾になるため、次のドアを開けるまでに先頭に行くのが大変でした。

低学年の子供達は、歩きながら自分が持っている知識をたくさん披露してくれました。とにかく好奇心が旺盛で、暗室のレントゲン装置に入りたがる子もいました。しかし、「この装置に入って光を浴びると、入った人が死ぬ」という説明を聞いてからは、なぜ死ぬのかということに興味が移ったようです。

高学年の子供達は学芸員の方の解説を落ち着いて聞いていました。知識量が豊かで洞察力があり、学芸員の方が出したクイズにもかなりの精度で答えていました。歩いているときには、何人かの子供達が自分の飼っている動物の話をしてくれました。

低学年、高学年ともに、「鳥をむく部屋」(鳥の標本作成見学)というワードに対する食いつきが見られました。案外気持ち悪がる様子はなく、鳥の死因や種類についての質問が飛び交いました。野生の鳥がむかれているのは私も初めて見ましたが、赤みが多いのが印象的でした。中には自宅で飼っていた鳥を博物館に寄贈した子もいて、その鳥が今どうなっているか質問がありました。ペットの鳥は大事にされている分、標本にするときに気合がいるそうです。そのため、気合が十分出せるときに作業を行うようです。

自分が大人になってからは小学生をひとくくりに「小学生」としてとらえていましたが、低学年と高学年では集団内での振る舞いや興味のポイントなど、結構な差異があるのだと思いました。学芸員の方々が面白い語り口や要所での誉め言葉など、何か子供を引き付ける技を持っていらっしゃることにも気づきました。博物館の学校連携などで多くの子供達と接するにあたって、年齢ごとの発達段階を意識しておく必要を感じました。

同志社女子大学 M.S

2020年01月19日

2019年度 博物館実習 冬期一般コース 5日目

 博物館実習の最終日である5日目、私たちの班は主に動物の標本を扱いました。
 まず最初に、標本の管理について学芸員の方に説明していただきました。大阪市立自然史博物館では、管理の際に標本受入票と標本台帳と呼ばれる2種類のノートを使用します。標本受入票には、標本を寄贈してくださった方とのやりとり(メール本文やSNSチャットの会話などまで!)が印刷され記録されており、非常に驚きました。標本はそれが採集された場所や日時が分からなければ価値を失ってしまうので、些細な情報でも残しておくことが重要であると感じました。また標本台帳や標本ラベルは、経年劣化しにくい紙やインクを使用しており、長期的に保存するために様々な工夫がされていると感じました。
 次に、骨格標本の作製過程の1つである、骨の水洗い作業を行いました。ヒツジ、キリンの子供、ニホンジカの骨を、前足・後ろ足・肋骨・背骨といったパーツ毎に班員で分担し、歯ブラシを用いて汚れを洗い流しました。大きさが小指の先ほどしかない小さな骨や形が複雑な骨がたくさんあり、それらを壊さないように慎重に洗浄作業を進めました。普段生活している中で、動物の骨を見たり触ったりする機会はほとんどないため、骨の手触りや重さ、形などをじっくり楽しみました。またバラバラになっている骨が本来どのように並んでいるのか、実際に組み立てながら説明していただきました。同じ種類の動物でも、年齢によって骨の特徴が異なるというお話が興味深かったです。
 最後に砂場や、冷凍庫、収蔵庫などの案内をしていただきました。砂場は、哺乳類の骨格標本をつくる際に使用されており、骨の周りについている肉を微生物や昆虫などに分解してもらう場所です。冷凍庫には、標本にされる前の動物が保管されており、独特のにおいがしました。収蔵庫では、主に哺乳類、鳥類の標本について説明していただきました。
 今回の実習を通して、博物館のバックヤードに関する様々なことを体験でき、非常に貴重な経験になりました。5日間、ありがとうございました。

奈良女子大学 O.S

2020年01月18日

2019年度 博物館実習2日目 実施報告

みなさんこんにちは。
博物館実習生の大阪大学のH.K.です。
実習2日目(1月13日)、自然史博物館では小中学生を対象としたバックヤードツアー「はくぶつかんたんけん隊」が実施されました。このツアーでは普段は立ち入ることのできない収蔵庫の中を回ったり、鳥の標本の作成現場を見学できたりなど、博物館好きにはたまらないものとなっていました(私も内心、テンション高めでした…)!ただ、私たちは実習生なので役目が与えられています。それは補助スタッフの方々とともに、列の先頭で説明をされる学芸員さんのサポートをすることです。詳しく述べると…
①タイムキーパー
多くの班が分単位で決められたスケジュールをこなせるように時間の経過を学芸員さんに伝えます。
②扉の開閉
収蔵庫の重いドアやエレベーターのドアを開け閉めして、時間ロスがないようにします。
③顔色チェック←大事!
収蔵庫は薬品などの臭いが強いので、気分が悪くなった方がいないかどうかのチェックをします。特に、小学生だとなかなか自分から言い出せない子もいるので、顔色をしっかり窺います。
しかし、これらについては、どれも何年もやられている補助スタッフの方々が慣れておられるので、その方々の指示も受けながら活動しました!

午前中は小学生高学年のグループに付いて回りました。カメラやスマホでたくさん写真を撮ったり、紙にいっぱいメモをしたりするなど、子供たちの好奇心の強さに驚かされました。あと、今まさに標本になろうとしている鳥の名前をすぐに当てていたのも印象的でした(まあ、好きな子が集まっているので、朝飯前なのかもしれませんが…)。

午後からは保護者の方々のグループの補助を行いました。保護者に対しては、まず館長から自然史博物館の説明がなされたのち、収蔵庫のみを巡るショートツアーが実施されました。大人ということで、「資料を売ることはあるのか」「資料を寄贈したら受け取ってもらえるのか」など子供とは異なる視点からの質問も多く飛んでいました!

ここまでが当日の内容となっています。ここからは私の感想を述べていきたいと思います。
まず、小学生に対して、将来に使える知識が多く話されていました。例えば、新種登録の方法や標本になる前の動物の死体の捕まえ方など…。その中でも、特に私の印象に残ったのが英語を学ぶことの重要性です。研究のために専門書を読むにも、海外の研究者とやり取りするにも、新種論文を書くにも、この世界では英語が必要になります。その大切さが何度も説かれており、小学生もそれを感じ取ったのではないでしょうか。
次に、バックヤードツアーを行うことの意義についてです。一般来館者にとって、博物館とは展示を見て様々なことを学ぶ場だと思います。これらは博物館の役割に含まれますが、それらが全てではありません。資料を適切に処理して研究や展示に利用できる形にしたり、資料を後世に保存・保管したりすることも博物館の重要な役割です。ただ、これは館の裏側で行われていることが多いので、一般来館者が見ることができません。しかし、今回のツアーではその裏側部分を見ることができました。一般来館者にも博物館が担う役割の多くを効果的に知ってもらうことができた良い機会だったなと思いました!
最後に、私にとっても貴重な経験になったと思っています。私は文学部に所属していて、大学の博物館学の講義や学内での実習も、考古資料や絵画など文化系のものを扱うことがほとんどでした。ですが、今回での実習では、多くの標本を見学し、化石や昆虫に関しては実際に標本に触れる機会にも恵まれました。これは自然史博物館での実習でなければ経験することがなかったことです。また、別の日の実習のことにはなりますが、寄贈資料の整理でスケッチを1点ずつ封筒に入れる作業をした日がありました。理科系の博物館では標本を扱うと単純に考えていた私にとっては、文科系で行うような作業もすることが意外に感じられました。このように、大学4年間で文科系と理科系の両方の経験を積むことができ、自分の中の引き出しが1つ増えたような気がします。

.以上、1月13日の実習内容の報告を終わります。長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!

2020年01月17日

2019年度博物館実習4日目

博物館実習4日目は、カタツムリの殻の標本整理を行いました。
標本の数が膨大であったため、実習生6人と学芸員の方で一日中作業してやっと終了しました。

作業内容は、亡くなられた個人コレクターの方のカタツムリコレクションを、ラベルを見て外国産と日本産に分け、最後にコンテナに入れていくというものでした。コレクションを格納していたケースごと博物館で引き取ったらしく、そのケースの中にある標本を採集地別に分けていくのですが、コレクターの方が完璧に採集地別、そして種別に分けており、私たち実習生は確認作業だけで十分でした。
このコレクターの方の標本管理は、標本ド素人の文系学生の私から見ても素晴らしく、標本への情熱と愛情がビンビン伝わってくるようでした。標本の作り方は美しく、小さい種でもきちんと個別に分けているものが多い印象でした。標本のラベルには、採集地、採集日時、学名という必要な情報は漏れなく記載されており、さらに「岩の陰で採集」など採集状況まで書いているものもたくさんありました。
実は、実習3日目にコケと果実の標本の登録作業を行った時に、
標本のラベルに情報の記載漏れが多く(というかラベルさえないものありました…)、それが原因で作業が難航した経験があり、私たちの班の実習生はカタツムリ標本の完全なラベルに感動しました…! 整理の作業がはかどって仕方がありませんでした。
この経験から、ラベルは標本にとって不可欠で、ラベルさえあれば専門外の人間でもある程度は扱えるのだと体感しました。

先ほども少し述べましたが、私は文系学生で自然科学の知識は高校止まりです。生き物も好きですが、詳しくはありません。しかし、このカタツムリの標本の整理作業を一日中やっていくと、カタツムリの生息地による相違点や、形状の特徴がおぼろげに掴めてきました。多数の標本に接すると、自ずと比較ができました。そして、整理作業の中で、標本が採集地や種で細密に分けて管理されていたのを直に見て、私にとっては全部「カタツムリ」にしか見えないけれども、このコレクターの方にとっては様々な違いが見えて分類できるものだったんだと実感しました。分かる・詳しいということは分類できるということです。
研究において、「数多く見ること」と「分類」という作業は重要なんだなと再認識しました。私の専攻している美術史でも、作品を数多く見ること、表現方法の分類(画材や画法、時代や地域など)が非常に重視されています。おそらくどの分野でも同じでしょう。
作業が終了した後は学芸員の方への質問の時間があり、標本収集の目的や方法、学芸員の仕事、そしてカタツムリのからだの仕組みまで豊富な内容をお聞きしました。
最後に特別に液浸収蔵庫の見学をさせていただきました。多毛類を研究している実習生の仲間に付いていったのですが、多毛類を始め、オオグソクムシやウミグモなどの標本も、自分で手に取って間近で見ることができました。普段は美術館での実習が多く、そこでは収蔵品を自由に見ることは基本的にできないので、収蔵庫を一人で歩いて標本を手に取るというのは大きなカルチャーショックでした。

以上が私の4日目の実習内容です。
美術史研究室のメンバーに、この実習での体験を言い広めたい、というか自慢したいです!
( O大学M.H.)

2019年度 博物館実習 冬季一般コース 5日目

博物館実習5日目、最終日でした。本日も昨日までと同じく、4班に分かれての作業となりました。私たちの班は、昆虫標本を扱いました。始めに、収蔵庫へ出向き昆虫標本が収蔵されているエリアを見学させていただきました。チョウやガ、カマキリなど、様々な昆虫の標本を拝見しましたが、そのなかでもテナガコガネが特に印象に残っています。テナガコガネは、私の知るコガネムシとはサイズがまったくの別物でした。あまりの大きさにカブトムシかと思ったくらいです。
収蔵庫の見学後は、標本の整理作業をお手伝いさせていただきました。収集家の方から寄贈されたハチの標本にラベルを追加し、白箱に並べていきました。今回付けたラベルは、博物館の台帳のデータと標本の照合を可能にするためのものです。こうしたラベルを標本に付属させることで、標本の検索をより簡単に行えるようになります。
お昼休憩をはさみ、次の作業に移りました。午後の最初の作業は、写真展示の準備でした。写真とは、博物館友の会の方が撮影された植物や昆虫などの写真です。これらの写真は近々開催される友の会総会で展示されます。準備作業はいくつかの担当に分かれましたが、私は写真を黒色の台紙に貼り付ける作業をしました。
その後は、午前中の作業の続きを行いました。最終的に、収蔵庫から出してあった分の整理を時間内に終えることができて達成感を得ていましたが、実はまだ収蔵庫に今日整理した分の5倍ほど残っていることを聞かされ、まだまだ先は長いことを知りました。
この度の実習では、学芸員の皆様をはじめとして、スタッフの皆様、友の会の方々など多くの方のお世話になりました。様々なことを学ばせていただき、感謝申し上げます。こちらでの経験を今後に幅広く活かしてまいりたいと思います。本当にありがとうございました。

大阪大学 I・Y

2019年度 博物館実習 冬季一般コース 4日目

博物館実習4日目は昨日に引き続き4班に分かれて実習を行いました。私たちの班は、植物標本を扱う作業でした。

午前中はまず、特別収蔵庫で実際に収蔵されている植物の標本見ながら標本が配架されるまでの流れ等を説明して頂きました。大阪市立自然史博物館では30万点ほどある植物標本のうち10万点ほどはナンバリングとデータベース化が済んでいるのですが、ナンバリングがまだのものやナンバリングは済んでいるがデータベース化がまだのものも多くあるそうです。そこで私たちの班は、未ナンバリング標本の仕分けや、種子・果実標本のデータベース登録などの標本の整理作業行いました。私は植物標本の台紙に、アラビアゴムの粉末を溶いてできた糊を用いて再同定されたラベルなどを台紙に貼る、という作業を担当しました。普通の糊だと数年で剥がれてしまうところがこの糊を用いることでラベルなどが剥がれずに保存できる期間がとても伸びるそうです。刷毛を用いて塗っていくのですが、普通の糊の量では接着が上手くいかず初めは少し苦労しました。担当者の方に教えて頂き最終的にはしっかり接着することができホッとしました。

午後からは、特別収蔵庫で種子・果実標本の配架作業を行いました。ラベルに書かれた情報を基に分類し箱へ入れていくのですが、もし間違った箱に入れてしまうと二度と見つかることはないだろうとのことでした。そういった緊張感もありつつ、実際の標本を手に取りながらの配架作業は大変貴重で楽しみながら学ぶことができました。

実習も明日で最後の日を迎えますが、最後まで気を抜かずしっかりと学んでいきたいと思います。

滋賀県立大学 S.T

2020年01月16日

2019年度 博物館実習 冬季一般コース 4日目

4日目は、担当の学芸員の先生と共に実習がありました。

午前中の前半は、博物館の一般収蔵庫の掃除をしました。
ただきれいにするだけではなく、収蔵庫内に虫がいないか点検することも兼ねているため、通路を1列掃除するたびゴミをチェックし、虫の死骸があるかどうかチェックします。途中から黒色の小さなゴミも虫に見えてしまい、探すのにとても苦労しました。今回の掃除では、動物の死骸の肉を食べるルリホシカムシの死骸が数匹いたぐらいで、虫の大量発生など問題は見られませんでした。
午前中の後半から午後の前半にかけて、博物館収蔵目録のデータをデジタル化する作業を行いました。午前中は私が、午後からはペアの人がそれぞれパソコンを担当し、パソコンに1つずつ打ち込んでいくのですが、私は種目名のラテン語がうまく打てず、ペアの人に迷惑をかけてしまいました。午後からはペアの人がパソコンの担当で、ラテン語をスラスラを打つ姿を見て勉強不足を感じました。
午後の後半では、実際にデジタル化したデータの元となった貝の化石を見学しました。ほとんどの貝が化石だとは信じられず、スーパーで買ってきた貝の貝殻と並べても見分けがつかないんだろうな、と思うほど保存状態がきれいでした。また、本物の貝を見ることで、この貝たちをデータ化できたんだ、と少し誇らしく思いました。

明日が実習最終日です。明日で終わってしまうと思うと少し寂しいですが、目一杯実習をがんばろうと思います。

京都橘大学 Y.M

2019年度 博物館実習 冬季一般コース 3日目

博物館実習も折り返しとなる3日目の今日からは、各自4つの班に分かれて班ごとに異なる内容の実習となります。私のいた1班では、魚類や両生類を中心とした標本の取り扱いについて学びました。
午前は、ビンにまとめて入っている新しく作られた標本を種ごとや採集地ごとに細かく分けてビン詰めする作業を行いました。実際の標本を扱うのは初めてで緊張もしましたが、慎重に作業を進めることができたと思います。
続いて完成した液浸標本を収蔵庫に配架しました。どの棚に目的の科があるのか、どの位置に目的の種が収められているのか、右も左もわからず、少々あたふたしてしまいましたが、他の班員とも協力しながら収蔵庫を見て回り、楽しみながら収蔵庫について知ることができました。
そして午後からは、エタノール液の補充作業をお手伝いさせていただきました。6人がかりで一生懸命半日かけて作業に取り組みましたが、結果として完了したのはわずか1通路の片側の半分ほど。改めて博物館資料の膨大さ、保管にかかる作業の大変さを実感することとなりました。加えて、一度間違った場所に置いてしまった標本は二度と見付からないという学芸員さんの言葉が現実味をもって感じられ、大事な資料を扱う整理では一瞬たりとも気が抜けないということが理解できました。
今日1日の作業の結果、朝にはたっぷりエタノールが入っていたタンク3つ分がすっかり空となり、大変達成感がありました。
明日以降はまた違った分野の内容となりますが、楽しみながら沢山学んでいきたいと思います。

北海道大学 N.M.

2020年01月15日

2019年度 博物館実習 冬季一般コース 3日目

3日目の今日からは、各班に分かれての実習で、私たちの班は、書庫整理を行いました。
博物館では、標本だけではなく本や雑誌などの図書も貴重な資料の一つとして収蔵しています。自然史博物館には、博物館の発行物との交換や個人、出版社、団体、自治体などからの寄贈によって収集している図書資料が多くあります。こうした図書をデータとして登録し、管理していくことが求められますが、実際はなかなか手が回らないのが現状だということで、書庫には山積みになった本や雑誌などがありました。

今日は、そのような資料を少しでも利用しやすくするために、分野別に並び替える作業を行いました。自然史博物館では、植物、動物、昆虫、地学と共通分野の大きく5つに図書を分類して整理しており、情報センターの利用者が、自由に使えるスペースの本も同様の区分で配置されています。
今日私たちが整理をしたのは第二書庫で、様々なところから寄贈された本などを、ジャンル別に並び替えるためひたすら本を運びました。それなりの重労働で、後半は他の実習生からも「腰が痛い」などの声が上がっていました。明日はみんな筋肉痛かもしれません。

懸命に本を移動させたつもりですが、まだまだ整理しきれないほどの資料があります。そのうえ、今後も図書資料は増加していくでしょう。しかし、博物館内に十分なスペースが無いのも実情です。なかなか整理も追い付かず、これらの図書を、市民の方々が利用できるようになるのはだいぶ先のことになるかもしれません。ですが、そこに向けての一歩として、今日の作業が役に立っていればいいなと思います。

大阪大学 H.M.

2019年度 博物館実習 冬期一般コース 3日目

 博物館実習3日目の今日は4班に分かれて、それぞれ担当してくださる学芸員の方の専門分野について学ぶという内容でした。私の所属する班ではクジラの化石を扱いました。まずはじめに、クジラの化石を収蔵庫へ運ぶ作業を行いました。クジラの化石は骨の一部であっても非常に大きく、膝をうまく使って持ち上げる必要がありました。台車を使用して収蔵庫へ運んだのですが、乗せる時にはできるだけ標本は動かさずに台車の方を乗せやすい位置に持ってくるというような工夫をしていて、危険性の低い動線を考えることがとても重要なのだなと感じました。運んだ後に見せていただいた標本台帳では、すべての標本がきっちりとナンバリングされており、だれが見てもどの標本がどこにあるのか分かるように整理されていました。博物館の標本は人類の財産だという意識があらわれているのだなと感じました。
 また、紙ベースの台帳をPCを使用してデータ化する作業も行いました。私的にはこの時代に紙ベースの台帳が重宝されていることが意外でしたが、複数の媒体で情報を保管しておくことは万が一、PC上のデータが失われてしまったときに役立つのだそうです。標本を後世に引き継ぐには、こういった危機管理も重要になることを実感しました。
 午後からはクジラの頬骨の化石の写真撮影を行いました。化石標本は生物や植物の標本に比べ、色が少ない(ほとんど茶色か黒色)ため、凹凸がしっかり分かるように光の当て具合を調節することが重要だそうです。腹、背、上下左右の計6方向から撮影を行い、その都度光の当て方のコツや編集しやすい背景の作り方を教えていただきました。撮影後にはPCを使って深度合成などの、写真の上手な見せ方を教えていただいたので早速自分の研究でも試してみようと思います。
 今日までの実習で感じたのは学芸員は一研究者であると同時に、市民の皆さんへの普及教育を行う使命や収蔵物を集め後世へ繋いでいく使命などたくさんの役割があり、オールマイティな能力が必要だということです。
 作業や知識は初めてのものがたくさんありますが、自分の研究などに反映できるものが多いので残り2日間もしっかりと学んで自分のスキルアップに繋げたいと思います。

滋賀県立大学 A.S

2019年度 博物館実習 冬季一般コース 3日目

博物館実習3日目は、実習生が4つのグループに分かれて実習を行いました。それぞれのグループ担当の学芸員さんに教わりながら、標本整理や文献整理など様々に作業をしました。

私たちのグループの担当は、植物がご専門の長谷川学芸員でした。コケ資料と果実標本のラベル整理とデータ打ち込みの作業を行いました。このデータの打ち込みは資料の情報を世界中の研究者などに役立ててもらうために非常に重要で、博物館の大事な役割の一つです。昔は、博物館の収蔵の棚が「データベース」だったそうですが、時代に合わせてみんながアクセス可能なデジタルの「データベース」にする必要があります。

みんなで収蔵庫から標本を運び出して、早速作業を開始しました。机いっぱいに並んだ標本はそれぞれ個性的で、数珠の材料になっている木の実など身近なものから名前も聞いたことないマレーシア産のコケなど好奇心をくすぐられました。採集した日時や場所、その植物の学名など重要な情報が書いてあるラベルを見ながら、その採集当時の様子に思いをはせたりなどしました。
このように楽しく作業させていただいていましたが、資料の量は膨大で、作業を進めるにしたがって少し途方に暮れそうになりました。さらに、果実標本にはラベルが無いものもあり、いくつかの標本は泣く泣く廃棄しなければならないものもありました。ようやく作業がひと段落した時は、ほっとしました。

私たちが体験させていただいたのは莫大な資料のうちのほんの一部です。普段体験できない作業を体験させていただいて、学芸員さんの日々の苦労の一部を実感することができました。

北海道大学 K.A

2020年01月13日

2019年度 博物館実習 冬季一般コース 2日目

 博物館実習の2日目となる今日は、博物館で行われた小中学生に向けたイベントである「博物館たんけん隊」のサポートを、1日を通してさせてもらいました。サポートといっても子供たちに何かを説明するというわけではなく、主に参加されている子供たちや保護者の方の誘導や安全確認、体調の確認などを担当したのですが、その中でも驚いたことや自分の中で得られたと思うものが多くありました。

 まず、驚いたのが参加していた子供たちの知識の豊富さ、好奇心の高さでした。私は午後に小学校中学年のグループを担当したのですが、哺乳類の骨の見学の時に、「サイのツノが毛が固まってできている」というような学校では絶対に習わないであろうことを普通に知っている子がいて感心しました。また、鳥を剝いて標本にしているところ、化石をクリーニングしているところなどの目の前で実際に作業が行われるエリアでは、多くの子が面白いと好奇心をあらわにしていたように思います。その好奇心の高さゆえに少し植物の資料を触った子は学芸員の方に注意されていたような出来事もありましたが、今日の「博物館たんけん隊」のイベントは大きなトラブルもなく、子供たちやその保護者の方にも楽しんで帰っていただけたのではないかと思いました。
 
 また、今回のイベントの中で学芸員の方が子供たちや保護者の方に、収蔵庫の中の様々な資料や博物館の施設などを紹介しているところを見て思ったのは、学芸員というのは研究のプロというだけでなく教育者としてもプロである必要がある立場だということです。昨日のオリエンテーションの時にも説明を受けたように、自分の専門分野だけを研究するのではなく、それ以外の分野のことでも市民の人たちに分かりやすく伝えていく必要があるということが実際に今回のイベントを通して分かったような気がします。

 明後日からの博物館実習の3日目以降はおそらく実際に博物館の資料を扱って作業をしていくことになると思いますが、やるからにはすべて吸収する気持ちで頑張っていきたいと思います。

神戸大学 M.Y.

2019年度博物館実習2日目

本日は、「はくぶつかん・たんけん隊」のサポートに参加させていただきました。
学芸員の方だけでなく、サポーターの方の参加もあり、たくさんの方の協力のもと、行えていることを知ることができました。私自身、バックヤードツアーが大好きで、他の博物館や水族館のものを体験したことがありますが、今回は運営者側として参加し、イベントで注意しなくてはならないことなど、難しさを知る機会となりました。分刻みでのスケジュールを作ったり、保護者の方向けにイベントを一部工夫したりと、様々な工夫がなされており、参加者だった私が知らなかった裏側を知ることができました。
参加された方の中には、リピーターの方もいらっしゃいましたし、お友達でご参加いただいた方もいらっしゃいました。博物館と参加された方がつながる場所であると同時に、参加された方同士での新たなつながりを生み出すことのできる場所としての博物館の側面を学びました。

最後になりましたが、ご参加くださいました皆様、貴重な体験をさせていただき、有難うございました。
大阪教育大学T.A

2019年度 博物館実習 冬期一般コース 2日目

実習2日目の今日は、博物館探検隊というイベントのサポートをさせていただきました。博物館探検隊というのは、主に小学生のお子さんとその保護者を対象に収蔵庫や研究室といった普段見ることのない博物館のバックヤードを学芸員の方が案内してくれるツアーです。今日はそのツアーを午前に1回、午後に1回の計2回行いました。私は今回、午前に保護者のB班、午後に小学生のB班(中学年)のツアーにそれぞれ同行させていただきました。
保護者のツアーでは収蔵庫の見学、小学生のツアーではそれに加えて研究室などで実際の資料づくりについての見学も行いました。私たち実習生はそれらのツアーに同行しながら参加者の安全確認や誘導、ドアの開け閉めなどを行いました。
今回の実習では、実際にバックヤードツアーに同行することでお客さんの安全管理について学ぶことができました。あらゆるケースを想定し、その対策を練ることは大切でありながら難しいことなんだなと改めて思わされました。また、学芸員の方々や友の会の方々が少しでもお客さんに楽しんでもらおうと意見を出し合っていく姿がとても印象的でした。

滋賀県立大学 I.K

2019年度 博物館実習〜冬季一般コース〜 1日目

 実習1日目の午前は、学芸員の方から実習や博物館の概要を説明していただきました。現在の博物館の現状や施設ごとの管理局や学芸員の扱いの違いなど、大学の授業では学べないお話をお聞きし、よりリアルな博物館を知ることができました。
 午後はまず、展示室の見学から始まりました。学芸員の方によるユーモアたっぷりの解説付きの展示見学は博物館の1ファンとしても本当に貴重な体験でした。解説の内容としては、主に展示の施工や管理を中心にお話していただき、展示をする側の苦労や考え方の一端に触れることができました。特に興味深かったのは地域による来館者の違いについての話で、学芸員の方は博物学だけでなく「来館者の行動学」に関するプロフェッショナルでもあるという印象を受けました。
 展示見学の後は、明日の実習内容であるバックヤードツアーの引率の研修を行いました。収蔵庫の中を見せていただいたりと非常に魅力的なものだったのですが、ツアーの詳細説明等についてはネタバレせずに次の担当に任せたいと思います。
 実習ならではの学びを多く得ることができた初日であり、これからの4日間が非常に楽しみになりました!
京都大学 K.D.

2020年01月12日

2019年度 博物館実習 冬季一般コース 1日目

今日は実習1日目ということで、まず午前中はこれからの実習に関するオリエンテーションがありました。
博物館で働く学芸員の方だからこそ知っている博物館の裏話や、博物館の歴史や学芸員に必要なスキル等、たくさんのことを教えていただきました。どれも貴重なお話でとても興味深かったし、実習初日から大きな収穫になったと思います。

お昼過ぎからは展示室を案内していただきました。僕は自然史博物館を訪れるのが初めてだったので非常にワクワクしました。巨大な骨格標本や、林を再現したジオラマ等の展示が強く印象に残っています。
ここでも学芸員目線の展示解説をしていただき、博物館の新しい楽しみ方を発見できました。この楽しみ方を他の博物館等に行くときも忘れずにいたいと思いました。

そして午後は13日に行われるイベント「はくぶつかんたんけん隊」の研修がありました。今度は収蔵庫を案内していただき、その膨大な量の標本に圧倒されました。これはイベントに来てくれる子供たちもとてもワクワクするだろうし、より楽しんでもらうためにイベントのサポートを頑張りたいと思いました。

実習初日で少し緊張していたけど、1日目を終えてこれからの実習が非常に楽しみになりました。
明日からもたくさんのことを学んでいきたいです。

神戸大学 T.I

2019年度 博物館実習 冬季一般コース 1日目

 博物館実習の1日目に、私たちは実習全体のガイダンスと大阪市立自然史博物館の活動について説明を受けた後、学芸員の目線で展示室をガイドしていただきました。最後に、明日開催される「博物館たんけん隊」の研修としてバックヤードを案内していただきました。
 大阪市立自然史博物館は、収集・保存・調査研究・普及教育 の4つの活動のうち、普及教育に特に重点をおいた活動をしています。博物館や友の会が開催するイベントが年間200回以上も開催され、時には1日に2, 3個のイベントがあると聞いて、運営する学芸員の方々の努力はもちろん、参加する市民の方々の活発さにも驚きました。明日のイベントにも、子どもだけで100人以上が参加するので、そのときに何に心惹かれて参加しているのか観察したいと思います。
 博物館の収集・保存・調査研究 といった活動は不可欠なものですが、お金も、スペースも、人手も足りないといった多くの困難を伴うことをお話していただきました。特に、コレクターから大量に寄贈される標本の問題について、「コレクターが元気なうちに寄贈して博物館で整理してくれれば、コレクター本人も、その家族も、博物館もみんな嬉しい。」とおっしゃっていたことが印象的でした。集めた本人にも、社会にとっても貴重な財産である標本の価値を失わせないために、是非多くの方にそうしていただきたいと心から思いました。
 学芸員目線で展示室を視るときのキーワードは「メンテナンス」でした。蛍光灯が切れたときに交換しやすいか、ほこりが積もっても掃除しやすいか、害虫は入ってこないか、といった点が、展示什器に求められている要素なのだと、それらに苦労したお話を聞いて実感しました。また展示の意図は伝わりやすいが壊れやすい、逆に壊れにくいが展示の意図が不明瞭になってしまう、といった例の説明から、長い時間にわたって十分な効果を上げ続けるには、完成図だけではなく、その後の維持作業のしやすさを考える必要があると学びました。
 バックヤードでは主に3つの収蔵庫を案内していただきました。思っていた以上に通路が狭く、棚には標本がびっしりと置いてありました。子どもたちと標本の安全に気を配り、イベントを無事に終えられるよう、明日はサポートに努めます。

北海道大学 M. T.