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特別展記念講演会「トリケラトプスとその仲間達の謎を探る」
2014年03月17日

特別展記念講演会 お見逃しなく!!!

特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス」の開催を記念して、国内外から恐竜研究者をお招きして講演会を開催します。トリケラトプスとその仲間たちは、約1億5000万年前にアジアで起源し、北アメリカに進出しました。彼らはどんな地域に生息し、どんな歩き方や行動をしていたのでしょうか。最新の研究成果をもとに、様々な角度から彼らの進化と生態について探ります。

日 時:3月21日(金・祝)午後1時30分〜3時
会 場:自然史博物館 講堂

参加費:無料。ただし、参加には特別展入場券(半券も可)が必要。
主 催:大阪市立自然史博物館、読売新聞社、中央宣伝企画


講師と講演タイトル:

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小林快次(北海道大学総合博物館・大阪大学総合博物館)
北極圏のケラトプシア類、パキリノサウルス


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藤原慎一(名古屋大学博物館)
ケラトプシア類の前肢は側方型? 下方型?
― 同一グループ内の姿勢のバリエーションを探る ―



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Scott Williams (アメリカ・バーピー自然史博物館)
トリケラトプス亜成体『ホーマー』の発掘とその研究
*日本語通訳あり


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林 昭次 (大阪市立自然史博物館)
ケラトプシア類はなぜ「超巨大化」できなかったのか?
― 竜脚類恐竜の巨大化研究が語る、ケラトプシア類の巨大化の限界 ―



講演内容:

北海道大学総合博物館 小林快次
北極圏のケラトプシア類、パキリノサウルス

極圏恐竜についてはまだ謎が多い。それでも、2007年から行われている北海道大学と米国テキサス州のペロー自然史博物館との共同調査によって、北極圏であるアラスカの恐竜研究は進んでおり、恐竜の種類や生活が明らかになってきた。恐竜時代のアラスカは、現在の北海道ほどの気候だったが、冬は太陽が昇ることも無く寒かった。日照時間が限られていたことから、冬の食料も制限されていた。
その環境下で、パキリノサウルスが、アラスカの生態系において重要な位置を占めていた。また、もう一つの主要な植物食恐竜は、エドモントサウルスだった。どちらも、アラスカ州北部のノーススロープから南部のデナリ国立公園まで、広範囲に生息域を広げていた。エドモントサウルスは、テリジノサウルス類の恐竜を共存していた可能性がある。その一方で、パキリノサウルスとエドモントサウルスが共存していた可能性は少ない。アラスカのパキリノサウルスは集団で行動していたものの、他の植物食恐竜と共に生活することは無く、餌の競争を避けるため、生活圏を分けていた可能性が考えられる。


名古屋大学博物館 藤原慎一
ケラトプシア類の前肢は側方型? 下方型?
― 同一グループ内の姿勢のバリエーションを探る ―

恐竜は二足歩行性の祖先から、二次的に四足歩行適応を示すという、動物進化史上珍しい適応をしたグループを幾つか含んでいる。中でも、ケラトプシア類は、比較的原始的な形質を残した手を持ち続け、四足歩行化へと適応したグループであり、彼らの前肢姿勢にどのような多様性があったのだろうか。様々な現生動物の前肢の骨格形態と比較した結果、プロトケラトプス科は肘関節の内転筋を利用した側方型の姿勢を採り、レプトケラトプス科やケラトプス科は肘関節の伸筋を利用した下方型の姿勢を採っていた可能性が高いことが示唆された。このように、同じ恐竜のグループ内でも、前肢姿勢の採り方に違いがあっただろうと考えられる。


バーピー自然史博物館 展示・科学部長 スコット・ウィリアム
トリケラトプス亜成体『ホーマー』の発掘とその研究
*日本語通訳あり

2005年、米国イリノイ州ロックフォードに在るバーピー自然史博物館のスコット・ウィリアムズの率いる調査チームは、モンタナ南東部に露出するヘルクリーク層で白亜紀末期(6600~6700万年前)の古生物に関する実地調査を行なった。このフィールドワーク中に、調査チームは貴重なトリケラトプスの化石を発見した。その化石は「ホーマー」という愛称を与えられ、その後2008年までバッドランドの過酷な環境下で、約16週間もの時間をかけて発掘が行われた。その発掘調査により、トリケラトプスがホーマー1体ではなく他に2体埋まっていることが判明し、それらも成体ではなく亜成体であることが明らかとなった。複数のトリケラトプスが同じ場所から一緒に発見されたのが初めてだったことから、この発見は非常に意義深いものとなり、古生物学者の注目の的になったのである。今後の研究において、トリケラトプスの若年グループの存在など社会構造などを解明する手掛かりになることが期待される。


大阪市立自然史博物館 林昭次
ケラトプシア類はなぜ「超巨大化」できなかったのか?
― 竜脚類恐竜の巨大化研究が語る、ケラトプシア類の巨大化の限界 ―

竜脚類は最大のもので30m 以上もの大きさになる、生物史上、「超巨大化」を果たした唯一の陸上脊椎動物である。一方で、ケラトプシア類では大型の種でも全長5~6mと、「超巨大化」することができなかった。その差はどこから生まれたのだろうか。
竜脚類のからだでは、①高い基礎代謝 ②産卵による繁殖 ③食べ物をよく噛まずに飲み込む摂食様式 ④現生鳥類のように気嚢を含む特殊な呼吸器系といった、4つの条件を満たしており、これが「超巨大化」につながったと考えられる。
残念ながら、ケラトプシア類は、口の中で食べ物をよくかみ砕く能力が発達しすぎてしまった。そのため、体に対して頭が大きくなりすぎる傾向にあり、成長できる体の大きさに限界があったようだ。また、気嚢をもっていないことも超巨大化できない要因であったようである。

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