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サギソウのギザギザの花びらはなんのため? ―ギザギザは花粉を運ぶスズメガの支えだった―
2022年06月23日

サギソウ(図1)の特徴である花弁のギザギザ。その適応的意義はこれまで解明されていませんでした。
神戸大学の末次健司氏、阿部裕亮氏、姫路市立手柄山温室植物園の朝井健史氏、松本修二氏、及び当館学芸員の長谷川匡弘からなる研究グループは、3年間にわたり自生地におけるギザギザの切除実験、花粉を運んでくれる昆虫の詳細な行動観察を行いました。その結果、ギザギザを切除すると一個体当たりの健全な種子数が低下すること、花弁のギザギザは、スズメガが花を訪れる際に脚をかける場所であることがわかりました。つまり、ギザギザは花粉を運ぶスズメガの支えとして機能していたのです。ギザギザが無い花で健全な種数が低下したのは、花粉を運んでくれるスズメガの訪花姿勢が不安定になり、受け渡される花粉の量が少なくなったためと考えられます。

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図1

本研究成果は、6月21日に、国際誌「Ecology」にオンライン掲載されました。

■詳しくは以下のプレスリリースをご覧下さい。
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2022_06_21_01.html

■論文情報
タイトル:“Specialized petal with conspicuously fringed margin influences reproductive success in Habenaria radiata (Orchidaceae)”
掲載誌:Ecology
著者:Kenji Suetsugu, Yusuke Abe, Takeshi Asai, Shuji Matsumoto, and Masahiro Hasegawa
DOI:10.1002/ecy.3781
 

図1:サギソウ。調査地である三重県上野森林公園で撮影。

コクテンシャコ、国内から1世紀ぶりの発見
2022年06月01日

 琉球大学理工学研究科の中島広喜氏(博士後期課程1年)と、当館の有山啓之外来研究員が、国内から約1世紀ぶりにコクテンシャコを発見し、国際科学誌「Plankton and Benthos Research」に公表しました。

研究内容

 シャコ類は世界から約500種が知られている甲殻類です。主に熱帯から亜寒帯の浅海域にかけて分布しており、岩やサンゴなどの隙間や、海底に掘った巣穴に生息しています。強大に発達した第2顎脚(捕脚)がシャコ類の特徴で、この捕脚を高速で繰り出し、餌の貝などを割ることができる種や、魚類などを捕らえることができる種などが知られます。国内では食用種となる「シャコ」1種が有名ですが、実際は70種以上のシャコ類が日本から報告されています。

 コクテンシャコCloridopsis scorpioは全長10 cmほどになるシャコ科の1種で、第5胸節側突起に黒斑を有していることが非常に特徴的な種です。インド、シンガポール、ベトナムから中国などにかけて広く分布しており、泥質の干潟から水深20 m程度の環境に生息しています。

 国内からはBalss (1910) により岡山県から、Komai (1914) やKomai (1927) により瀬戸内海や三重県、神奈川県や東京都などから記録されていました。しかしそれ以降、コクテンシャコは国内からまったく記録されてきませんでした。確認した限り、これまでの日本産コクテンシャコ標本で最も新しいものは、東京都で1915年に採集されたものでした。つまり、それ以降の100年以上に渡り、コクテンシャコは国内から確認されてこなかったのです。

 本研究では広島県と岡山県の数地点の干潟で採集された標本の提供を受けたことをきっかけに、1914年以前に神奈川県で採集され国立科学博物館に保管されていた標本と、国外産の標本などを比較することで分類学的な検討を行いました。その結果、広島県や岡山県から新たに採集された標本もコクテンシャコであると同定できました。こうして、現在もコクテンシャコが国内に生息していることが再確認されました。

将来の展望

 本研究の調査期間、感染症流行の回避のため現地調査に赴くことを断念せざるを得ない状況が続いていたため、コクテンシャコの生息状況について詳細な調査はできていません。現時点では情報が少なく断言できませんが、干潟環境の悪化や減少を考慮すると、コクテンシャコは国内ではごく少数しか棲息しておらず、保全の必要がある種かもしれません。

 さらに、コクテンシャコが中国・台湾などに加え、今回の報告の様に瀬戸内海などに分布していることを考慮すると、それらの産地の間に位置している琉球列島にも、コクテンシャコが生息している可能性は十分に考えられます。こうしたことを念頭に、干潟をはじめとする環境におけるシャコ類の調査・研究を今後も進める方針です。

<論文情報>

(1)タイトル:Record of Cloridopsis scorpio (Latreille in Latreille, Le Peletier, Serville & Guérin, 1828) (Stomatopoda: Squillidae) from Japan: rediscovery after almost a century (日本から約1世紀ぶりに発見されたコクテンシャコの記録)

(2)雑誌名:Plankton and Benthos Research

(3)著者:Hiroki Nakajima (中島広喜)1, Hiroyuki Ariyama (有山啓之)2

(4)所属:1琉球大学理工学研究科、2大阪市立自然史博物館

(5)URL:https://doi.org/10.3800/pbr.17.185

詳細は琉球大学のプレスリリースをご覧ください。コクテンシャコの写真も掲載しています。
https://www.u-ryukyu.ac.jp/news/34779/

自然史博物館の「研究報告」など最新号
2022年04月15日

大阪市立自然史博物館では博物館の収蔵資料や学芸員らの研究をまとめた研究報告などを出版しています。これらの最新号を大阪市立自然史博物館リポジトリサービスにて公開しています。2021年度末に発行された最新号が掲載されていますので、どうぞご利用ください。(全て無料でご覧いただけます)

なお、自然史研究「大阪府外来生物目録」は「プロジェクトU」や2014年の特別展「ネコと見つける都市の自然」展の学術的成果物の一つとなります。


■大阪市立自然史博物館研究報告76号

台湾産ツヤゴモクムシ属の5新種(英文)
伊藤 昇
  http://doi.org/10.20643/00001606

小塩山のカタクリ集団における自家和合性の確認および自動自家受粉様式による果実形成
森井 英樹 , 長谷川 匡弘
  http://doi.org/10.20643/00001607

奄美大島・加計呂麻島における2018年のセイヨウミズユキノシタ(アカバナ科)の帰化状況と生態リスク
山ノ内 崇志
  http://doi.org/10.20643/00001608

大阪湾の海底から発見されたビワコオオナマズの頭骨の化石
樽野 博幸
  http://doi.org/10.20643/00001609

大阪市立自然史博物館所蔵爬虫両生類模式標本目録(補遺)
小泉 有希 , 松井 彰子
  http://doi.org/10.20643/00001610

近畿地方におけるヒメハルゼミの分布.古代以前の宗教と関わった歴史的背景に基づく評価.
初宿 成彦
  http://doi.org/10.20643/00001611

西表島の維管束植物221種の繁殖フェノロジー:ルートセンサスによる3年間の記録
梶田 結衣 , 遠山 弘法 , 山本 武能 , 内貴 章世
  http://doi.org/10.20643/00001612

沖縄県西表島における外来植物目録
梶田 結衣 , 米倉 浩司 , 遠山 弘法 , 赤井 賢成 , 天野 正晴 , 阿部 篤志 , 山本 武能 , 設樂 拓人 , 齊藤 由紀子 , 横田 昌嗣 , 内貴 章世
  http://doi.org/10.20643/00001613

大阪府におけるタシロランの記録と生育環境
横川 昌史
  http://doi.org/10.20643/00001614

■自然史研究4巻5号
大阪府外来生物目録
  http://doi.org/10.20643/00001616

■大阪市立自然史博物館 収蔵資料目録 第53集
大阪市立自然史博物館所蔵 四国産蝶類標本目録
  http://id.nii.ac.jp/1504/00001617/

■日本の博物館のこれからIV
(科研費による論文集)
一覧

当館外来研究員がスベヨコエビ科の4新種を発表しました
2021年11月16日

ヨコエビ類は主に海域に生息する種数の多い小型甲殻類ですが、それでもなお、まだ知られていない種がたくさんいます。

ヨコエビ類の一グループのスベヨコエビ科は、扇形で左右に平たい体を持つカラフルな色彩のヨコエビで、写真派ダイバーに人気のあるグループですが、世界ではまだ16種・1亜種しか認識されていません。大きさは3~7mmで、主に岩礁のコケムシ類の体表に生息しそれらを食べているようです。

当館の有山啓之外来研究員は、日本各地から採集されたスベヨコエビ科5種を調べ、うち4種を新種とする論文を発表しました。

今回の論文で扱われた種はルリホシスベヨコエビ(伊豆大島産、新属新種)、シラホシスベヨコエビ(相模湾産、新属新種)、シロガオスベヨコエビ(伊豆半島産、新種)、チゴケスベヨコエビ(島根県産、新種)とムカシスベヨコエビ(相模湾産、メス初記録)です。

ルリホシスベヨコエビs.jpg チゴケスベヨコエビs.jpg
ルリホシスベヨコエビ(撮影:星野 修氏)      チゴケスベヨコエビ(撮影:有山啓之)


論文は11月12日にニュージーランドの学術誌Zootaxa(オンライン版)で公表されました。
 

論文著者:有山啓之 (ARIYAMA Hiroyuki)
論文タイトル:Five species of the family Odiidae (Crustacea: Amphipoda) collected from Japan, with descriptions of a new genus and four new species.
掲載誌:Zootaxa, 2021, Volume 5067, No. 4, 485–516.

https://doi.org/10.11646/zootaxa.5067.4.2

長田庸平学芸員が森林防疫賞奨励賞を受賞しました
2021年07月17日

当館の昆虫担当の長田庸平学芸員が、全国森林病害虫獣害防除協会発行の学術誌「森林防疫」において第二著者として発表した論文で、2021年度の森林防疫賞奨励賞を受賞しました。




室 紀行・長田庸平(2020)ヨモギエダシャク(チョウ目:シャクガ科)によるスギコンテナ苗の食害事例.森林防疫 69 (4): 13-19.


本論文の内容は、スギの新害虫の蛾類を報告したものです。
スギコンテナ苗を食害する蛾の幼虫が発見され、第二著者の長田学芸員が幼虫と成虫の形態的特徴よりシャクガ科のヨモギエダシャクであると同定しました。

ヨモギエダシャクは非常に広食性の蛾で、農林業上では重要な害虫として知られていましたが、スギへの食害は今回の報告が初めてです。

今後は被害が広がる可能性があり、早期の防除のためには正確で迅速な種同定が必要になります。この論文がスギ害虫の防除に関する重要な資料になることが期待されます。




これらの論文はここでは公開できないので、読みたい方がいましたらメール(monitor@mus-nh.city.osaka.jp)でお問い合わせください。

「忘れ貝」可憐な新種とそのゆくえ 万葉集・土佐日記にいう貝たちの「もののあはれ」と「鎖国の名残」
2021年07月16日

岡山大学学術研究院環境生命科学学域(農)の福田宏准教授、大阪市立自然史博物館の石田 惣主任学芸員、西宮市貝類館の渡部哲也学芸員、香川県水産試験場の吉松定昭元場長、国立科学博物館の芳賀拓真研究員の共同研究チームは、従来分類が極端に混乱していた日本周辺産ワスレガイ属(Sunetta)貝類の網羅的な分類学的再検討を行い、3新種(現生:ベニワスレ、化石:モシオワスレ・シチヘイワスレ)ほか5種(タイワンワスレ・シマワスレ・ランフォードワスレ・ワスレガイ・ミワスレ)の計8種を認知して、それらの種の実体、定義、識別点、分布域等を初めて明確化しました。現生種のうちミワスレを除く5種は日本周辺に固有で、それら全てが浅海環境の悪化によって減少傾向にあるか、またはもともと産出例の少ない稀少種と判明しました。

本研究成果は7月14日、日豪共同刊行の軟体動物学雑誌「Molluscan Research」にオンラインで掲載されました。

■研究のポイント
・アサリ・ハマグリ等と同じくマルスダレガイ科に属するワスレガイ属(Sunetta)は、「忘れ貝」として万葉集や土佐日記等にも繰り返し登場するなど、日本人には古くから馴染みの深い海産二枚貝類の一群です。
・歴代の本草学者も認識して図示してきたワスレガイ属ですが、分類は混乱しており、図鑑や論文ごとに種名と種そのもの(個体・標本)との組合せに一貫性がないという状態が長く続いていました。
・今回、主に殻形態による再検討の結果、日本周辺から3新種(現生1・化石2)を含む8種が認められました。
・新種の一つベニワスレは、大阪湾(淡路島厚浜)で採集され保管されていた当館所蔵の標本をホロタイプ(※)としました。しかしながら大阪湾では近年の記録が乏しく、全国的にも生息環境の悪化によって絶滅の危機にあると考えられます。※ホロタイプ:新種の記載の際にその種の「基準」として唯一定める標本
・今回の研究では、全国16の博物館等の機関に収蔵されている500点近い標本を比較検討に用いました。地域の標本を収集し保管するという各地の地道な博物館活動のおかげで本研究は実現しました。

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今回新種として記載されたベニワスレ(淡路島厚浜産、大阪市立自然史博物館所蔵吉良哲明コレクション)

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江戸後期の貝類図譜「目八譜」に描かれた「忘介」の一つ。この図はベニワスレを描いている(武藏石壽, 1843, 国立国会図書館デジタルコレクション)

■プレスリリースはこちらをご覧ください。

■掲載論文
タイトル:The bivalve genus Sunetta Link, 1807 (Heterodonta: Veneridae) of Japan and the neighbouring waters – a taxonomic revision with the descriptions of three new species
掲載誌:Molluscan Research
著者:Hiroshi Fukuda, So Ishida, Tetsuya Watanabe, Sadaaki Yoshimatsu and Takuma Haga
DOI:https://doi.org/10.1080/13235818.2021.1937016

<プレスリリース>日本産ウスバカゲロウ(アリジゴク)5新種の発見と記載
2021年07月01日

 このたび大阪市立自然史博物館 松本吏樹郎主任学芸員ら研究チームによる、日本産ホシウスバカゲロウ属の新種の記載論文が、昆虫分類学の英文学術誌「Japanese Journal of Systematic Entomology」において、2021年6月30日に出版されました。

<本研究のポイント>
■これまで注目されていなかった幼虫の形態やDNAの塩基配列などの情報を利用して、分類学的再検討を行いました。その結果一度に5種の新種が見つかり、記載・命名を行いました。
■従来ホシウスバカゲロウという種とされていたものには5種が含まれていたことが明らかになりました。そこで1867年の記載時に指定されたタイプ標本*を確認し、真のホシウスバカゲロウを特定しました。
■各種について成虫・幼虫形態の詳細な比較を行い、同定方法を確立するとともに、多数の標本データと野外観察から各種の生息環境、分布、生活史に関する情報を整理しました。これらの情報は我々を取りまく自然について、理解をすすめる上で、重要な基盤となります。

 また、大阪市立自然史博物館では関連展示として【ミニ展示】「ホシウスバカゲロウの新種が発見・記載されました」についても開催します。

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プレスリリースはこちら

<プレスリリース>2025年万博会場・夢洲において 大阪府で「絶滅」とされた水草「カワツルモ」を再発見
2021年06月25日

 このたび、当館の学芸員が中心となって実施した夢洲の植物調査において、大阪府レッドデータリストで「絶滅」と判定されたカワツルモが再発見されました。この研究成果は水草研究会の会誌「水草研究会誌(Bulletin of Water Plant Society, Japan)」111号に掲載予定です。


<発表のポイント>
■カワツルモは海岸沿いの汽水域に生育する水生植物で、大阪府下では1996年以降は全く記録がなく、生育環境も皆無と考えられたことから、「大阪府から絶滅」したとされていました。

■ところが、当館の学芸員が中心となって実施した夢洲の植物調査において、万博会場予定地の南東端の水域で再発見されました。水草類は水鳥とともに移動することが知られており、カワツルモもこのようにして他の生育地から移動してきたと考えられます。近畿地方まで広く見てもカワツルモの現存する生育地は極めて少なく、今回確認された生育地は非常に貴重です。

■しかし、カワツルモが確認された場所は今後、残土置き場等として利用されるため、まもなく埋め立てられる予定になっています。

■夢洲は、大阪府のレッドデータリスト2014において、生物多様性ホットスポットとして取り上げられており、大阪市生物多様性戦略の中でも、夢洲を重要な自然環境として取り上げています。カワツルモの生育地やその周辺のヨシ原も含めた保全が望まれます。

 また、大阪市立自然史博物館では今回夢洲で発見されたカワツルモの標本や生育環境について展示します。

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プレスリリースはこちら


市民参加型調査により判明した外来カタツムリ「オオクビキレガイ」の大阪府での分布状況の論文発表
2020年10月13日

大阪市立自然史博物館では、2015年から2019年にかけて市民の皆さんの協力により大阪府及び周辺地域での外来生物の分布調査(プロジェクトA)を行いました。その対象種の一つとして、大阪府で見つかり始めている地中海沿岸原産の外来のカタツムリ「オオクビキレガイ」の分布調査を行いました。この調査の結果を当館動物研究室の石田 惣学芸員がまとめ、2020年9月25日に論文として発表しました(2020年10月10日オンライン公開)。

この論文ではオオクビキレガイが泉北地域を中心に分布拡大していること、大阪府への移入は2000年代以降と推定されること、拡散経路の一つとして園芸資材(土や苗)への随伴が示唆されること、など明らかにしました。調査では市民有志が鉄道駅を中心に半径1km圏内を1時間探索する方法や、地域の小学校の全校児童に情報募集のチラシを配布する方法などをとりました。チラシを見たことによる情報提供は配布後4ヶ月間継続したことから、小学校へのチラシ配布は外来生物の目撃情報を収集する上で有効な手法であることも示唆されました。

発表論文:石田 惣. 2020. 市民科学による大阪府のオオクビキレガイの生息調査,並びに分布の現況. Venus, 78:105–118.
https://doi.org/10.18941/venus.78.3-4_105

大阪府でのオオクビキレガイの分布調査は現在も継続しています。府内で見つけた方はぜひ情報をお寄せください。
https://sites.google.com/site/ookubikiregai/

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・オオクビキレガイ(左のスケールは1目盛り=1 mm)



発見地点.png
・大阪府でのオオクビキレガイの分布状況(2019年末現在、調査方法別に示す)

有山啓之外来研究員が新種のヨコエビ「チンボクヨコエビ」を発表
2020年06月10日

当館の有山啓之外来研究員は、三重県尾鷲市沖の熊野灘の水深330〜400メートルから採取された沈木より得られたスンナリヨコエビ科のヨコエビについて、チンボクヨコエビ属(新称)の未知種と確認し、2020年6月4日に「チンボクヨコエビ」(Bathyceradocus japonicus Ariyama & Moritaki, 2020)として新種記載論文を発表しました。チンボクヨコエビ属は世界各地から4種が知られており、いずれも水深400〜7340メートルの深海の沈木に暮らすことが知られています。今回見つかったチンボクヨコエビの生息水深は、チンボクヨコエビ属の中でも最も浅い記録となります。本試料は鳥羽水族館の熊野灘調査により得られたもので、論文は同水族館の森滝丈也学芸員との共同発表となります。

発表論文:Hiroyuki Ariyama & Takeya Moritaki. 2020. A new species of the genus Bathyceradocus from the Kumano-nada, central Japan (Crustacea: Amphipoda: Maeridae). Crustacean Research, 49:61–71.
https://doi.org/10.18353/crustacea.49.0_61


鳥羽水族館のプレスリリースもご覧ください:https://www.aquarium.co.jp/topics/index.php?id=796


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