生きもの調査で東北支援
「南三陸 勝手に生物相調査隊」(通称:勝手に調査隊)

南三陸町自然環境活用センターとは

宮城県南三陸町には、「南三陸町自然環境活用センター(通称ネイチャーセンター)」という、海洋生物に親しむための教育研究施設がありました。展示施設はありませんが、地域の自然観察行事から研究者の受け入れまで、さまざまな活動を行っていました。大学の臨海実験所に匹敵する専門性の高い研究と、実践的な環境教育の場として機能するこのような施設を町立で保持している例は、全国的に見ても非常に珍しいものでした。

画像:高田みちよさん撮影「ミズアオイ花」

東日本大震災でこの建物は津波に流され、その一切が失われました。その中にはもちろん、自然を学び、研究する上で欠かせない約800点の収蔵標本や資料なども含まれていました。

幸い、スタッフは全員が無事でした。町職員として復興作業に追われながらも、全国の関係者・研究者の協力のもと、震災の翌年にはセンターを支える有志が集うシンポジウムを行い、夏には海の生物相調査を開始。平成25年4月には「ネイチャーセンター準備室」というプレハブ施設を設置し、任期付職員も採用。南三陸の自然を伝える証拠として、海藻や海洋生物を中心に調査や標本採集を進めながら、平成27年度の復活を目ざしています。

画像:太齋彰浩さん撮影「ネイチャーセンター準備室」

平成24年から、大阪自然史センターのスタッフの呼びかけにより『南三陸勝手に生物調査隊』と名づけた有志の活動がはじまりました。失われた南三陸の標本コレクションの再構築、そして施設の復活を、自主的な調査と採集・標本作製で応援する西日本の博物館関係者によるゆるやかなネットワークです。現地の負担にならないよう、”勝手に”という姿勢で活動するのが特徴で、昆虫、植物、鳥類、哺乳類、海岸生物、など、各自がそれぞれの専門分野にあわせて調査を行い、その成果と標本を復活するネイチャーセンターに還元していきます。

画像:阿部拓三さん撮影「現地調査」

勝手に調査隊は機材も移動もすべて自前。標本作製も、維持管理も自前です。「標本も情報も分散管理がいちばん安全と身をもって知った」という現地の声を受け、希望される標本のみを現地に戻し、残りは西日本の博物館で保管し、情報は共有するという新しいコレクション管理の試みでもあります。

画像:高田みちよさん撮影「フシグロセンノウ」

すべての標本と施設を失い、震災当時から全国で行われていた「被災標本レスキュー」という支援の枠組みからはこぼれ落ちてしまったにもかかわらず、驚異的な努力で再開への道筋を歩みはじめた南三陸ネイチャーセンター。私たちは生物調査という共同作業を続けながら、ひとつの自然系施設の復活を応援して行こうと考えています。この活動への参加、そしてご支援をお待ちしています。

勝手に調査隊へのお問い合わせは
大阪自然史センター 西澤真樹子
nishizawa[at]mus-nh.city.osaka.jp ※atを@にかえてお送りください。
ネイチャーセンターの活動最新情報は
南三陸ネイチャーセンター友の会
http://rias-nature.jp/
地球環境基金へ

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