設立趣旨書

設立趣旨書

 大阪のような都市域においては、周囲の自然が失われ、身近な生物が次々と姿を消していく中で、地球規模での環境問題とともに、人々の「自然体験の欠如」や「自然離れ」が問題となっている。これらの諸課題の解決には、自然史資料に根ざした網羅的で厳密な知識・情報の拠点としての自然史系博物館に大きな期待が寄せられている。また、博物館は、生涯学習時代の本格的到来の中で、「ますます多様化し、高度化する人々の学習活動に適確に対応し、生涯学習を進行するための重要な社会教育施設」(社会教育審議会、1990)と位置づけられ、今後、多面的な社会的要請に応えていくことが市民、研究者、学校教育、行政など各界から強く求められている。

 大阪市立自然史博物館は、自然に関する日常的な調査・研究活動、資料収集・保管活動に基づき、展覧事業や普及教育事業、友の会活動など一般市民に対する教育事業を積極的に実施してきた。さらに2001年春に「花と緑と自然の情報センター」が開設されるのを契機に、大阪の地域自然に関する情報発信のセンターとしての機能・生涯学習施設としての機能を拡充しようとしている。

 今後増大するさまざまな需要に応えていくためには、博物館が単独で事業を展開するのではなく、博物館と市民とが強固なパートナーシップを形成し、さまざまな事業を推し進めていくことが重要である。大阪市立自然史博物館では、友の会活動においてすでにこのようなパートナーシップに基づく事業を展開している。「博物館を積極的に利用して自然と親しみ、学習しようとする人々によって構成され、会員相互の親睦を深め、博物館と連携しつつ、自然史科学の発展に寄与すること」を目的として(規約第2条)、1955年の創立以来50年近くにわたって活動を続けている大阪市立自然史博物館友の会は、会員に奉仕する友の会役員と博物館職員である学芸員とが、常に一体となって事業の企画・実行および会の運営に当たってきた。

 21世紀の博物館は、いっそう緊密な市民とのパートナーシップによって事業を推し進めていく必要がある。我々はこのために、そのような経験に立脚し、市民と学芸員とが共同で自然史科学の発展と普及にとり組み、あわせて博物館の各種事業の推進を図ることを目的とした特定非営利活動法人「大阪自然史センター」を設立するものである。

 本センターは、大阪市立自然史博物館友の会をその事業組織として位置づけ、運営に当たっては会の自主性を尊重しつつその発展のために力を尽すとともに、当博物館に係るボランティア事業、ミュージアムサービス事業、および自然史科学に関する出版事業などに取り組む。これらの活動を通じて社会教育・文化施設としての当博物館の振興をはかるとともに、市民の自然に対する関心を高め、自然環境の保全に貢献していくことができると考える。さらに、本センターが特定非営利活動法人となることにより、これまで単なる任意団体に過ぎなかった大阪市立自然史博物館友の会が社会的な信用を高めるとともに、他の事業においても、広範な市民と当博物館が連携するための拠り所が形成されることになり、その意義は大きい。

 自然に関心を抱く市民の皆さんに、法人の社員として共にこれらの事業に参画されますように呼びかけます。

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